2001.07.16
関 東地区の小棒メーカーはベース、細物とも各社夏季減産を予定し、大幅な需給調整に取り組む。7、8月は6月比で20―30%程度の減産となるもよう。細物では7、8月で5万―6万トン(ロールベース)の輸出もあって供給削減が加速する。メーカーでは7月の売り出しを2回に分け、16日からの後半売り出しはベース据え置き、細物は値上げの方向。メーカー各社は枠売り、輸出、夏季減産の相乗効果を足がかりに市況のテコ入れを図る。すでに足元下値が切り上がってきており、「タイト感が出れば市況上昇の可能性は高い」(専業商社)との見方が広がってきた。

 電炉各社は、夏場の電力ピークカットから、毎年炉の操業をとめ設備修理に充てている。ベースメーカーでは、合同製鉄船橋製造所、朝日工業、伊藤製鉄所がそれぞれ7日間、製鋼・圧延の操業を休止し炉修・集塵ダクトの取り替えなどを行う。合鉄の7月生産は前月比25%減、伊藤は8月で同30%減、朝日は7―9月期で前期比15%減となる。

 細物メーカーは、三興製鋼が9日間、関東スチール8日間、向山工場12日間など各社炉をとめ、関東スチで7月は前月比30%減、向山で8月は同20%以上減産する見込み。

 さらに細物メーカーでは、国内向け出荷の減少分を輸出に振り向け、今年2月から米国向けを中心に輸出成約を積極化。7、8月には関東スチで計8000トン、三興で計1万トンなど各社1万トン近くの輸出を決めている。

 ベースメーカーは、3月に1000円値を上げ、7月まで5カ月連続で価格据え置きの枠売りを実施。細物メーカーでは7月から枠売りを導入した。ベース、細物とも7月は売り出し期間を2回に分け、細物では後半から値上げに踏み切る。一部商社では「仕入れ値が先に上昇し、このままの市況では秋口が心配」と販価への転嫁に焦りを感じている。

神 戸製鋼所が神戸製鉄所で建設を進めている神鋼神戸発電所1号機(70万kw、平成14年4月営業運転開始予定)の試運転をきょう16日から開始する。試運転は、営業運転開始までの8カ月にわたり、主機(ボイラー、タービン、発電機)および環境装置などの各設備の調整・性能確認・安全装置の機能確認などを行う予定。また、7月26日には試運転の安全祈願祭を行う。なお、2号機(70万kw、平成16年4月営業運転開始予定)については、今年2月着工、現在、タービン棟およびボイラーの基礎工事を行っている。1号機の主要試運転工程は次の通り。

 ▽平成13年7月16―22日=火入れおよび昇温・昇圧テスト

 ▽同7月23日―8月9日=蒸気配管洗浄・安全弁テスト

 ▽同9月=負荷上昇・負荷遮断試験

 ▽同10月以降=燃焼試験

 ▽同14年2月=性能試験

 ▽同4月=営業運転開始予定

住 友金属工業は、和歌山製鉄所が開発した環境型高効率熱回収タイプのコークス炉乾式消化設備(CDQ)が本格稼働し、年間8000万円の省エネルギー効果がでたことを明らかにした。総工費1億3000万円でNEDOから建設費の3分の1の補助金を受けて開発した。住宅地域に近接する都市型製鉄所として国内トップクラスの環境対策を行っているが、今後とも環境技術の開発強化を図る方針。

 CDQは、コークス炉で石炭を蒸し焼きにしてできた摂氏1000度の赤熱コークスの排熱から、発電用蒸気を発生させる省エネルギー設備。高温窒素ガスを廃熱ボイラーで高温高圧蒸気として熱回収、タービンで電力回収している。

 今回の狙いは、和歌山製鉄所NO6CDQに独自開発した旋回羽根型バーナーを設置し、熱回収効率15%向上と粉コークスの100%再資源化を図るというもの。プロセス的には、CDQで発生するコークスの集塵粉を回収して、円環煙道の5カ所に旋回羽根型バーナーで消化壺に吹き込み、完全高温燃焼させる。

 粉コークスと熱量4600カロリーのコークス炉ガス、エアーを吹き込むことで熱回収量向上が見込め、これまで処理が難しかった粉コークスがリサイクルできるようになる。さらに集塵粉投入量調節により回収熱量を高位安定化することにも成功している。
鉄 鋼製品の電子商取引サイト運営会社の鋼材ドットコム(本社=東京都中央区、吉江純彦社長)はきょう16日から、物流機能の第一ステップとして、取引成立後の出荷指示および輸送手配サービスをサイト上でスタートさせると発表した。置場渡し・持込渡しなど5つの受け渡し区分を選択できるほか、明細行単位で納入日や納入先などの変更も可能。指示・手配内容は電子メールで送信する。課金については当面、「お試し期間」として無料とする方針。

 物流機能の付加はユーザー側の要望にこたえたもので、鋼材の実際取引を反映させた実用度の高い内容とした。未手配や手配済みの売買明細を一覧リストで確認でき、鋼材ドットコム様式の輸送指示書や荷渡依頼書を出力できる。物流機能の第2ステップとしては、求貨・求車の物流サイトとのインターフェースを検討している。

 物流機能の付加と合わせ、サプライヤーを拡大し取引の活性化を狙う。現在はサプライヤーとして日鉄商事、住金物産、神鋼商事、岡谷鋼機、千曲鋼材、佐藤鋼管、関根床用鋼板など11社が参加。月内に山大興業、信栄機鋼が加わるほか、8月には神商非鉄ほか、5―7社の新規サプライヤーの参加が見込まれている。
経 済産業大臣の諮問機関、産業構造審議会の第2回廃棄物・リサイクル小委員会が12日開催され、資源有効利用促進法の施行、品目別・業種別廃棄物処理・リサイクルガイドラインの改定などが討議された。ガイドライン改定案では、産業廃棄物の最終処分量の削減目標の見通しが示され、2010年度の最終処分量削減率を98年度比で、鉄鋼業は50%、非鉄金属製造業は41%などとされた。

 今年4月の資源有効利用促進法施行を受けて、従来の廃棄物処理・リサイクルガイドラインの充実、強化を図った。品目別ガイドラインの品目追加、有害物質使用削減も含めたリサイクル、リユースなど3Rの取り組みが明示された。産廃物最終処分量の削減目標も、98年度比で2010年度には、削減率を鉄鋼業50%、非鉄金属製造業41%、自動車製造業50%などが盛り込まれた。業種別ガイドラインでは鉄鋼スラグのリサイクル率について00年度の99・1%を維持・向上、併せて2010年に廃プラスチック100万トンを受け入れる体制整備が改めて示された。

 非鉄金属製造業でもスラグについて道路用、セメント用のJIS化、官公庁用土木建設用資材利用の検討。シュレッダーダストなど廃棄物から有用な非鉄金属元素回収などの研究開発が明示された。
建 築用ターンバックルブレースの有力メーカー12社で組織する全国建築用ターンバックル協議会(会長=箕村理・ダイロック社長)は先週12日、大阪市内で定例会を開き、朝日工業、中山製鋼所、臨港製鉄の建築構造用圧延棒鋼(SNR鋼)メーカー3社との懇談などを行った。ブレースメーカーの主要メンバーと材料のSNR鋼メーカーとが集まり懇談するのは初めてで、メーカー側からは実務担当者が出席、SNR鋼の今後などについて活発に意見交換した。

 懇談ではブレースメーカー側から、ブレースのJIS認定工場として現状JIS表示許可の対象品目外のSNR鋼を使う不合理を感じるとし、JIS対象品目とする動きがあるのかとの質問があり、これに対し材料メーカー側は対象品目になっていくだろうとの見方を示したうえで、早期に対象品目となるよう関係各所に働きかけていくことを約束した。
N KKの建材製品を扱う商社と特約店10社で構成する「NKK建材会」が11日に開かれ、H形鋼の赤字販売が続いていることに関して、活発な討議が行われた。

 売値の唱えを上げても必ず安値で販売するところがあり、そこに引きずられて市況が上がらない状況に対して「毎年、同じことの繰り返し。発想を変えなければ」などの発言が飛び交った。

 形鋼に関する集まりはいくつもあるが「何のための会合か分からない。互いの傷を舐め合っているだけ」と、業界の集まりのあり方にも疑問が投げかけられた。

住 友商事系のコイルセンターの福崎コイルセンター(本社=兵庫県神崎郡福崎町、小平健男社長)は自販部門を強化し、同部門の加工量を現状比50%増の月間1500トンまで引き上げていく方針。主力の電池向けの加工が景気の後退と製品の在庫調整から、かなり落ちており、これをカバーするのが狙い。住友商事と連携し、播但地区や周辺のユーザー開拓を行う。特に、地域特性、工場の保管能力、極薄までを高精度に加工できる技術をPRしていく。

 同社は本社工場(敷地面積=1万1880平方メートル、工場建屋面積=4750平方メートル)に大型スリッター2基、ミニスリッター1基、極薄スリッター2基を持ち、各種電池向けにニッケルメッキ鋼板、シャッター・家電・建材向けに冷延薄板、表面処理鋼板の加工を手掛けている。

 ただ、主力の取引先の電池は前年の高水準な生産の反動、これに付随した在庫調整に加え、東南アジアからの2級品の流入により、01年度の国内生産が減少。この結果、同社の今期(01年12月期)の電池向けの受託・賃加工は月間1000―1200トンと、前期に比べ3分の2程度となっている。

 この電池向けの落ちをカバーするため、自販の強化に乗り出す。現在、自販は播但地区の家電、シャッタ−、建材のユーザー向けに展開、同部門の加工量は月間1000トンとなっている。今後は同1500トンまで引き上げる計画。

 具体的には工場の保管機能をユーザーにも提供していくとともに、厚み0・06ミリまでの薄物を加工できる技術を全面的にPRしていく。また、住友商事と連携し、商社が受注した播但地区のユ−ザー向けの加工は自社で処理していく。

東 京地区の異形棒鋼は、新規物件の出方がマチマチで実需に活気なく、ベース2万7000円どころで横すべりの展開。

 ベース、細物両メーカーが7月の枠売りを2回に分け、価格改善の方向で固い販売姿勢を示している。これを受け、商社サイドは枠を申し込み、徐々に明細を集めている。

 ゼネコンサイドは受注単価の低迷から当用買いの慎重な構えを崩さず、抵抗圧力は依然根強い。ただ、メーカーの市況対策が功を奏し、下値は切り上がってきている。夏季減産時期を迎え、需給も一層引き締まってくるものとみられ、お盆時期を前後して需給調整が進めば、市況浮上の芽が出てきそう。

東 京地区の厚板は弱含み横ばい。定尺品の市中価格(12ミリ)は3万9000―4万円が中心。 定尺の価格は大崩れしていないものの、販売は5月に大きく落ち込み、6月から7月にかけても低位で安定している。中小溶断業者の仕事量が4月以降減少したことに加えて、母材の在庫が高水準であるためだ。

 定尺価格が動かなくても、切板は同業者間の仕事量に格差が出てくることで、値下げ圧力が強まっている。切板価格は6万―6万2000円が目安。需要は鉄骨が大型プロジェクト関連を除き停滞、産機は自動車プレス機械など比較的好調だが、建機は極端に落ちる見通し。目先も弱含み。

大 阪地区の中板は高炉メーカーなどが値上げを表明しているが、地区の流通は冷静に受け止めている。市況は3万―3万1000円(3・2ミリ厚の3×6幅)どころで弱含み。

 高炉メーカーは6月から、ホットコイルの店売りの減産、出荷の抑制を行うとともに、7月出荷分から店売りを3000円引き上げる方針を打ち出した。これに先駆けて、韓国のポスコも対日向けで3000円上げた。しかし、地区のコイルセンターは冷静に受け止めている。一方、需要は建材が落ち込み、機械関連も低調。定尺の荷動きもさえない。

 在庫も調整が遅れ、過剰ぎみ。一部の流通が8月から、唱えを引き上げる意向を明らかにしたが、ほとんどの業者は依然として、弱気の姿勢だ。