経産省、電力値下げ命令基準検討 東電、企業向け値上げ14.9%に圧縮

2012.7.23 05:00

 経済産業省は22日までに、電力会社が企業部門より家庭部門から利益を得すぎている場合、強制的に家庭向け電気料金の値下げを命じる判断基準を検討する方針を決めた。電力業界の利益構造が家庭向けに依存している実態があり、偏りを是正して不公平をなくす。

 一方、東京電力は企業向けに4月以降、順次実施している電気料金の値上げ幅を平均16.7%から約14.9%に圧縮する方針を固めた。

 政府は家庭向け料金について、東電が申請した値上げ幅を平均10.28%から8.47%へ引き下げることを20日に正式決定した。東電の家庭向け値上げの審査で、管理職の年収を30%超カットするなどして830億円の原価削減が決まり、この効果が企業部門にも反映。東電は、企業が新料金で契約を結んだ時点に遡(さかのぼ)って適用し、徴収しすぎた分は今後の料金から差し引く形で還元する。

 東電は今回、家庭向けの値上げ幅を企業向けに比べて抑え、部門間の偏りを是正したが、再び拡大する可能性もある。

 電力10社は2006年度から5年間の平均で、販売電力量が38%にとどまる家庭向けから利益の69%を得ていた。東電は利益の家庭依存度が91%に達する。

 企業向けの利益が少ないのは、燃料費の高騰が企業部門の利益を大きく圧迫する会計ルールが要因。新規参入が認められる企業向けは、他社との料金引き下げ競争が起きていることも背景にある。

 経産省は企業、家庭部門間の利益格差の大きさや続いた期間、原因などで具体的な判断基準を策定。電力会社が自主的に料金を見直さなければ、電気事業法に基づき、料金認可申請命令(変更命令)を出す仕組みにする。