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【大リーグ】

イチロー電撃のヤンキーズ入り 志願のトレードで 背番は31

2012年7月25日 紙面から

マリナーズ戦の3回、ヤンキースでの初打席の前に、ファンの声援を受けお辞儀をするイチロー=セーフコ・フィールド(ロイター=共同)

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 【シアトル秋野未知、ジョン・ヒッキー】涙目で新天地デビュー!! マリナーズのイチロー外野手(38)が23日(日本時間24日)、ヤンキースに電撃トレードされた。両球団が発表した。マリナーズへはマイナーの若手2投手が移籍する。移籍会見では少し目を潤ませながら心情を吐露し、球団へは自らトレードを申し入れたことも明かした。背番号は31。慣れ親しんだ51番はヤンキースで名打者だったバーニー・ウィリアムズ氏がつけた数字で将来の永久欠番が確実なことから遠慮した。移籍会見から約3時間後のマリナーズ戦にはプロ初の“ライパチ(8番右翼)”でいきなり先発出場。第1打席では古巣ファンから総立ちで声援を送られ、中前に新天地初安打を運んだ。

 ヤンキースの一員として迎えた初打席。これまでとは逆の三塁側ベンチから左打席に歩を進めるイチローに呼応して、観客が一斉に立ち上がった。大音量の歓声、そして力強い拍手−。長年にわたってチームを支えてきた功労者の“卒業”を祝うマリナーズファンの儀式だった。

 「ここでは長い時間にいろいろなことがあった。ああいう反応を目の当たりにすると(頭の中が)真っ白になる。あの瞬間に感激した」。入りかけた打席を一度外す。真新しいヘルメットを掲げ、歓声に応えると、ネット裏とバックスクリーンに向かって二度、丁寧にお辞儀をした。

 すかさずバットでも応えた。マウンド上には“昨日の友”ミルウッド。意を決したように戦闘モードに入ると、2球目のツーシームを中前へ。一塁に達した途端に目を少し潤ませた。

 次打者の3球目には二盗。「体が重くて自由自在に動く感じではなかった。あの瞬間に解き放たれた」。移籍会見など公式行事に追われ、試合前の準備を重要視する男が準備不足のまま試合に臨んだ。初戦が古巣という特異環境でさまざまな思いも交錯。だが、果敢に“動く”ことで自らにスイッチを入れた。3回1死二塁の守備では本塁へ代名詞のレーザービーム。刺せなかったが、衰え知らずの強肩披露で初安打時同様、古巣ファンの歓声を浴びた。

 移籍は苦渋の決断だった。低迷するチームを見捨てたとも取られかねないが、「20代前半の選手が多いこのチームの未来に、来年以降僕がいるべきではないのでないか」と自ら球団に申し入れた。10月で39歳。野球人生も終盤に入った。さまざまな個人タイトルを手にしてきたが、唯一欠けている勲章が「世界一」の称号。「環境を変えて刺激を求めたいという強い思いが芽生えた」。新天地は史上最多27回の世界一を誇る名門球団で、2007年7月にマリナーズと契約を5年延長した際も移籍先としてその名が挙がったことがある。

 マリナーズの顔もスター軍団の中では25分の1に過ぎない。この日も人生初の“ライパチ(右翼8番)”起用で、結果が伴わなければ、すぐに居場所を失う可能性もある。「怖い。不安。でもそれを断ち切れるように進んでいきたいし、その覚悟は持っているつもり」。マリナーズでの11年半で培った自信、誇りを胸にメジャー第2章に臨む。

 

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