練習後、チームメートやコーチから激励される新井(左から2人目)=トヨタスポーツセンターで
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名古屋グランパスは23日、DF新井辰也(24)がJ2のFC岐阜に期限付き移籍することを発表した。期間は13年1月31日までの約半年間。3月に負った左第5中足骨骨折から復帰し、チームに合流したばかりだったが、J2残留に向け守備陣のてこ入れを図る岐阜の要望に応じた。この日グランパスでの最後の練習を終えた新井は、ハングリー精神を取り戻してグランパスに復帰することを誓った。
グランパスで2年半の間くすぶっていた才能が、FC岐阜で磨かれることとなった。「試合に出られないと自分の価値も示せない。名古屋ではケガをしたり、うまくいっていなかった。声をかけてもらえたことはうれしいし、すぐに答えは出ました」。クラブハウス内の荷物を整理した新井は、初めての“武者修行”心境を前向きに語った。
中大を卒業して3年目、即戦力と期待されたが、これまで公式戦3試合出場1得点。今季も故障があり試合出場はなかった。188センチの身長に加え足元の技術もあり、潜在能力は誰もが認めるところ。ただ、プロサッカー選手としては優しすぎる精神面を指摘する声も多かった。
だからこそ、J1でも屈指の好環境を持つグランパスを出て、資金難に苦しむFC岐阜で過ごす半年間は、新井を覚醒させるには最適の環境だ。「恵まれているのはいいことだけど、名古屋にいると何も苦労しないでサッカーができる。J2のチームと練習試合をしていても、ハングリー精神が劣っていると感じていた。大学時代みたいに、それを思い出してやっていきたい」。新井自身も、生活を懸けてサッカーに取り組む選手たちのなかで、がむしゃらさを取り戻すことを誓った。
久米GMも「根性据えてやってこい。戦うところを身に着けて、また帰ってこい」と、背中をたたいて送り出した。「これだけのメンツと2年半やってこれたのは自信になるし、だからこそ、一つカテゴリーが下がる中でやられてはいけない」と力強く話した新井。まずはFC岐阜のJ2残留に貢献すること。そして成長した姿で、グランパスに戻ってくるつもりだ。
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