【日中憂交】国民の血税で中国工作員を援助する矛盾

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2012.06.29


外国人留学生を30万人にまで引き上げる計画は、日本の大学を工作拠点にしかねない【拡大】

 長引くデフレと少子高齢化社会という逆風を受けながら、なぜ大学は潰れないのか? 現在、政府は「グローバル30(国際化拠点整備事業)」というプロジェクトを進行中で、外国人留学生の受け入れを30万人にまで引き上げようとしている。問題はその奨学金だ。

 日本人が日本の大学などに通う場合、奨学金を借りれば卒業後は返済の義務を負う。現在、学部学生の半数以上、大学院博士課程では65%がこの奨学金制度を利用し、200万円以上もの借金を抱えて社会人デビューする。就職氷河期が続くなか、奨学金返済に困る卒業生も増加している。

 一方、昨年度、国費留学生の「研究留学生」には月額15万円、教員研修留学生には15万2000円、学部留学生(5年)や高等専門学校留学生(4年)、専修学校留学生(3年)には月額12万3000円の奨学金が「支給」されている。

 しかも国立学校に関しては学費免除、私立大学は文科省負担でその負担額は11億4200万円。渡航費用も日本政府が航空切符で負担のうえ、渡日一時金2万5000円を支給、給付期間もそれぞれ在学期間プラス1年分の日本語習得期間分が入っている。

 私費留学生学習支援金制度では、月々8万5000円が受給され、ヤング・リーダーズ・プログラム留学生に至っては月額25万5000円が支給される。いずれも滞在中は国民健康保険に加入し、本人3割負担だ。

 「グローバル30」によって、2011年度で留学生は13万8000人に達し、国費留学生に197億円、私費留学生に72億円、短期留学生に13億円、さらに学費として文科省が負担する分を合わせると、合計293億円以上もの国民の税金がバラまかれている。

 そして、留学生のなかで中国と韓国の出身者が75%を超えている。尖閣諸島に領土的野心をあらわにし、竹島を不法占拠し続けるような国々を、どうしてこれだけ優遇するのか。日本は毎年35億円以上の負担を加算し続け、グローバル30の最終目的である留学生人口30万人となる2020年には約610億円を超えて膨れ上がる。

 国防上の問題もある。

 中国人民解放軍は昨年、陸軍兵士80万人の削減を打ち出した。防衛関係者の間では「リストラ兵士が日本に留学生として送り込まれる可能性がある。退役軍人問題を回避し、日本の大学を工作拠点にできる」と警戒されている。現に、私は現職警察官時代、元解放軍兵士の留学生を何人も取り扱ったことがある。

 国民の血税で、大学に天下りポストを確保する文科省と、奨学金を貯金する外国人留学生、日本の弱体化を狙う国家が「三方よし」となる制度を続けていいのか。増税以前の大問題である。

 ■坂東忠信(ばんどう・ただのぶ) 宮城県生まれ。警視庁巡査を拝命後、交番・機動隊勤務などを経て、通訳捜査官・刑事として、数多くの中国人犯罪捜査に従事する。2003年、勤続18年で警視庁を退職。その後、ノンフィクション作家として執筆・講演活動に入る。著書に「日本が中国の自治区になる」(産経新聞出版)、「日本は中国人の国になる」(徳間書店)など。