相続 弁護士

「給料を払ってもらえない!」「退職届を書けと言われた!」「これってセクハラ?」「労働時間が長すぎる!」

 

長引く不況の影響で、雇用環境、職場環境はますます悪化しています。他にも、パワハラ、過重労働、内定取り消し、派遣切り、雇い止め等々、職場には多くの問題が起こりえます。

 

しかし、法律上、労働者には、様々な権利がありますし、それを実現するための解決方法も、多様な方法があります。

 

ここ近年は、労働者側の鋭意的な取組みにより、労働者に有利な裁判例を勝ち取っているケースが多く、もはや労働者が泣き寝入る時代ではないことは明らかです。

 

ただ、労働事件は、ともすれば難しい知識が必要であることも多く、使用者(会社)とは情報面でも資金面でも大きな格差があることが普通です。

 

また、労働者の生活がかかっているという点で他の事件に比べて緊急性が高いものが多いといえます。

 

さらに、いまだ勤務中であれば、職場の人間関係や会社との関係悪化を恐れて、問題を大きくしたくない、目立ちたくない、という心理が働くこともあるかもしれません。

 

これらの問題が複合し合って、労働事件の解決をより困難なものにしているといえます。

 

当事務所では、より専門的な見地からできる限り多くの情報を収集し、使用者と対等以上の立場で交渉・訴訟等が行えるよう、資料・証拠の収集方法、職場での応対方法などきめ細かにお伝えして、労働者をサポートいたします。

 

また、 労働者に様々なニーズがあることを十分に理解し、単に問題解決を行うのみではなく、それに至る過程にも最大限の配慮を行います。

 

訴訟においても、経験を基に、労働法制・裁判例を駆使して、労働者の正当な権利の実現を目指します。

 

  1. 労働者の権利
  2.  

    (1)賃金の支払いを受ける権利

     

    当然ですが、労働者は、労働の対価として賃金(給料)の支払いを受ける権利があります。

     

    その根拠は、労働者と使用者との労働契約が基本となりますが、通常は、就業規則、給与規程等にその定めがあるはずです。仮にこれらがない職場で、口約束のみで給料の約束が行われていても、契約上有効です。

     

    しかし、昨今、会社の経営難等を理由として、賃金が決められたとおりに支払われないケースが多くなっています。また、時間外労働の時間計算がごまかされていたり、割増賃金(労基法37条)を支払っていなかったりするケースも目立ちます。

     

    労働者は、働いたことの対価としてこれら適正な賃金を得ることは当然ですので、支払われていない差額を請求することは何らやましいことではありません。

     

    なお、賃金支払請求権の消滅時効は2年ですので、お早目の請求が肝要です。

     

    (2)労働時間

     

    労働時間について、労働基準法は、原則として、週40時間を超えての、かつ、1日については8時間を超えての労働を禁じています(労基法32条1項)。

     

    例外的に、時間外労働時間を認める場合でも、法は労使協定や労基署への届出など厳格な要件を課しています。

     

    仮に、時間外労働を行う場合であっても、例えば、厚労省の脳・心臓疾患の労災認定基準では、「おおむね45時間を超えて時間外労働が長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まると評価すること」とされており、無制限に時間外労働を行わせてよいものとはされていません。

     

    (3)安全な職場環境で労働する権利

     

    セクハラ(セクシュアル・ハラスメント)、パワハラ(パワー・ハラスメント)、モラハラ(モラル・ハラスメント)など、職場における嫌がらせ行為については、社会的にその存在の認知度が高まりつつあることは周知のとおりです。

     

    裁判上も多くの事件で、これら嫌がらせ行為が違法の評価を受けており、それに対する慰謝料等の金額も増加の傾向をみせています。

     

    当事務所の弁護士が扱ったケースでも、一回のみのセクハラ行為(抱きつき・キス)に対し、判決で合計170万円余りの慰謝料・逸失利益が認められました。

     

    「職場で安心して働ける」ことも、仕事を行う上では極めて基本的な権利だというべきです。これがないがしろにされている場合に、泣き寝入りをする必要はありません。

     

    (4)解雇されない権利

     

    労働者は、それによって得る賃金・給料で生計を立てていることが通常です。それが、ある日突然解雇されたり、解雇されるかもしれない状況の中で仕事を強いられたりすることは、労働者の生活そのものを脅かすことになります。

     

    法は、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とすると定めており(労働契約法16条)、使用者の解雇権を制限しています。

     

    また、解雇とは異なりますが、有期雇用の雇い止めについても、上の解雇権濫用法理が類推適用されるという判例が確立しており、使用者が自由に雇い止めを行えるわけではありません。

     

  3. 職場におけるトラブルの解決方法
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    以下に挙げる方法は、いずれもメリット・デメリットがあるものですが、労働者の置かれた状況、トラブルの種類・緊急性などによって、適切な方法を採ることが重要です。

     

    (1)労働審判

     

    労働審判とは、裁判官1人と労働問題に詳しい民間出身の労働審判員2人が間に入って、労働についての紛争の解決案をあっせんして紛争の解決を図る手続です。

     

    平成18年4月から始まった制度で、平成22年4月からは、東京地裁立川支部でも取扱いが始まりました。

     

    普通の訴訟とは違って、原則として3回以内の期日で審理することになっており、労働事件には不可欠な迅速な解決が期待できます。また、必ずしも法律に縛られない柔軟な解決が可能な点も特徴です。

     

    一方で、3回以内に双方が調停案に合意できない場合は、通常の訴訟手続に移ってしまいます。もっとも、経験上、合意が難しいと思われる事件でも、裁判所の積極的な働きかけのために、比較的多くの事件で合意(調停)が成立しているように感じます。

     

    (2)訴訟

     

    労働事件も、通常の訴訟を行うのが原則です。

     

    この場合の訴訟は、より専門的なものとなり、労働法制や裁判例に関する広く深い知識が必要となります。一方で、労働者は、資料も知識も資金も格段に優位な会社を相手にしなければなりません。

     

    しかし、正当な権利を侵害されている労働者には法律が味方となってくれます。証拠をきちんとそろえて、段取りよく請求すれば、正当な権利は実現できます。

     

    (3)保全処分(賃金仮払いの仮処分)

     

    もっとも、訴訟には時間がかかります。通常、1年以上は覚悟する必要があります。

     

    その場合、例えば解雇されて無収入になっていれば、たちまち生活に困ることもありえます。労働事件の多くは、労働者側が明日の収入を求めて次の就職先を探して、問題のあった元の職場に対しては請求しないという、いわば泣き寝入りをしていて、裁判所や弁護士のところまで行かずに埋没していると思われます。

     

    しかし、訴訟に長い時間がかかることで、正当な権利の実現をあきらめる必要はありません。本案訴訟とは別に(先立って)、従業員としての地位を確認し、それに基づいて賃金の支払いを求める仮処分という手続があります。

     

    この手続を使えば、最低限の生活を守りつつ、しっかりと裁判に向き合うことができます。

     

    (4)その他の解決方法

     

    その他、労働事件の解決方法としては、労働委員会のあっせん、民事調停、ADRなどがあります。

 

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