事件「線量低くするためやった」 鉛カバー指示の役員謝罪、解雇へ2012.7.23 19:00

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「線量低くするためやった」 鉛カバー指示の役員謝罪、解雇へ

2012.7.23 19:00
線量計に鉛カバーを装着していた下請け会社「ビルドアップ」が会見。佐柄輝男取締役が指示を認め、謝罪した=23日、福島県郡山市(荒船清太撮影)

線量計に鉛カバーを装着していた下請け会社「ビルドアップ」が会見。佐柄輝男取締役が指示を認め、謝罪した=23日、福島県郡山市(荒船清太撮影)

 東京電力福島第1原発事故の収集作業現場で作業員が線量計に鉛カバーをつけていた問題で、福島県郡山市の下請け会社「ビルドアップ」が23日、記者会見し、現場で指揮を執っていた、佐柄輝男取締役(54)が装着を指示したことを認め、謝罪した。同社は厚生労働省の調査が終わり次第、解雇する方針。

 佐柄取締役はカバーを装着した理由について「下見で線量がたまると鳴る線量計が短時間で鳴るのを聞き、鳴る間隔を延ばして不安を減らそうとした」と説明。「皆様にご迷惑をおかけしました」と謝罪した。

 22日の和田孝社長の聴取に「被曝(ひばく)線量の数字を低くするためにやった。悪いことをしている自覚はあった」と話したことも認めた。「線量自体を下げる鉛ベストも検討したがだめだった」とも釈明した。

 佐柄取締役の説明によれば、カバー装着を指示したのは昨年11月30日夜。いわき市の宿舎で作業員9人(2人は欠席)に「年間積算線量が20ミリシーベルトを超えたら原発での仕事ができなくなる」と話し、原発敷地内の廃棄物を加工した鉛カバーを装着するよう求めた。

 翌12月1日に中継地点のJヴィレッジ(広野町)で3人が装着を拒否すると、「付けられないなら作業に出せない」と話し、3人を宿舎に帰した。同日夜、「今後の指示にも従わないおそれがある」として契約を解除したという。

 実際装着したのはJヴィレッジに残った9人のうち放射線量が比較的高い現場に行く佐柄取締役を含む5人で、数字が変わらなかったために即日廃棄した。「低くなっていれば使い続けるつもりだった」と佐柄取締役は説明している。

 また、元請け会社の「東京エネシス」は23日、5人が予備に付けていた積算線量計や他の作業員が付けていた線量計と、鉛カバー付きの線量計の数値で著しい差がなかったと公表。「年間累積線量に与える影響は十分小さい」とした上で「二度とないよう全力を尽くす」とした。

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