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【平安名純代・米国特約記者】米空軍が南西部ニューメキシコ州のキャノン空軍基地で計画していた垂直離着陸輸送機CV22オスプレイ(空軍仕様)の低空飛行訓練計画が棚上げされていたことが11日までに分かった。アフガニスタンなどの戦地を想定し、夜間に低空飛行を繰りかえす同計画について、地元住民らが強く反対。環境審査(EA)の段階で計画の中止を求める意見が多数寄せられたため、空軍側は訓練そのものの必要性を再検討する必要があると判断し、計画の棚上げを決定した。
米軍の訓練計画が住民の反対で棚上げされるのはきわめて異例。4月にモロッコで起きた米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの事故との関連性は明らかにされていない。
同計画は、キャノン空軍基地一帯のニューメキシコ州北部とコロラド州南部周辺の約6万平方マイルで、人口が少ない山岳地帯などが対象となっている。
米空軍は2011年8月に環境影響評価ドラフトを策定し、同年10月から地域住民を対象にした公聴会を開催。その中で、年間飛行回数は最大688回で300フィート(約92メートル)以下は飛ばないなどと説明していた。
しかし、住民ら約1600人から騒音増加や安全性を懸念する意見が寄せられたほか、一部の市民団体は訴訟も視野に入れた反対運動を展開。計画の撤回を求める動きが強まったのを受け、地元出身の上院議員らは空軍に計画を見直すよう要請していた。
キャノン空軍基地第27特別作戦航空団が6日に発表した声明によると、公聴会で寄せられた住民らの意見を精査した上で、あらためて訓練計画の必要性を再検討し、13年までに計画を続行するかどうかを判断する。
反対運動を展開していた市民団体などは、地元出身の上院議員らの働きかけが功を奏したなどと評価。民主党のマーク・ユダル上院議員(コロラド州選出)は6日に発表した声明で、「パイロットらが戦闘任務に必要な訓練を受けるのは大事だが、この計画は地域住民らとのより密な調整を必要としている」と述べている。