自転車盗などの被害が多い大型商業施設の駐輪場。「歩くのが疲れたから」など安易な理由での犯行が目立つ=名古屋市港区で
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名古屋市港区で、今年上半期に窃盗などで逮捕や補導された少年の数が急増している。九十八人(暫定値)に上り、前年同期より五十人増え、区別では市内最多。中学生が五十一人と半数を占め、自転車盗などでは「歩くのが疲れたから」「自分の自転車がパンクしたから」と安易な理由が目立つ。
港署によると、放置された他人の自転車などを横領する占有離脱物横領が十九人、傷害が十六人、万引が十四人、自転車盗が十二人などとなっている。中学生を筆頭に、有職少年が十六人、無職少年が十五人、高校生が十人と続く。
自転車関連では、駅や大型商業施設の駐輪場が犯行現場になるケースが多く、買い物帰りの少年が「荷物が多くなったから」、ヒールの高い靴を履いた少女が「足が痛いから」などと犯行に及んでいる。また、七歳の男児が「自分の自転車がなかったから」と他人の子ども用自転車を盗んだ事件もあった。
万引では、犯罪の深刻化が目立つ。食料や日用品を盗むほか、スポーツ用品や電化製品を大量に万引し、中古ショップで転売して生活費を稼ぐ「職業化」した万引もあり、港署の担当者は「子どもたちに罪の意識が薄い」と警戒する。
少年犯罪の増加を受け、港署は夏休みを前に、管内の非行防止モデル地区の各中学校で講話を開き、生徒に注意を呼び掛けている。加藤貞治・生活安全課長は「夏休みは本来なら一番楽しい時期。加害者になっても被害者になっても台無しになる。自分の行動が周りにどんな影響を及ぼすか、ちゃんと考えて行動してほしい」と話している。
(蜘手美鶴)
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