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2012年7月24日(火)付

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 手元のスクラップ帳をめくると、ちょうど10年前の今日、国連で拷問禁止条約議定書案なるものの採決があった。これに米国が横やりを入れた。子細は端折(はしょ)るが、つまり採択の阻止に出た。9・11テロのあとタリバーン兵らを片っ端から拘束し、深刻な人権侵害が漏れ聞こえていた頃だ▼採決で米国を支持したのは、中国、リビア、イラン、スーダン、ウガンダ、パキスタン……などだった。ご存じのとおり、多くは人権の軽い国である。そしてこの採決では、日本も米国に与(くみ)した▼取材していて、人権問題の国際組織の人から「日本は今度もアメリカと共闘したね」と皮肉られたものだ。その後のイラク開戦でも日本はひたすら米に追随した。顔見知りの他国の記者から「従順すぎないか」などとよく突っ込まれた▼だから「対等の関係」など建前だと分かっていても、オスプレイ配備をめぐる野田首相には脱力した。「米政府の方針であり、(日本から)どうしろこうしろと言う話ではない」では、言いなりの中間管理職さながらだ▼条約上拒めないのと、何もしないのは違う。トップがこれでは沖縄の民意は米側に届くまい。「安全が確認されるまでは飛ばない」の説明も原発とウリ二つだ。その原発はあっさり再稼働した▼昨日の山口県岩国市への陸揚げを、投票が迫る知事選への損得でしか見ない政治家もいるようだ。場当たり的ではぐらかしの多い政治の先に、どんな国の姿があるのか。明るい想像が浮かばないのがつらい。

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