談合:韓国でまん延する四つの理由

■会合文化の弊害

 統計庁によると、韓国人は昨年、47%が何らかの公式な会合に出席した。この数値は09年の40%に比べ上昇した。各業界には、業界の共通利益増進と政府に対する陳情窓口として、さまざまな会合が公式、非公式に設けられている。同業者団体、職務別の実務者会合、地域別会合などがそれに当たる。そうした会合が談合の窓口として使われてきた。

 会合を好む韓国人の特性は、仲間内で群れる文化を生む。自分たちの利益につながることには強い結束力を見せ、離脱者を徹底的に懲らしめる。公取委の関係者は「最近調査を進めているある業種の場合、特定の大学の同じ学科出身者で構成される会合が業界を掌握しており、談合が容易な環境だった。自主申告があっても、談合調査で担当者は口を割ろうとしない」と話した。

 ソウルの繁華街・明洞にある銀行連合会のロビーには、月の半分程度は「市中銀行○○担当者会合」といった案内が出ている。最近公取委が譲渡性預金証書(CD)金利談合の窓口として注目しているのも「資金部署長懇談会」という担当部長クラスの会合だ。会合は月1回昼食を兼ねて開かれ、業界では慣行として定着していたが、公取委は談合の疑いが濃いとみている。金融業界の関係者は「会議の前後にあいさつを交わせば、CD発行などに関する情報が自然にやりとりされる」と明かした。

■官治経済

 官治文化が談合の温床になったという指摘も聞かれる。韓国経済が政府主導で短期間に高度成長する過程で、政府は法律の範囲を超えた行政指導を行うケースが多く、政府が決めた規則に企業が従うと、自然に談合が生じるという構図だ。

 さまざまな業界会合自体、政府主導でつくられたものが多い。昨年10月に公取委は保険会社12社が01年から6年間、保険商品の積立金の利率を談合により決定していたとする調査結果を発表した。公取委によると、保険会社は11の公式会合をつくり、相互調整を行う窓口としてきたが、うち七つの会合は金融当局主導で結成されたものだ。

■賎民(せんみん)資本主義

 もっと根本的な理由として、韓国経済が短期間に高度成長する過程で、正当な競争、市場ルールの順守、利益最大化という三つの原則を根幹とする資本主義がしっかり定着しなかったためだとする見方もある。三つの原則のうち、韓国では利益の最大化だけが強調される傾向がある。利益を上げるためには脱法的な手段を取ることも辞さない「賎民資本主義」の一形態が談合というわけだ。

 ソウル大法学専門大学院の李奉儀(イ・ボンウィ)教授は「韓国社会では『競争社会』という単語が否定的な意味で使われることが多いが、これは資本主義の概念がしっかり定着していないためだ」と指摘した。

金正薫(キム・ジョンフン)記者
前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連フォト