アスベスト:阪神大震災がれき処理で中皮腫か 兵庫・明石市職員が発症
毎日新聞 2012年07月07日 東京朝刊
兵庫県明石市は6日、阪神大震災(95年)のがれき処理に公務で携わった40代の男性職員が中皮腫を発症したと発表した。がれき処理と発症の因果関係は不明だが、市は原因の一つである可能性があるとして、がれき処理に関係した職員192人を対象に、アスベスト(石綿)検診を実施する。職員は近く公務災害の認定を請求する。昨年の東日本大震災でも多くのがれきが発生しており、防じんマスクの着用など徹底したアスベスト対策が求められそうだ。
地方公務員災害補償基金兵庫県支部などによると、同県内で同様の訴えが認定されたケースはない。阪神大震災のがれき処理に従事した公務員で中皮腫の発症が表面化したのは初めてとみられる。
市によると、職員は当時、環境部でごみ収集を担当。震災直後の約3週間、市東部で家屋などのがれきをパッカー車に積み込む作業に従事し、その後の2〜3カ月間はがれきを仮置き場から処分場へ移動させる仕事をした。作業の際、マスクや軍手などを着用したが、防じんマスクではなかったという。
職員は今年1月から右脇腹に腫れが見られ、大きくなった5月に受診、6月に悪性腹膜中皮腫と診断された。抗がん剤治療などを受けて療養している。市は、当時の同僚から作業の状況を聞き取り、ごみ処分場でアスベストなど浮遊物の調査を行うなどして原因究明に協力するとしている。【近藤諭】