いじめ自殺、変わる学校 早期発見へ各地の教委
大津市内で昨年10月、中学2年の男子生徒=当時(13)=が自殺した問題で、自殺との関連が指摘されるいじめ対策について、学校のずさんな対応が浮き彫りになった。過去にいじめに絡む小中学生の自殺が起きた全国自治体の各教育委員会は、早期発見へきめ細かい対応を取り入れている。
2005年に中学3年女子生徒の自殺があった山口県下関市は昨年12月、市内の全小中学校でいじめの有無を定期的に問うアンケートを月1回から毎週実施に切り替えた。わずか1カ月でいじめが急速に陰湿化したケースがあったためだ。
下関市教委は「親や教師にも言えない場合があることを前提に、聞く機会を多く設けて把握したい。『一時は遊びと思ったが、いじめじゃないか』と周囲にいる生徒からの報告も期待している」とする。
また、05年に小学6年女児が自殺を図った北海道滝川市は、「心情を率直に聞く」ため、自宅でアンケートを書いてもらう。その後、全員との個別面談で児童生徒と対話を深め、匿名で記入されたいじめも探る。福岡県筑前町は06年に中学2年男子生徒が自殺して以降、学校と図書館に「相談ポスト」を設置。「悪口を言われた」と訴えたメモから、いじめの解決につなげた事例もあるという。
富田林市は06年の中学1年女子生徒の自殺後、「担任まかせでなく、組織での情報共有と問題解決を図る」との方針を打ち出した。
いじめを疑う事案に対しては、校長や担任に加え、生徒の本音を引き出すスクールカウンセラーらも交えた「ケース会議」を開く。事案によっては教委外の子育て支援担当者も加わり、「幅広い側面から解決を図る」という。
愛媛県今治市では毎年、06年に自殺した1年男子生徒の命日に学校が全校集会を開き、校長が当時の経緯を紹介する。教員が着任すると墓参りに行くことも習慣化している。市教委の担当者は「いじめはどこの学校でも起こりうる。風化させず、意識を高く保つことが大切」と話している。
【いじめに絡む自殺を経験した自治体のいじめ対応策】北海道滝川市=いじめ把握へアンケートと個別相談、大阪府富田林市=学校外の人材交え「ケース会議」、山口県下関市=毎週、いじめアンケートを実施、愛媛県今治市=自殺した生徒の命日に全校集会、福岡県筑前町=学校、図書館にいじめ「相談ポスト」
【 2012年07月24日 08時58分 】