松 岡 裁 判
松岡敏雄さん 損害賠償請求訴訟 公判 証言記録
2003年3月11日 13:30〜16:00
札幌地方裁判所 8階 5号法廷
この証言記録は【裁判所が記録する公式の証言記録ではない。
あくまでも『松岡敏雄さんと共に闘う会』の私的な聴き取り記録である。
また、我々は速記や、口述筆記の専門職ではないことをご承知願いたい。
従って、この文書の責任は全て、『松岡敏雄さんと共に闘う会』にある。岩渕 進。】
※発言者表記の例
原告側
松岡敏雄→松 岡
原告側代理人・八木宏樹弁護士→八木弁
被告側
被告育成園側・和田弁護士→和田弁
被告北海道側・弁護士(女性)→道1弁
被告北海道側・弁護士(男性)→道2弁
被告北海道銀行側・弁護士→道銀弁
証 人
曽我知夫 →曽我
三原健二 →三原
裁判長→裁判長
裁判官(左陪席−向かって右)→左陪席裁判官
裁判官(右陪席−向かって左)→右陪席裁判官
〜開廷〜
道1弁:次々回、5月15日の道側証人、後志支庁の村井が傍聴席に来ている。差し支えなければ傍聴してもよいか。
裁判長:原告側代理人の意見は。
八木弁:原則通りに、お願いします。
裁判長:原則にしたがい、退席していただく。
裁判長:本日は曽我知夫と三原健二の尋問をする。
曽我知夫と三原健二 住所、生年月日、職業この記載で間違いありませんね。
曽我・三原:(確認)間違いありません。
〜宣誓書 署名、宣誓をする。
被告側証人 寿都浄恩学園施設長 三原健二に対する
証 人 尋 問
裁判長:弁護士からの質問が終わる前に答えないこと、結論を簡潔に答えること。
和田弁:聞かれたことだけに答えて下さい。現在の仕事は。
三原:社会福祉法人の知的障害者更生施設施設長です。
和田弁:施設名は
三原:寿都浄恩学園です。
和田弁:いつから施設長をしていますか
三原:平成7年10月からです。
和田弁:それまでに勤務は
三原:あります。
和田弁:いつから
三原:昭和49年からです。
和田弁:寿都で、ですよ。
三原:平成元年からです。
和田弁:平成元年から勤務されて平成7年から施設長ですか
三原:そうです。
和田弁:原告、松岡さんをご存知ですね。
三原:はい。
和田弁:寿都浄恩学園には、いつから居るのですか。
三原:平成7年2月3日から平成12年ですかねぇ。
和田弁:はっきり記憶されていない。平成13年5月です。
松岡さんに対してどのような指導を。簡単に要約してください。
三原:日常生活訓練と作業訓練です。
和田弁:大きく分けて二つの訓練ですか。
三原:はい。
和田弁:日常生活ではどんな指導をしているのか
三原:日常生活、起床から就寝まで衛生、食事、生活全般についてです。
和田弁:松岡さんの場合、日常生活にどのような支援が必要であったか。
三原:衛生面、食事、着る物の汚れをきれいにする指導をしてきた。
和田弁:質問に的確に。松岡さんが入所されたとき、衛生面、身だしなみはどうだったか。
三原:着ている物、指示が無ければずっと着ているので取り替えるよう指示した。
和田弁:松岡さんはどういう状態だったのか。
三原:一般生活に困難があるため指導してきた。
和田弁:着る物について伺ったが、指導しなければ取り替えない。汚れだけ?例えば靴下に穴があいているときとか
三原:風呂に入ってもきちんと洗えない。靴下や服、穴があいていてもそのままはいている。
和田弁:指導しないとそのまま。穴があいていてもそのまま。
三原:はい。
和田弁:指導すると取り替えるのか
三原:はい。
和田弁:風呂で洗えないのは、どういう状態なのか。
三原:雑という部分がある。入ればいいという感じ。隅々まで洗わない。
和田弁:洗い残しがあったりするのか。
三原:そうです。
和田弁:石鹸がついてる。ついてると指導しないとそのまま出ちゃう。
三原:はい。
和田弁:その他は。
三原:日常、外出面の指導。
和田弁:具体的に。
三原:買い物、金銭指導、公共交通の乗り方など。
和田弁:一人で乗れないのか
三原:はい。指導員と一緒。一人で乗れない。職員が切符を買って。
和田弁:金銭は
三原:自分で通帳の管理ができない。
和田弁:というのは。
三原:自分で銀行に行って、お金を下ろしてきたりができない。
和田弁:それを指導してお金をおろす手続きを手伝ったのですか。
三原:はい。
和田弁:他には…。けんかすることとか。
三原:ありました。
和田弁:どういう。
三原:同部屋の人と口げんか、たたくなどがあった。
和田弁:それに対してどういう指導を
三原:声かけ。仲良くするように。
和田弁:指導するとどうなったか。
三原:そのときはやめるけどすぐにしてしまう。
和田弁:そのときはおさまっても繰り返すのですね。指導によってある程度改善したでしょうが。
退所のときはどうだったか。
三原:殆ど改善されなかった。
和田弁:日常生活に支援を要するということ。
三原:はいそうです。
和田弁:作業指導については。具体的に。
三原:主に野菜作り。作業の準備から終えるまですべて指示が必要だった。
和田弁:例えば準備では。
三原:作業服に着替える。汚れているもの、穴があいているのも着てしまうので声かけ。
作業用具、何をもっていくのか指示をしてもっていく。
和田弁:作業服も声掛けしないと何日でも着る。汚れたり穴のあいたのも着ていく状況。
三原:はい。
和田弁:指導するとかえる。
三原:はい。
和田弁:しないとずっと着てしまう。
三原:はい。
和田弁:作業で使う道具はいつも同じなのですか。
三原:その作業によって違う。鍬とか、草取り…常に指示。
和田弁:今日は何をするとか、あらかじめ皆知っているのか。
三原:職員の方から、指示する。
和田弁:草刈をするときは…
三原:指示をしないと道具を持ってこれない。
和田弁:作業は。具体的に。
三原:耕作、種まき、収穫。苗も自分たちで作っている。苗と草の区別ができないので指導。
和田弁:区別がつかない。草取りどうやってしていたの。
三原:これが草で、これが苗で、と。見分け方を指示。
和田弁:教えればできるの。
三原:できる。
和田弁:その他、種まきとかはできるの。
三原:種まき…などはできません。
和田弁:その他、農作業でできた作業は
三原:収穫されたものの、車までの運搬。収穫したものの袋詰。
和田弁:袋詰はできたのか。
三原:できます。出荷までは無理です。収穫したものを運ぶ事はできた。
和田弁:袋詰はできなかったの。
三原:秤にかけたり、選別はできない。畑から倉庫までの運搬。
和田弁:その他、松岡さんの作業で指導を要するものは
三原:作業中に喧嘩、さぼり癖、指示しないと他の人にやらせてサボることもあった。
和田弁:指示すればする、しないとさぼる。
三原:はい。
和田弁:作業面はどうだったか。
三原:全般的に指示が必要。
和田弁:訓練の結果変わったことは。
三原:あまり変わりませんでした。
和田弁:単純な作業しかできなかった。
三原:はい。
原告側代理人八木弁護士の 三原けんじ 証人尋問
八木弁:寿都浄恩学園の、法人育成園の運営方針、指導の根本方針は社会復帰なのか。
施設で一生面倒をみるのか、どういう方針なのか。
三原:社会復帰です。
八木弁:寿都浄恩学園に入園されて実際に社会に戻っていく人の数は三原さんが園長になってから何人くらい。
三原:まだいない。
八木弁:今現在、入所者は何人。
三原:80名。
八木弁:三原さんが園長になってから、ほとんどかわらない。
三原:はい。
八木弁:松岡さんがいる間、ほとんど退園していない。
その間、松岡さんが作業指導、日常生活指導、ほとんど改善していないのは間違いないのか。
指導方法を変えたりはしていないのか。
三原:野菜作りは1年で覚えられない。長い間訓練が必要。
八木弁:日常生活についても
三原:はい。
八木弁:日常生活の指導は?外出とか買い物とか
三原:月に1度指導員も一緒に行きます。
八木弁:それは、個人で行くのか?
三原:10人くらいのグループで行きます。
八木弁:付き添いは1人に対し1人?
三原:1グループに2〜3人くらい
八木弁:どこにいくのか?
三原:岩内や余市、たまに札幌にも行く。
八木弁:松岡さんがいる間には?
三原:松岡さんはソフトボールが好きだったから札幌で行われる大会に参加したり、
海水浴・外食・キャンプなどに行ったりした。
八木弁:その時のお金は?
三原:だいたい2千円〜4千円くらい、その時によって違う。
八木弁:それはどこから出てくるお金か?
三原:事務から、決まった金額を渡す。
八木弁:お金が残った場合は?
三原:園に返します
八木弁:それは個人の預かり金なのか?
三原:園のお金です。
八木弁:園内でお金を使うことはありますか?
三原:ありません
八木弁:それはどうして?自動販売機などはないのか?
三原:自動販売機などはない。お菓子は、1日ごとに現物で渡している。
八木弁:社会復帰を考えるなら、日頃からお金を使う機会を増やす必要があったのではないか?
三原:近所にお店がないので、出来ない。
八木弁:近所になかったとしても、そう考えたことはなかったのか?
三原:平成13年から、買い物はしている。
八木弁:園内で考えたことは?
三原:考えたことは、ない。
八木弁:銀行の手続きを教えたというのは?
三原:したことがない。
八木弁:具体的に、一緒に銀行に行って、おろしたりすることは、なかったのか?
三原:ない。
八木弁:作業指導について「今日は〜をするから、〜を持ってきて」という言い方なのか?
三原:はい。
八木弁:作業内容だけを言って、道具を指示しなかった。ということがあったのか?
三原:なかった。具体的に、一輪車や、鎌をといえばできた。
八木弁:では、松岡さんは、道具を判断することが、出来なかった訳ではありませんね。
種まきや草取りを指示したことはありますか?
三原:ありません。
八木弁:では、それも、出来なかったわけではありませんね。松岡さんに指示して、できなかったことはありましたか?
三原:指示をすれば、していました。
八木弁:その他の作業は?
三原:鶏や豚などの家畜を飼育している。
八木弁:誰が何をするかは毎回変わるのか?
三原:その人の、向き不向きを考えて担当者が決めているので、変わる人と変わらない人がいる。
八木弁:松岡さんは?
三原:ずっと、農業班だったと思います。
八木弁:出来るようになったことや、変わったことを記録したものはあるのか?
三原:僕の方には、あります
八木弁:(乙2の3号証を見せながら)見たことありますか?
三原:あります。
八木弁:何が書いてありますか?
三原:活動記録ですよね
八木弁:(乙2の3の2号証を見せながら)これは?
三原:月間目標です
八木弁:具体的な内容は?
三原:「部屋をきれいに整頓する」です
八木弁:これは、毎日の記録で、その経過が記録されるものなのか?
三原:いいえ、1日ごとではなく、1ヶ月ごとです。
八木弁:2月3日の目標は3月3日も変わっていないが、それは改善できなかったと言うことか?
三原:はい。
八木弁:(乙2の3の2号証をみながら)4月〜12月まで変わっていないが、これも変化がなかったということか?
三原:はい。
八木弁:今回の訴訟について、三原さんは年金寄付には関与しているのか?
三原:関与していません。
八木弁:退所時、預かり物を返す時は?
三原:関与していない。
八木弁:直接関与していないが、その時々に報告は受けているのか?
三原:はい。
八木弁:最後に聞きます。(甲3号証を見せながら)この書類はご存知ですか?
三原:わからない。
八木弁:施設引継ぎ者として石田さんとありますが、石田さんの筆跡に間違いありませんか?
三原:はい
八木弁:それはわかるが、内容はわからない?
三原:はい。
八木弁:終わります。
裁判長:では、(被告側代理人に)ありましたら。
道2弁:北海道の監査指導に、施設長として対応したのか?
三原:はい。
道2弁:その時、利用者からの年金などの個人の預かり金について尋ねられたことはあるか?
三原:ない。
道2弁:本部で一括して、預かっているか、といったことは?
三原:ある。
道2弁:父兄互助会で、預かっているといったことは?
三原:ない。
道2弁:父兄互助会がどういうものかは知っていますか?
三原:わからない。
道2弁:作業指導の内容について、尋ねられたことはありますか?
三原:何をしているかだけ、聞かれたことがある。
道2弁:指導目標など、具体的に尋ねられたことは?
三原:ない。
道2弁:作業収益について、尋ねられたことは?
三原:ありません。
道2弁:還元について尋ねられたことは?
三原:ありません。
道2弁:旅行などを行い、その時に還元していると言う説明をした覚えはありますか?
三原:あります。
和田弁:作業収益のバランスは?赤字ですか?
三原:人件費以外の経費で9割をつかっている。
和田弁:作業だけのために雇っている人はいますか?
三原:1人いる
和田弁:収益はどのくらいですか?
三原:1億円くらい
和田弁:では経費は9千万円くらいですね。人件費はいくらですか?
三原:3千万円
和田弁:ひとりで?
三原:いいえ、札幌の方にいる人もいるので。
和田弁:札幌の方にいるというのは?
三原:野菜などを販売するための直売所が、札幌にあります。
和田弁:農作業専任の人は、何人いるのか?
三原:寿都で、5人いた。
左陪席:浄恩学園では、生活指導と作業指導があるそうですが、社会復帰と農作物生産はどう関わってくるのか?
三原:自分で食べるものを自分で作る。作る喜びがある。
左陪席:情操教育としてはわかるが、農作業をすることで社会復帰できるのですか?
三原:(回答なし)
左陪席:農作業をするというのは、施設では一般的なのか?
三原:はい、後志管内ではあります。
左陪席:育成園以外で?
三原:はい
左陪席:あなたが施設長になってから退所者はいますか?
三原:いません
左陪席:あなたが施設長になってからの8年、一人も社会復帰した人がいないのは、どうしてですか?
三原:まだ難しい
左陪席:社会復帰できるかどうか判定するような機会は?
三原:ありません
左陪席:何で判断するんですか?日常生活ですか?
三原:はい
左陪席:旅行はどのくらいの頻度で行っているのですか?
三原:年1回
左陪席:どこに行くのですか?
三原:遠いところでは、ハワイ・沖縄・東京ディズニーランドなどに行った。
左陪席:道外ばかり?
三原:道内のときもある。登別温泉など
左陪席:その経費は?
三原:わかりません。
左陪席:施設長なのに、把握していないのか?
三原:施設単位の月の外出は、把握している。
右陪席:作業指導をする人は、何名いますか?
三原:18名です。
右陪席:そのうち、松岡さんに関わっていたのは?
三原:4名です。
右陪席:あなたも含まれますか?
三原:いいえ。
右陪席:人件費が3千万円と言うのは?
三原:わかりません。
右陪席:自分の施設なのに?
三原:5人で3千万円くらい。
右陪席:人件費は、寿都の人はいくらくらい?
三原:寿都の職員は、一人5百万円〜6百万円くらい。
右陪席:作業収益の1億というのは寿都の分だけですか?
三原:はい。
〜休憩 10分間〜
〜開廷〜
被告側証人 札幌育成園理事長
曽我知夫 証人尋問
裁判官:三原さんに言ったことと同じ、簡潔に…。
和田弁:細かいことは良いですから、聞かれたことにYESかNOかで答えて下さい。
松岡さんが、最初に育成園にきたときに、対応しましたか。
曽我:はい。
和田弁:最初は、札幌育成園にきたのですか。
曽我:はい。
和田弁:そのときの立場は。
曽我:寿都浄恩学園の施設長、法人全体の指導部長として
和田弁:付添いはいたのか?
曽我:措置権者の福祉事務所の人。
和田弁:何県の?
曽我:東京都日野市です。
和田弁:名前は?
曽我:覚えてない。
和田弁:最初に何を確認したのか?
曽我:入所の意志確認。
和田弁:それに対しては?
曽我:どこか施設に入りたい。北海道でもいい。寿都浄恩学園でもいいとのこと。
和田弁:松岡さん本人から?
曽我:はい。
和田弁:日にちはいつ?
曽我:平成7年2月3日です。
和田弁:平成7年2月3日に意思表示を直接受けたのですね。
曽我:はい。
和田弁:入所するに当たっての約束は?
曽我:はい。そのときにしました。
和田弁:どういう?
曽我:年金は父兄互助会に寄付していただくことになっているがよいか、
身元引受人がいないので日野市がなれるか、一般的に迷惑をかけないというようなもの。
サインももらっている。
和田弁:互助会に寄付していただくという説明はしたのか?
曽我:はい。
和田弁:どうして寄付をするのかの説明は?
曽我:寄付してもらい、建物などに使うと説明をした。
和田弁:日野市の職員もその場にいた?
曽我:いました。
和田弁:承諾書については即答か?
曽我:日野市の人が確認して戻ってきて承諾。署名、捺印。
和田弁:日野市の人が答えたのか?
曽我:松岡さんと日野市の人。
和田弁:(乙2第1 承諾書提示)
承諾書、これでいいか?
曽我:はい。
和田弁:名前が書いてある。誰が書いた、判は?
曽我:松岡さんが押した。
和田弁:はんこは?
曽我:松岡さんが、東京から持ってきたはんこを捺印。
和田弁:日付は?
曽我:育成園の事務がかいた。
和田弁:承諾書をもらってからの手続きは?
曽我:日野市の福祉事務所の人に所定の手続きについては後で送ってもらうことにした。
その後、松岡さんを寿都まで送った。
和田弁:年金を互助会へ寄付する手続きは?
曽我:しました。意志確認をしました。
年金を寄付するにあたり、どこの銀行とは言わなかったが、銀行に口座を開設し、自動振替という形で互助会へ。
通帳と印鑑を改めてつくるのかと聞かれたので、はいそうですと。
東京から持参した印鑑を使うか、松岡さんに通帳口座開設につかってもよいか確認して、松岡さんは、いいです、
と言うことで通帳口座開設につかった。
和田弁:松岡さんに確認を得て、松岡さんの持参した印鑑を預かった。それで、口座開設。自動振替依頼と。
曽我:はい。
和田弁:父兄互助会の目的は、どのような組織で、何時、できたのか。
曽我:設立に関わっていないが、昭和47年の議事録が出てきた。
曽我敏が父兄に相談した。運営資金などが不足しているので、年金の中から寄付願えないかと。
互助会と言う資金管理団体の議事録が存在している。
和田弁:昭和47年、育成園ができたばかり?
曽我:昭和47年は、発寒に保育園を作ったあたり。建築資金等の不足で、父兄にお願い。
和田弁:父兄互助会とは寄付を受ける団体。
曽我:はい。
和田弁:目的は、当時は運営資金。
曽我:はい。
和田弁:昭和49年の特別監査で、100人単位で承諾書が出されている記載があるが。
曽我:昭和49年に琴似平和学園ができたので入所者が増え、まとまった形の承諾書が存在する。
日にちまで記憶にない。
和田弁:琴似平和学園の開所のため?
曽我:はい。
和田弁:父兄互助会を隠れ蓑に、育成園が自由につかっていたということは?
曽我:ないと思う。
和田弁:互助会のお金を使うとき、父兄の了解は?
曽我:役員の了解は得ていた。
和田弁:寄付、大きな支出項目について、役員に了解を得ていたということか?
曽我:はい。
和田弁:育成園の運営方針は?
曽我:昭和 年当時、父兄が中心になって国に嘆願。
札幌ではなく、小樽和光学園ができたので、自分たちで施設がつくれないかという趣旨。
特殊学級15歳で卒業後、社会の受入先が無く。
施設で安楽に、安心して暮らせるようにとつくられた。
法人としての目的は、平成12年の法改正で社会自立が目的というふうにシフト変更してきた。
育成園としては施設で一生と言うわけではないが、生涯に渡って法人が何らかの形で関わって、
責任もって一生涯を過ごさせる。
和田弁:社会福祉事業法の目的が社会復帰、現実は?
曽我:当時、皆で牛乳配達、林檎園の袋掛けをしようという声があった。
配達先の牛乳が1本誰かに飲まれるなど、やっぱり育成園のは飲めないね、と社会で受け入れてくれない。
施設も重要な存在。施設もひとつの社会を形成する。
社会通念に沿った一人一人のマナーを身に付け1日を過ごすことを目的に5つの施設を運営している。
和田弁:父兄互助会の預かっていた年金を返したのはどういうことか。
曽我:今回社会福祉法に変わって平成15年介護保険法(!?)に変わる。今までの集団の福祉が否定され個人の福祉に変わる。
措置は、国と施設が契約し、お世話させてもらったが、これからは個人と法人が直接契約。
行政が介在しない。費用の認定はする。
本人に対してそれぞれの認定に従って介護保険(!?)の方から個人に出される。
今までのように互助会の管理にすると、法人と同じようになる。
各個人の通帳管理に移せるよう準備している。
和田弁:措置は大まかに数でいくらか支給される。国と施設の委託契約。
曽我:そうです。
八木弁:介護保険(!?)は個人と施設の直接契約。個人がお金を出さなければならない。だから、預かり金を返した。
曽我:はい。
和田弁:施設の収益、作業収益の管理について収入、経費はどのくらい。
曽我:その年によって違う。最初の頃は赤字。収入一億〜1億2千万、経費9千万円〜1億1千万の直接経費。
和田弁:直接経費とは
曽我:飼料、ワクチン。法定ワクチン、システムパック…
和田弁:細かいことはいい。
動物を飼育するための経費、農作物を育てるための経費、直接的なもので9割。その他の専門スタッフの雇用。
曽我:寿都は豚舎に1名。指導からはずれて入る人もいるので延べで2名。
そのほか、豚、牛、解体する設備が寿都には無いので札幌でお願いするのに2人。
販売員2人。農産物、豚、牛あわせて約5人分の人件費がかかってくる。
和田弁:と殺した肉の製品化にスタッフ2名。他の施設でやっているところは無いのか?
曽我:育成園では生肉にして販売するのも園の作業としている。袋詰、はかり、ハム、ソーセージ、ハンバーグ等の加工。
和田弁:原材料は寿都以外の牛、豚はいないのか?
曽我:いない。
和田弁:製品にするのは寿都の牛、豚。スタッフは?
曽我:即売所でのお客さんの対応。
和田弁:即売所の売上は?
曽我:月額20〜30万円くらい。
和田弁:月額? 他の製品はどうしているのか?
曽我:直接、中卸問屋におろす。施設が買い上げて食材とするなど。
和田弁:売上から経費を割り出すのは難しいのか。
曽我:はい。
和田弁:寿都の二人のうち一人の経費は淨恩学園から。
曽我:はい。
和田弁:寿都だけの収支でみると赤字。
曽我:原価計算すると赤字。
和田弁:実際の経費は黒字。どうして
曽我:生産するための費用は措置費で補填。
人件費、水光熱費、作業指導費という形で補填しているので、赤字でも黒字に見える。
原告側代理人八木弁護士の 曽我知男 証人尋問
八木弁:松岡さんの入所時の手続きについて、その場にいたのは3名ですか?
曽我:事務室でしたので、前理事長や前事務員など7・8名がいたと思います。
八木弁:事務手続きには、そこにいた、みんなが関与したのですか?
曽我:いいえ。
八木弁:松岡さん側は3人でしたか?
曽我:はい。
八木弁:育成園側でじかに手続きに関与したのは?
曽我:3名です。
八木弁:手続きはどこでしましたか?
曽我:札幌です。
八木弁:すぐ寿都に行ったのですか?
曽我:はい、私が車でのせていきました。
八木弁:寿都では何か手続きはしましたか?
曽我:していません。寿都についてからは三原さんに引継ぎをして、入所するうえでの説明などをしてもらった。
八木弁:札幌での手続きに先立って東京で会ったことは?
曽我:ありません。
八木弁:あなた以外の育成園関係者は?
曽我:ない。
八木弁:東京で募集したことはあるのか?
曽我:書面で宣伝したことはある。
八木弁:松岡さんが入所にいたる経過は?
曽我:施設に空きができ、日野市に報告したところ、入所したい人がいると聞き、書類を送ってもらい判定した。
そして連絡を取り合い決まった。
八木弁:入所するとき、松岡さんはある程度まとまったお金、
400万円くらいを持っていましたが、そのお金の管理については?
曽我:預かることを拒否しました。
八木弁:それはなぜですか?
曽我:松岡さんは東京にいるときから「ステップ」というところにお金を預けていた。
印鑑や通帳などもそうだが個人的なものは、他に預かってくれる人がいるなら、その人に頼みたいという方針だから……。
八木弁:松岡さんが、札幌で入所手続きをする際の書類で、承諾書以外のものがあるか?
曽我:ありません。
八木弁:入所以前に、用意してもらったものはありますか?
曽我:身元引き受け書や、誓約書を日野市の人に送ってもらった。
八木弁:その場に互助会の人はいましたか?
曽我:いません。
八木弁:入所する人の中には、重度の人もいると思いますが、その場合はどうするのか?
曽我:保護者に書いてもらっています。
八木弁:その保護者というのは、後見人制度によって選任された保護者ですか?
曽我:いえ、実の両親や兄弟が多いです。
八木弁:松岡さんが退所する頃の平成13年5月時点で、年金を寄付していない人は、いたのか?
曽我:記憶にあまりないけど、2・3人はいると思う。
八木弁:それは法人全体でですか?
曽我:はい。
八木弁:法人全体で、何名入所しているのか?
曽我:360名。
八木弁:平成13年から変わりない?
曽我:はい。
八木弁:年金の承諾書の書式は、誰が作ったのでしょうか?
曽我:わかりません。
八木弁:いつ頃から使われていますか?
曽我:昭和45年くらいからあまり変わっていないようです。
八木弁:(甲7号証を見せながら)これはどういうものですか?
曽我:振替依頼書です。
八木弁:誰が作ったのですか?
曽我:事務員が作りました。
八木弁:松岡さんは5月に入所し、8月に手続きされていますが、入所した時から寄付させられていますね?
曽我:はい。
八木弁:名目が入所諸経費と書かれているが、このような記載は、どうしてですか?
曽我:それに使われているからじゃないですか?
八木弁:委託先も育成園になっています。本来なら委託先は「互助会」で、名目は「寄付金」ではないのか?
曽我:国民年金や入所諸経費などの個人の経費を1つずつすると、窓口も混乱するし、手間もかかる。
だから、一括で事務手続きをするために委託先を育成園にしている。
八木弁:実際の事務は育成園がしていたのか?
曽我:はい。
八木弁:誰が、どこで、作ると言うルールはあるのか?
曽我:事務の中では、あると思うが、わからない。
八木弁:道が、互助会の実態が把握できていない、と言っていることは知っているのか?
曽我:知っています。
八木弁:互助会の積み立てについてお聞きします。平成15年は10億円あったのは間違いないですか?
曽我:間違いありません。
八木弁:平成13年2月に互助会から育成園へ、宗教法人の返済の原資として9千万円振り込まれているが?
曽我:はい。
八木弁:互助会に申し入れした時の書類はありますか?
曽我:口頭で役員から確認は取ったが、書類はない。
八木弁:三原さんにもお聞きしましたが、育成園の基本方針は?
曽我:三原は先ほど社会復帰といったが、今は社会復帰という方針も出てきていますが、
どちらかと言うと一生施設にいろという訳ではありませんが、一生施設と付き合っていくという考え方です。
八木弁:それは具体的にどういうことですか?
曽我:3ヶ月以上の入院などで、措置費が切られてしまうので。その場合でも、出来ることがあれば手伝うなどです。
八木弁:(甲34号証を見せながら)これは、ご存知ですか?
曽我:道の特別監査結果の文書指導を受けての育成園からの改善の回答です。
八木弁:この中9枚目に作業収益がかかれているが、これは法人全体の収益か?
曽我:はい。
八木弁:個人のために使い還元する、と書いてあるが、法人の方針として間違いないか?
曽我:はい。
八木弁:東京ディズニーランドに旅行に行って、還元済み、と、とれるところがあるが、それはどういうことか?
曽我:作業収益だけを考えると赤字だが、施設ごとの訓練のためのお金などを合わせると黒字になるのでその分を還元している。
八木弁:道の監査結果では黒字になっているのに還元されていないとなっているが?これから還元する方針なのか?
曽我:もうすでに、個人の通帳に振込み、還元済みです。
八木弁:このときの収入は、すでに還元したと思っていいのか?
曽我:はい。
八木弁:道の監査で作業収益について聞かれたことはありますか?
曽我:ある。
八木弁:年金については?
曽我:ない。
八木弁:その他に今回のことに関わることを言われたことはありますか?互助会については?
曽我:ない。昭和47年に発足している。
八木弁:理事長の任期に対して指摘されたことは?
曽我:あります。
八木弁:年金の管理については?
曽我:毎回聞かれる。互助会で管理していると答えている。
八木弁:それ以上聞かれたことは?
曽我:ない。
八木弁:寿都で施設長をしていたのは、いつ頃ですか?
曽我:平成7年まで。それから理事長になった。
八木弁:それ以外に、監査で聞かれたことはありますか?
曽我:あります。
八木弁:なんですか?
曽我:作業収入の還元方法など。
八木弁:どれくらいの期間にわたって何回くらい聞かれたか?
曽我:はっきりとは覚えていないが、1回ではない。
八木弁:その他に言われたことは?
曽我:年金については父兄の了承を得てくださいと言われた。
八木弁:還元についてはどう答えているのか?
曽我:旅行などで還元していると答えている。今は、全員一律でいいのかなど配分について法人で議論しているところです。
八木弁:監査の時もそう答えているのか。
曽我:はい。
八木弁:それ以上のことは聞かれましたか?
曽我:いいえ。
八木弁:終わります。
道2弁:乙31号証、運営指導結果を受け取っているか?
曽我:はい。
道2弁:改善を要する事項などがかかれているが、間違いないか?
曽我:はい。
道2弁:会計区分について、本部・法人・施設で分けるように言われていますね?
曽我:はい。
道2弁:平成8年から平成14年度(特別監査)まで、ずっと同じような指導を受けていますが、どうして変わらなかったのですか?
曽我:以前は、施設会計・予算・決算を出していたが、法人全体のことが見えてこなかった。
工業簿記で全体を出した方が、指摘されているような区分での会計より近代的で、理解しやすい。
平成13年度から会計方法が変わり、育成園に近づいて来るので変えなかった。
道2弁:乙34号証に、強制力のないものに縛られたくないとかかれていますが、よろしいですか?
曽我:はい。
道2弁:自主的な運営をしてきたと言うことですか?
曽我:はい。
道2弁:年金関係の指導を受ける時も、理事長として立ち会っていたか?
曽我:毎回ではないが、だいたいは。
道2弁:預り金について聞かれた時は、どう言っていたのか?
曽我:直接は預かっていない。互助会が管理していると答えていた。
道2弁:互助会について説明したことはあるか?
曽我:ない。
道2弁:預り金を使うときは、互助会の役員から了解を得ているのですか?
曽我:はい。
道2弁:議事録はあるのか。
曽我:ありません。
道2弁:役員選出などは、どうなのか。
曽我:規約等はありません。
道2弁:社会福祉法人の入所者の年金預り金規定の内容は承知しているのか。
曽我:今は知っている。管理規定を作って間違いの無い運営をして下さいと…。
道2弁:父兄互助会は、その規定を満たしていたか?
曽我:それは、施設の預かり金ではない。
道2弁:北海道がする、育成園に対する運営指導に対する印象はどうか。
曽我:あくまで運営指導と理解している。昨年1月の特別監査は運営指導と同じものだとは理解していない。
道2弁:北海道が行う運営指導で、互助会の収支を明らかにするよう求められたことはあるか。
曽我:ない。
道2弁:求められたら、どのように対応するつもりだったのか。
曽我:父兄互助会は、道に対して答える立場に無いと。
道銀弁:どの施設に入る場合でも、入所手続きは、みんな札幌でおこなうのか。
曽我:いいえ。それぞれの施設でするときもある。
道銀弁:銀行の口座開設の依頼を銀行にするとき、平成7年当時、銀行の担当者は誰か。
曽我:覚えていない。
道銀弁:育成園の担当者は誰か?
曽我:さたけ。か、いしだ、か。
道銀弁:さたけの文字は?
曽我:左に竹
道銀弁:いしだは石に田か?
曽我:はい。
和田弁:担当者が開設依頼をするときは、年金のということで開設するのか。
曽我:はい。
左陪席:口座開設の際、育成園の担当者は、松岡さんから依頼を受けたということで開設するのか、委任状は。
曽我:委任状はない。口頭で。
左陪席:監査の中で平成10年から3年間寄付金の指導があるが、寄付申込書はつくったのか。
曽我:寄付申込書は作った。
左陪席:どういう
曽我:寄付金は運営、建築に対して使ってくださいという申込書。主旨を明確にということだったので主旨を明確にした。
入所者が寄付するということについての監査ではない。
左陪席:入所者が寄付する、ということについて指導を受けたことは、特別監査が入るまでなかったのか。
曽我:まちがいのないようにという、口頭、もしかしたら文書はあった。
左陪席:互助会には年金を積み立てる口座があったのか。園にあったのか。
曽我:あった。
左陪席:その口座から取り崩すときに役員の意思を確認するのか
曽我:その都度は無い。昭和55年、育成園を建て替えるときに、4億円。
寄付申込書をもらって預かっている互助会の口座から、育成園の口座に入れて払うということにした。
左陪席:(寄付申込書提示)
父兄会会長の書面。互助会とは書いていないが、何か意味があるのか。
曽我:父兄会会長が、互助会会長をかねていた。互助会として理解している。
左陪席:父兄会とは別に、互助会はあったのか。
曽我:ありました。
左陪席:宗教法人にも貸し付けた。互助会から?
曽我:法人に一時入れてもいいか、と。父兄会の役員6人、4人にした。
左陪席:父兄互助会の役員の名前は?
曽我:いしがき、まき? でむら? おおくぼ? 口頭で了承した。
右陪席:入所者からの承諾書を、平成14年までの間に道に示したことは。
曽我:ない。
右陪席:道の方から出すように求められたことは。
曽我:ない。
右陪席:承諾書に保護者氏名欄があるが、保護者にかいてもらうのか。
曽我:はい。
右陪席:障害程度が軽くてもか。
曽我:……。
右陪席:松岡さんの場合は、本人の意志なのか。
曽我:本人。一緒についてきた日野市の福祉事務所の人にお願いしたが、福祉事務所はサインできないということで、
本人ができるからということでした。
右陪席:意思確認がきちんとできたと、いえるか。
曽我:はい。施設のほうに年金を全額寄付するけどいいのか、互助会に入れてもらうがかまわないのか、
日野市の方から本人に説明している。自分の前で。
右陪席:松岡さんには父兄はいない。父兄互助会や施設の違いを理解していたと思えるか。
曽我:それは、わかりません。
右陪席:道の特別監査の結果、承諾書を出していない人にも、年金の振替をしていたことがわかったが。
曽我:それは、かなり、古い人たちです。
右陪席:何人かいるのか。
曽我:何人かいる。
裁判長:次回は、4月23日、原告側証人の尋問です。
〜閉廷〜
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