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【愛知】

豊川海軍工廠大空襲を題材に演劇

暗い戦争の時代を懸命に生きる挺身隊員を演じる出演者ら=豊川市御津文化会館で

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 豊川海軍工廠(こうしょう)大空襲を題材にした演劇「豊川女子挺身(ていしん)隊」の出演者が、八月の本番に向けて練習に励んでいる。名古屋市千種区在住の俳優伊沢勉さん(54)の作・演出で、昨夏上演した「残された夏へ」に続く第二弾。伊沢さんは「戦争の残酷さを事実に沿って伝えたい」と話している。

 伊沢さんの父二朗さんは戦時中、豊川海軍工廠に勤めていた。伊沢さんも豊橋市の高校を卒業するなど三河に縁が深く、「工廠のあった豊川から空襲のことを後世に伝えたい」と考え、一昨年から取材を開始。工廠で空襲を体験した人から話を聞いた。昨年から出演者を募って自ら脚本・演出した創作劇を豊川市で開いている。

 昨夏の作品は、工廠で働く十代半ばの少女たちの物語。今年は二十歳前後の女子挺身隊員八人を主人公に愛国心や揺れる心、友情、淡い恋心を描く。

 学徒動員され、工廠で働く男子学生が志願して戦地へ赴く場面も見どころの一つ。挺身隊員の春代が、戦争に否定的な伊沢さん扮(ふん)する父親と対立。春代が「お父さんは国を裏切るんですか」と迫り、父が「国の犠牲になるな。生きていてほしい」と諭す場面もある。

 「国が起こした戦争で結局、弱者が犠牲になった。懸命に生きる若者の姿を実話に基づいて描いた」と伊沢さん。今後は出演者に空襲体験者の話を聞く機会をつくり、役づくりを深めてもらう。

 春代役の大学三年富沢結菜さん(20)=一宮市=は「戦争への参加を強制され、正しいと思うことを言えないつらさや、そんな中でも前向きに生きる人たちの強さを表現したい」。挺身隊員役の大学四年牧原祥子さん(22)=豊川市=は「多くの人が亡くなった戦争の悲しさを伝えたい」と話している。

 出演は十四〜七十三歳の二十五人。二月から毎週土日曜に稽古を重ね、今月一日には通し稽古をした。

 上演は八月十二日午後三時から豊川市御津文化会館で、九月二十九、三十日はいずれも午前十一時と午後三時から豊川市文化会館で。小中学生、高校生対象の上演もある。

 前売りは一般二千五百円、高校生以下千五百円(当日は三百円増し)で豊川市内の公共ホールなどで販売中。(問)上演する会の金沢さん=電090(1273)1579

 (志方一雄)

 

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