茜のフォーカルジストニア&脳動脈奇形(AVM)の記録

内科医の傍ら大好きなピアノをフルパワーで続行。鍵盤楽器奏者の指の障害『局所性ジストニア(Focal Dystonia)』と、その精査過程で偶然発見された全く無症状の『脳動脈奇形(AVM)』。この二つの別々の疾患を正面から体当たりしちゃってみる試み。2011年2月より開始。


テーマ:
ドイツ在住の日本人のジストニア研究者の草間律さんと、2月のジストニア発症以来、たびたびメールで情報交換をしてきました。
GWに来日する予定だったのですが、震災の影響でドイツからの渡航許可が下りず、その代替えで秋に来日になり、今日、GWにやる予定だったレッスンに行って来ました。

http://music.geocities.jp/musikphysiologie/main.htm


草間律さんは、武蔵野音大ピアノ科を出られた方です、ジストニアの研究者です。
あちらでは「音楽家医学」というジャンルがあるようで、その研究者ということになります。
上記のHPに興味をもったため、私はジストニア発症当初より、彼女と連絡を取って、ドイツの現状などをいろいろご教授いただいておりました。


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なかなか気さくな方で、結構ざっくばらんにいろいろお話することができました。
私の方も、これまで自分なりに情報収拾した「日本の音楽家ジストニアの現状」について彼女にお話できたので、彼女もまた、日本の(ある意味で結構まだ混沌としているという状態だと思うのですが)情報を得てドイツにお帰りになられるのではないかと思います。


詳しいレッスンの内容については、実は草間先生のほうから
『文章化するとさまざまな誤解が生じる』
『誤解をしないためには直接1:1でのやり取りが重要(ネットは好ましくない)』
という理由でやめてくれと釘をさされているため、詳しくは書けませんが、やはり目指すところはアヤコ先生とまったく同じだなと感じました。


結局、ジストニアで犯される筋肉の状態の把握、奏法における重心と力学的な位置関係の問題点の解決。 これを無視にはジストニアのリハビリはありえないと確信を持ちました。


これで、12月のカンピオン女史の公開レッスンでも事の本質が一致するようであれば、私の結論は確信に変わるでしょう。

テーマ:
先にご案内したとおり、11月末~12月頭に、フランスのジストニア治療師として有名なイザベラ・カンピオン女史が来日されます。 彼女は、ミッシェル・ベロフがジストニアになった際に、治療チームの一員だった方と言われていまして、音楽家のジストニア治療の第一人者です。


茜は、なんとなんと、キャンセル待ちでダメもとで受講生(自分がレッスンを受ける側。聴講じゃなくって)を申し込んだところ、キャンセル待ちが出まして、12月4日の14時~15時でカンピオンさんのレッスンを受ける事になりました!
詳しくは、


主催は、コンセール・パリ・東京さん。
http://paris-tokyo.cocolog-nifty.com/



聴講の募集は来週月曜日あたりから始まるのではないかと伺っています。
よろしくお願いします。

テーマ:
10月30日は、岡山から、mixiで仲良くしているみゆゆんさんが上京されていました。
彼女もまたジストニア(右手第1~4指)をもっていて、しかも私とほぼ同じような時期に発症しておられます。


私のジストニアは、「鍼灸」「ロルフィング」「ピラティス」と「奏法のリニューアル」を行い、現在も継続中ですが、この半年で劇的に良くなった感じがしていて、まだ100%ではないにせよ、「こうやって続けて行けばどうやらいいらしい」という、最初のとっかかりみたいなものを確実に掴んだという自信はあるのですが、そこがまだ五里霧中のなかにいるみゆゆんさんに、なにから一体どう伝えていいのか、ネットの向こうにいる(実際に数百キロの物理的距離がある)悩んだり苦しんだりしている彼女に対して、その「伝え方」としての困難さも感じていました。


そうこうしているうちに、彼女がついに、アヤコ先生のところにレッスンに一度来てみたい!とおっしゃられまして。
確かに1回でどうなる、というところも無くはないのですが(私も、「とっかかりが掴めたかも」と思うまでに10回ぐらいアヤコ先生のところに行ったわけだし、それを1回で、というのは困難なのはわかっているのですが)、でも、それでもその1回でなにか方向性の欠片でも、欠片が無理なら粉でもいいから、何か掴んでくれるかもしれないという気もしていて。
ぜひぜひ、と、お取り次ぎいたしました次第です。


で、めでたく今日の上京。
1月のグランミューズ西日本の入賞者演奏会以来の再会でした。

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結論からいくと、私が思っていたよりも症状が軽くて(実際、もっとひどい状態を想像していた)、彼女いわく「今日は特別に調子がいい」日だったようですが、それにしても、まったくリハビリの最初すら出来ないという状態では少なくともなくて。いやいや、まだまだ、なんとかなりますよ、そう思いました。

しかも、私が横でだまってみていてすら、



     あ・・・・ここだわ・・・・




と分かる問題点がけっこうハッキリしていて。
少なくとも、アヤコ先生が口を開く以前に私がみてすら分かる、ジストニアに共通する問題点だけでも解決できたら、大分ちがうと思うんですよね。
自分の復習という意味でも、横で見学させていただいてもの凄く勉強になりました。あらためて、みゆゆんさんに深くお礼申し上げたいと思います。


いまは便利な時代なので・・・・
みゆゆんさん、ちゃんとビデオカメラ用意されていたので、とりあえず私はカメラ係として、ちょっといろいろ動かしたりとかしていたんですけど、何度もレッスンに来れない分、ビデオで後から復習してくれたら、きっとレッスン3回分ぐらいは何とかなろうかな・・・と思います。


そして改めて、アヤコ先生が何をいわんとしているか、というようなことが、いま、こうして振り返ってみれることで、いろいろ繋がってくるものがありました。
先日他界した、アップルの創始者であるスティーブ・ジョブズは、スタンフォード大学の卒業式の有名なスピーチで


   『あなた方は、未来を見て点と点をつなぐことは出来ないけれども、
    過去を振り返ってはじめてそれらをつなげることが出来るのです。
    だからあなた方は、将来、その点と点同士が何らかの形でつながる
    ことを信じなければなりません。』


という言葉を残しているようですが、私の今日の状態はまさにその言葉その通りでした。その時は、ただ意味の分からない点でした。でも、こうしていま、自分の立場にあると、その点と、いまある点が、はっきり線でつながることに気付けるというか、線が見えてしまうのです。


アヤコ先生ご自身についても、彼女はいずれ、日本で有数の『ジストニアの回復期リハビリを教えられる指導者』として、その特異な立場をもつ人として有名になっていくのではなかろうかという予感めいたものを感じているのですが、改めて、彼女の懐の広さであったりとか、そうしたものを感じて、なんとなくじーんとしていた茜でありました。


本当に、ジストニアのリハビリは、「いままでが当たり前だった、無意識だったことの1つ1つを、見直す→直す」ことであり、膨大な時間がかかります。
しかし、この道を行く以外に、根本的な方法はないと私はいまは確信を持っています。


音楽家の局所性ジストニアは、何らかのきっかけで、脳に誤った神経伝達回路が出来てしまい、本来すべき動きではない動作がインプットされてしまった状態に陥っていると言われています。
その結果、指が巻き込んでしまったりして弾けません。
脳の病気です。
でも、脳そのものに何か「出来ている」訳では在りません。写真をとっても何もありません。あくまで神経伝達回路が混乱しておかしくなってしまっているというのが、いまのところ言われている病像です。


しかしながら、なぜ、その誤った神経の伝達回路の書き換えが起こってしまうのか、については、今の所まったく解明されていません。
ゆえに、この疾患は、「原因不明」なのです。


指の動作をしようにも、今までと同じやり方では、指が巻き込んでしまいます。ですから、「まったく新しい奏法」を身につけ、それを上書きするということによって、再び弾けるようになる可能性がでてくるのです。
パソコンで、インストールしたソフトが壊れました、というときは、一旦初期かして、再度インストールすればいいのですが・・・・脳の中でその再インストールを行う、というのが、我々の今、チャレンジしている事です。


奏法を変える、ということはそういう意味なのです。


また、複数のジストニアに精通する治療師の先生たちは、この局所性ジストニアという病気が、脳(中枢)の病気であるのは確かにしても何らかの、もっと”末梢”の問題として『きっかけ』『トリガー』があって発症しているに違いない、という結論でほぼ一致しているように思われます。
ジストニアの患者さんが、ほぼ例外なく極度の肩こりを抱えており、また腱鞘炎や外傷を過去に患った指にジストニアが好発することからも、脳に誤った神経回路が勝手に書き換えられてしまうようになった「きっかけ」は、必ずなにか末梢にポイントがある、つまり脳の病気なんだけど最初の最初の発端は脳ではなく、首なのか肩なのか肩甲骨なのか腕なのか手首なのか、どこかしら末梢に問題があったはずだ、ということのようなのです。
従いまして最近、私は、「この疾患は脳の病気だと言われているけど、脳”だけ”の病気というわけでもないようだな」という印象を抱いています。(敢えて、専門医の皆様に喧嘩をふっかけるような言葉だけど。w)


中枢神経(=脳)だけではなく、末梢(=首、背中、腕、手首、指などなど)に必ず問題がある。
従って、奏法を全取っ替えするという作業をしつつ、体全体を見直し、ジストニアになったトリガーとなった問題点を洗い出して行かねばならないというのが、我々には必要になっているわけです。


メールでやりとりをしたドイツのジストニア研究者に言われたことなのですが、ジストニアから復活を果たすことに成功した(完全完治例)演奏者たちは、間違いなく、ジストニア発症以前よりも、演奏技術が格段にあがり、本人たちも「過去の自分なら困難だった曲がジストニアが直ったころには楽に弾けるようになった」と言うのだそうです。
実はアヤコ先生もまったく同じ事をおっしゃっておられました。


なので、それこそ、点と点をむすぶ、というスティーブ・ジョブズの言葉じゃないですけど、我々は未来に向かって点と点を結ぶことはできず、過去を振り返った時に初めて点と点は線になりうるのでありますから、それを信じて突き進むしかないと私は思います。


さらに、それこそレオン・フライシャーや、ミッシェル・ベロフのような名ピアニストですらこの病気になるわけです。彼らは当然名だたる音楽院で「脱力」とかなんてとっくのとうに学んでるわけですよね。 それでも罹るわけです。
なので、私は「正しい弾き方」というよりも「正しい体の在り方を踏まえた弾き方」というのが正解かなと思っています。
ベロフもフライシャーも、音楽的な意味合いでの弾き方はちゃんと正しかったんだと思いますよ。だって彼らはちゃんと教育を受けた名ピアニストですから。でも、彼らの弾き方は「彼らの体の正しい在り方にのっとった弾き方」ではなかったんだと思います。 だからジストニアになったわけです。
そこが大きな問題なんじゃないかな。

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ドイツ在住の日本人のジストニア研究者、草間律さんが来日されます。
本当は今年のゴールデンウィークに来日される予定だったのですが、震災の影響でドイツ国内の渡航許可がおりず、中止になっていました。


http://music.geocities.jp/musikphysiologie/main.htm


こちらに来日の予定などが書かれています。
ご興味がある方は連絡を取られてみてください。
2~3時間を要するの1:1の個別レッスン形式のようです。

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緊急告知です。

ここ数年何度か日本に来日されているフランスのジストニア・リハビリの大家、イザベラ・カンピオン女史が再び来日されるようです。

カンピオン女史は、あのミッシェル・ベロフがジストニア(公表していないですがどうやらそうみたいです)になった際に、そのバックアップに携わった治療師の1人だとされています。

主催は、コンセール・パリ・東京さん。
http://paris-tokyo.cocolog-nifty.com/

上記ブログで受講および聴講の募集をしているようです。
管理人もぜひぜひぜひぜひぜひ、聴講にいきたいと思っています!!!
(本当は受講生がいいのですが、私の場合はかなり直って来てしまっているため、受講生としてはふさわしくないのではないかと自分で思っています。もっと症状がはっきりしている方のほうがいいような気もしているため、主催にその旨も書いて送りました。)

このブログの読者には、ジストニアを抱える音楽家さんもたくさんいらっしゃると思います。
是非、聴講だけでも行かれてはどうでしょうか?


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ピラティス、9月末に体験レッスンに行って、そのまま入会、そして2回通いました。
我が家は愛犬の体重が酷いことになっており腰椎ヘルニアになってしまったりしてるんですけど、飼い主の私の体重もシルバーウィークの暴飲暴食がたたったのか、過去最悪を記録しておりまして・・・
二人(二匹で?)ダイエットせねばな状態なんですが・・・

この年齢なので、見た目の問題どうのこうの、ではなく、老後の健康のために「運動」とか「減量」とか重要だよなと思う今日この頃であります。
老後に健康状態を持たせるためのダイエットでなければ。


そんなわけでピラティス。
いや~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!





   オ     ス     ス     メ     で     す





 
ジストニアの皆様だけでなく、肩こり、腰痛の在る方、頭痛持ちの方。
ぜひやってみてください。ぜんぜんキツくないです。筋肉痛にもなりませんでした。それぐらい、ベーシックで、無理の無い動きが主体です。
(キツいのはほんの一部だし、何故かそれやってもほとんど筋肉痛にならなかったです)


なんかこう、肩こりもこれ続けていたら効きそう。
なんか、いままで、呼吸が浅くなっていた(生きている普段の状態が)ような気がするぐらいです。
あの呼吸の仕方になるだけで、いろいろ気付くことがあります。
あと、自分が肩甲骨や肩や首を如何に力入れて生きていたか。
いろんなことに気付きました。


とりあえず、終わった後のスッキリ感があまりにも爽快で。
続けますこれは。


ちなみに、いま、ピアノの方はかなりいい感じです。
8割がた、ジストニアであることを気付かないで弾けるな~っていう雰囲気ですね。
特定の動きがダメだったりするのはあるんですけど、それも随分減って来た感じがします。
3月からジストニアのために、いろいろなことにチャレンジしてきました。
アレクサンダーテクニック、ロルフィング、鍼灸、そしてピラティス・・・・
どれもよかったです。
そして「アレクサンダーテクニック」と「ロルフィング」と「ピラティス」は根底の概念が非常に似てるというか、本質は同じことなんじゃないかという気が、全部をやってみて、ものすごくそう思えて来ました。
同じなんだけど、それをどういう言葉で伝えるのか、どういう体系として具現化したのか。
ただそれだけの違いのような気がします。


ジストニアの音楽家の皆さん、きっといろいろなことで絶望感を味わうことも多いかと思いますが。
身体の再構築でイケる、というメドがある程度私の中にたってきたので。
本当にここからは声を大にしたいと思います。
身体の再構築ですよ!!!
医者の私が言うのもなんですけど、薬で治せる病気じゃないもんですから、結局はどんな方法になろうと、身体変えないと解決しないんだと思います。



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ついにピラティス、デビューしました!

根っからの運動音痴、小学校中学校の体育は1と2しか取っていないはずなのですが、とりあえず、やってみることにします。
それもこれも、ジストニアの回復のためなら、、、です。

ピラティス、よく「ヨガと何が違うの?」と聞かれますが・・・
やってみて思ったけど、多分全然別物だと思います。
どっちもマットの上で行う体操みたいなものですけど、ヨガは瞑想とか精神性みたいなものが占めてるウエートが大きいですけど、ピラティスはもっと純粋に”動き”そのものであり「軸」と「インナーマッスル」の世界だなあと思いました。

ジストニアの改善のためには、身体の軸を意識して、身体の動きの1つ1つを見直さなくてはいけなくて、アヤコ先生からは(先生ご自身もピラティス愛好家なのですが)
「ぜひやってください!」
って強く勧められておりました。

私が行くのは、ピラティス専門のスタジオなのですが、たま~にヨガとかのクラスもあって、フェルデンクライス(=ドイツのピラティスとはまた違うボディーワークの一種、じつはこれもジストニアに有効というお話をドイツの研究者から聞いています。)のコースもあります。
曜日もいろいろで、初級レベルのものだったらどのクラスでも好きに取れます。
私の場合、ピアノのレッスンが入ったり入らなかったりなので、曜日を固定されてしまうと辛いのですが、月4回までで好きな枠をネットで予約すればいいだけなので結構良いなあと思いました。

続くと良いなあ・・・・

それにしても絶望的な身体の固さに凹みそうですが、しょうがないわな。


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女子医大のガンマナイフの専門家、林先生の奥様が経営しているセカンドオピニオン専門の外来に、土曜日の午後、行ってきました。
こんな素敵なクリニックです。
CMA神楽坂
http://cma.gtcs.jp/index.html


セカンドオピニオンだけを専門にしてるので、何も診療行為はできないし、話をして、話をするだけの場所なのですが、先生ご自身が「大学の外来だとちゃんと話が聞けない」ということに不満を持って開設したというだけあって、1人1時間。
まーったり、じーっくり話が出来てホントよかったです。


ちなみに、林先生の奥様たちはここでアロマテラピーやってらっしゃいます。
私、アロマテラピー大好き人間なので、今度やってもらうことにしました。
ちなみに、市中のアロマテラピーサロンですと、私のように脳の血管疾患があると申告してしまいますとほとんど門前払いされてしまいます。 でも、ここに出入りしてる人たちはみんな脳外科疾患の患者さんばっかりなので、前提がそこから始まっています。
で、まあ、それは横へ置いといて。


で。
林先生は
「んー、”先生ならどうしますか?”とこの前聞かれてから、ずっと答えを考えていたのだけど、やっぱり僕だったら治療しないで置いておくかも」
と。
なぜなら、血管の性状とか状況を考えると、通常のAVMや、そのなかでも脳室に近い場所にできているAVMなんかだと破裂すると脳室内への出血になって大事になるのですが、そういうのと比べて
「中村さんのは、たぶん破裂しても死なないと思う。麻痺もでないと思う。」
と仰せに。


あくまでも予想だけど、と、断った上で
「視野障害と頭痛で、もしかしたら~とか言いながら歩いて来院するかなと予想しています」
とのこと。 (いやでも、あたし、多分そんな状態だったら怖くて救急車を呼んじゃいますが。)
つまり破裂しても、超大事にはならない形で出血する可能性のほうが高いように思うんだよなー。と。
なので、「僕なら、破裂してからどうするか考える。」とのこと。


んーーーーーーーーーーー。
そうですか。
困ったな。。。。。


ただ、実家の母親が「早くオペしてもらっちゃいなさーい!!!」って言ってるという話をしたら
「ああ、わかります。やっぱりこの病気、先天”奇形”なので、母親は子供に、こんなものを持たせて生んでしまった、っていう罪の意識をものすごく持ってるんですよ。だから、早く治療して消してしまって!っていう焦燥感ににた気持ちは絶対にお母様の心の中にどっかに絶対にあると思う。」
と。まあ、そうなのかもねー。


彼は、ガンマナイフでやってやれないことはないけど、通常のAVMとは形が異なり、100%の成功率だとは言えないタイプの物だと。
やって悪い事は無いし、年間4%ぐらいの破裂のリスクを、ガンマナイフやった場合は完全消失してなくても2%ぐらいには減らせるというデータが一応出ているので、やって悪い事は無い。
ただ、いずれにせよ年数が3年とかたたないと結論がでない。(これはガンマナイフはどの患者さんも同じ。)
なので、治療してしまいたいというのであれば、確実なのはやっぱりオペ、とのこと。
でも、先生は「自分だったら破裂するまで放っとく。」と。これが彼の答え。


あと、教授が言っていた
「飛行機に乗るのはあんまり良くない(破裂するかも)」
っていう話は、林先生は
「そんなことはないと思うし、そんなデータは実際無いと思うけどな。少なくとも僕はそういうデータは見た事が無い。ダイビングで破裂したケースは聞いた事あるけど飛行機は僕は聞いてない。」
と言っている。(これ、ほんと、どっちなのか重要なんだけど・・・ようするにデータはないってことでしょうね。)


まあ、いずれにせよ、ぜんぜん考える余裕があるので、良く考えてからでいいよ。
と、教授と同じ最後は締めくくり。

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私の中では、ガンマナイフの確実性が無い(3年待っても、確実に消える保証が無い。)という部位に出来ている以上、ガンマナイフという選択肢は無いかなと思っています。



放置。
ないしは
オペ。


どっちかだなあ。
オペも、どうせいつやったって仕事1ヶ月休まなきゃいけないのは同じ。 10年待っても自分はまだ50歳だし、どうせ仕事してるわけで、どうせそのときだって1ヶ月休まなきゃ行けないのは同じ事。
職場は、「急に倒れられるほうが100倍困る。」と言っている。
待機的なオペの方が職場は有り難い訳よ。たとえ1ヶ月休むにしても。



母の希望はオペなんだよな。多分、間違いなく。



はあ・・・・困ったなあ。



教授も、オペしないで、放置=経過観察でも良いよ、とは言っていたけど、
「オペで視野障害になるのと、破裂して視野障害になるのだとすると、多分破裂したほうが視野障害は酷くなるだろうなあ。」
と言っていた。それも気にはなる。
悩みます。。。。。。
林先生は「悩んでる時は決断しない方が良いよ~」と笑ってたけど、こんなもん悩まずに決められるわけないだろー。


それにしても、林先生、私と年は5~6歳しか違わないはずなのに、ガンマナイフの術者としては日本有数の名医でありながら、ビジネスモデルとして、このクリニックの展開が素敵すぎます。
いや~。私、本当はこういう、”医療本体”じゃないっていうか、保険診療じゃない周辺事業的な(それこそアロマテラピーとか併設してるような)クリニックっていいよな~ってずっと思っていたんだけど、自分が起業家としての才覚があるとは思えないし、経営リスク背負って開業する自信もないので自分で起業するということについては避けて来たのだけど、ああいう現実化された状態を見てしまうと、林先生のように超最先端の医療技術の一線のプロでありながら、同時に周辺事業としての起業家でもあるというのは、両立しうるんだなーと思って、別の意味で尊敬してしまった。


彼は言っていた。
女子医大にいるのは「仕事」
クリニックにいるのは「趣味」
でも、趣味でセカンドオピニオンできるっていうのはやっぱり患者さんが好きでなかったら無理だよ、と、私は思うのであります。私はそんな林先生を心から尊敬しています。


テーマ:
ということで、午後に女子医大脳外科の岡田教授にお会いしてきました。


しかし、話の本題以前に思った事。
脳外科の先生たち、ガンマナイフの林先生も、教授の岡田先生も、ひじょ~に物腰が穏やかな感じで、なおかつフレンドリーで、そして医者の私にすら専門用語連発することを回避していて(別に専門用語バシバシ使ってくれてもわかるにゃわかるんだけど・・・一応)してくれていて、その説明の分かりやすさはピカイチですわ。
 医療従事者の私から見て、素晴らしいなと思った。
 というか、こういう先生たちを見ると、あたしたち町医者たちも、もうちょっと、専門用語一切使わないで全部説明出来ることを、もっと磨かなきゃあかんなとつくづく思いました。
 (それでも私は卒後ずっとそのことを意識しているので、「専門用語使わない」ことを患者さんには喜んでいただけてはいるのですが、それでも、上には上がいると思いました。)


ということで、あたしのAVMのオペのアプローチや難易度もろもろ。
まとめてみると、



    <オペ>
    ・血管の本数は確かに多いが、全部脳の表層を始末すれば済むもの
     ばっかり。アプローチの困難な血管は1つもない。
    ・脳自体の病変も小さい上に表層。視野障害が出てもほとんど自覚
     がないレベルで終わる可能性が高い。
     (運転免許を返還するようなことにはなるまいと)
    ・出血量も100cc程度で済むだろう。自己血を保存しといても、
     もしかしたら使わないかも・・・なレベル。
    

なんか昨日だか、側頭葉の表層の私と似たような大きさのAVMの手術をやったらしいのですが、それが1本の血管をどうしても傷つけないで残しとかないといけないような術式で、その1本を周囲組織からはがしていくのがちょっと面倒だったけど、それでも300cc程度の出血で終わったとのこと。
 私の場合は、はぎ取って残しとかなきゃいけないような血管が無く、全部結紮してしまえば終わるので、本数が多いとはいっても昨日のヤツよりは全然楽だ、と仰せになっている。
あと、視野が影響うけていないかどうかは、全身麻酔かかっていても術中に確認できるんだそうです(光あてて反応があるかどうかみるんだってさ。へえ~。)


「ガンマナイフ側の意見も是非聞いておいで」
と言われたので明日、林先生にも会いますが・・・
ガンマナイフ側の難易度としては難しい方だと思うよと、教授。
なぜならば、脳のあまりにも表層、あまりにも頭蓋骨の直下なので、角度的に放射線がうまく当たらない、つまり病変の一部分しか焼けないっていう可能性がどうしてもあるからなんだそうです。
 ものすごく大きなAVMの場合は、二期的、三期的に焼いていく場合もあるようですが、この場合はそれとは状況が全然別で、小さなAVMなのに「角度的に焼き切れない」場合は二期的に焼こうが三期的に焼こうが角度的に難しいものは難しく、結局何度やっても焼き残し→そこから破れる、ということにもなりかねないとのこと。
 どうしても仕事休めない、というなら、考慮すべき治療かも知れないけど、もしちゃんと休めるのであれば、やっぱりオペの方がいいんじゃないかと思う、と教授。

 私も全く脳外科は門外漢で学生の頃の卓上知識、一般人がネットで調べられるのと変わらない程度しか知識はありませんが、一応「AVMの年間破裂リスクは4%」と脳外科の先生たちは口を揃えて言いますね。 どういうデータと計算でその4%を算出したのかいまいちわからない。教授に聞けばよかったなあ。 あとからちょっとしまったと思った次第。


 教科書的には
「105-今の年齢=この先の生涯で破裂する可能性」
という試算もよく見かけます。私なら、一生涯のどっかで破裂する可能性は
 105-40=65%
ですかね。(ああ、40歳なんですよ。今年。というか、もうすぐ41ですよっ!)


しかし教授も今日、言ってましたが、AVMの出来てる部位や大きさ血管の性状に、あまりにもバリエーションがありすぎて、そのバリエーション全部ひっくるめて4%ってだけだから、あなたが放置してこの先いつどうなるか、破裂するかしないか、は、実は誰にもわからんのです、と。
統計学は統計学でしかないですもんね。

そして言われたのは
「飛行機は正直、あんまり良くない(気圧の変化で破れないとは言えない)から、海外とかバンバン行きたいならオペのほうがいいね」
と。 (うーむ、あたしが海外旅行好きだとどこでバレたんだろーか・・・何も言ってないのに!)

ちなみに、全身麻酔ですけど、普通に考えたら、術後1週間で退院だそうです。
(これは想定外に早っ・・・と驚いた。2週間ぐらいと予想してたのに。)
術前3日前に入院してもらうので、大体2週間、と言われた。


 ま、心臓外科のオペもね。 待機的な手術の多くは10~14日で退院なんですよ。
(具合悪くなって緊急入院した手術はもっとかかる)
 胃や大腸の手術と違い、術後すぐにご飯が食べられる脳や心臓のオペは、じつは退院までが早いのです・・・


岡田教授は「もちろん、そのまま放置案もOK」とのこと。
ただ、年間4%は破裂リスクがあること、また、破裂したときは視野障害で済むのか、それとも左半身麻痺+言語障害とかになっちゃうのか、寝たきりになるのか、命無くなるのか、それはわかんないとのこと。


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実家の母は以上の報告で・・・・



    「さっさとオペしてもらっちゃいなさいっ!!!」



と、オペ側に1票。
ま、彼女は最初からオペでできそうならオペってずーっと言っていたのでね。








テーマ:
9月2日に再び脳外科に行ってきました。
(ジストニアのほうではなくAVMの話で)


6月に血管造影検査をしたあと、さっさと外来で方針どうするのか話し合わなきゃいけなかったのですが、なにせなにせなにせ、外来で最初に見てもらった林先生の予約があまりにも取れない!2月まで取れない!
キャンセルがでないかしばらく何度か電話かけて聞いていたのですが全然だめで。
こんなことなら、退院するときに予約入れてもらっとけばよかったと後悔。
(たいてい、入院中に院内のスタッフが予約いれると何故か入ったりするんですよ。患者が外から代表番号→予約センターで再診予約を入れようとすると、ぜんぜん予約が取れないのです。これ、ありがちな大学病院の状況。)


で。外来センターの誘導にしたがって、林先生と同じガンマナイフチームの別の先生の外来へ行く事に。

それで、血管造影の状況を聞く事に。
流入動脈の本数が多くて、MRIでは1本に見えていたのが、実は5本もいっていて。
ナイダスがあるにはあるんだけど、それは結構小さくて。
で、血管の状態的には「脳動静脈奇形:AVM」というよりはむしろ「脳動静脈瘻(瘻:fistula):AVF」に近い形状であることがわかりました。

 
これ、ネットで調べてもでてくるんですが・・・
瘻=fistulaのタイプのほうが手術、難しいらしいんですよね。


一番最初、林先生は視覚の領域なので手術だと合併症で視野障害がでるかもしれないから、ガンマナイフでやれたらいいね、という方向性だったのですが・・・
瘻=fistula のタイプだと、ガンマナイフだとあんまりうまく行かないんだそうです。(多分、流速が強すぎるからだと思う。流入動脈の本数が多いうえに、たぶん動脈と静脈の繋がっている孔がでっかいんじゃないかなーって個人的にはイメージしてるのですが、何せ私ですら専門外のためイメージでしかありません。不正確かもしれないんだけど。)
血管造影をやってくれた先生は「ジェルで塞栓」みたいな案もおっしゃっていたのですが、とりあえず9月2日に林先生の代行で外来をお願いしたガンマナイフ外来の先生には


     「手術(オペ)が第一選択」



といわれてしまいました。
ガンマナイフがうまく行かないから、だと思います。

ただ、手術が第一選択で手術勧められてるわけじゃないのは明らかです。
だって、最初の段階で「合併症が結構いろいろシビアなのでガンマナイフで」って話だったわけなので。これはあくまでガンマナイフが困難だからオペって話になってるだけな気がする。というかそうなんだと思う・・・・


しかも、調べれば調べるだけ出てくる、脳動静脈瘻=オペ困難(不可能)、の文字・・・・


来週、オペの相談で教授の外来へ回されちゃったんだけど、なんかどんよりした気分になってしまいました。せっかく、ガンマナイフで、開頭手術免れていけるかな!って思ってたのに。
しかもオペしても、結構その手術が困難で。合併症の危険性が結構あるとなりますとね。
なにせ、あたしいま、「何の症状もない」んですから。
ジストニアの発症の時にMRIとって、偶然見つかっただけなんですよね。
痙攣もなく、視野障害もなく、脳動静脈奇形/脳動静脈瘻の症状って、何一つない。
なにもない状態で見つかって、手術したばっかりに合併症だ~なんだ~~・・・それじゃなにやってるかわかんないわけです。


考えちゃいますよね。
放置=経過観察、って案もあるんですよ。
ただ、年間4%の破裂のリスクがあります。
破裂したら、10%くらいは死んじゃいます。
残る90%のうち大半は、麻痺や言語障害など大きな後遺症を残します。
瘻=fistulaのタイプの破裂率は、普通のAVMに比べてどれぐらい多いのか少ないのか私、そこまで知らないのですが(いま文献ちらほら見てますけど・・・)同じぐらいって仮定しても、破れたら結構とんでもないことにはなるわけで。

変な話、破裂したら両手でピアノ弾くことはもう無理でしょうね。
せっかくジストニアについては、ここまでいろいろ頑張って来たのに。
すべて台無しになるでしょう。
それどころか、半身麻痺になってしまえば、自分は医者としての仕事もできず、親に介護をさせてしまう生活になってしまうかも。。。。


そうかといって、オペしても・・・・
まあ、来週、教授がどれぐらいの勝算であるとお話をされるかにもよりますが・・・・
そんな楽観的な話では絶対にないと予想。
瘻=fistulaな段階でオペは絶対に通常のAVMより困難って、どこみても書いてあるんだから本当にそうなんだと思うわよ。
きっと出血なかなか止まんないで、手術時間とかめっちゃ長くなるんだろーな。ドレーンなかなか抜けないとか。で、頭蓋内感染おこすとかさ(・・・このあたりスミマセン、なまじ医療従事者なので予想がついてしまうんですよね~)、術後の経過の困難さがわかってしまって、なんかこう、定型のオペの予定では絶対にいかないと思う・・・・
それでさらに、術後合併症で視野障害で同明半盲とか、泣きたいですよね~(泣)。


どっち選べって・・・・
これ、年間4%爆発の危険性がある原発の近くにそのまま住むか、それとも思い切って原子炉を取り除く撤去工事をするけど、その撤去工事がむっちゃ難しいけど、あんたどうする?みたいな話なのかな・・・例えが悪いか。
でも、気分的にはそんな感じですよ。(;_;).....orz


なんかすごくブルーになってきた。


ジストニアの皆さん、MRI撮るように私は以前にもおすすめしましたが。
ジストニアの方は、基本「脳には何もない」はずです。
私のような別個の病気がもう1つあった、っていうケースはレア。
大半の人は、「何も無い」綺麗な脳が、そこにあるだけでしょう。
希望をもってくださいね。
少なくとも、年間4%で破裂のリスクを背負い、破裂したら10%くらいは死に至る可能性を背負った私よりは、ずっとずっと、幸せです。


生きていれば、ジストニアのリハビリはなんとかなりますよ!
生きている事がまず、重要です。








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