マー君貫禄の２イニング無失点　直球勝負で沸かせた

　貫禄の２イニング無失点。ベンチに戻った楽天・田中将の顔には安堵（あんど）の笑みが浮かんでいた。「（パが）１、２戦目と負けてたんで、点を取られるのが嫌だった。０点で抑えられてよかった」。スタンドからの「よかったよ」の声や拍手に、何度も手を振り続けた。

　本拠地・仙台と同じ東北で行われるオールスター。震災被害を受けた球児が詰めかけた一戦でふがいない投球をするわけにはいかなかった。

　直球勝負は美学ではないと言っていた男が、初球から直球勝負をした。この日の最速は１５３キロ。２イニングで投げた２３球中、１９球が直球だった。花巻東高・大谷が１６０キロを記録した球場でのスピード勝負。盛岡のファンは心から酔いしれた。

　心残りもある。同級生の坂本に安打を許したことと、２イニングで３安打を浴びたことだ。坂本の左前打に「もう少し、きれいに打ってくれると思っていた」と“マー君節”をさく裂させつつ、「イニング以上にヒットを打たれて。らしさは出ていましたね」と苦笑い。それでも、勝てればすべてよし。「僕は東北のチームなんで、この地で勝ててよかった」と笑顔で語った。　（川越亮太）