生きられる社会へ:生活保護の今 「不正受給」取り締まっても 保護必要な人は減らない

毎日新聞 2012年07月23日 東京朝刊

 そもそも、こうした「義務」について、受給者に十分伝わっていない面も否めない。東京都内の自治体に勤めるケースワーカー(CW)の男性は「受給者への説明に1〜2時間もかかる。伝わりきらないこともある」と話す。

     ◇

 「『働けるのに怠ける人がいるから保護世帯が減らない』というのは大きな間違い」。都内の自治体で15年のCW歴のある田川英信さん(57)は訴える。働ける世代の生活保護受給者は、単に失業しているだけではなく、精神疾患や内臓疾患など、外見からは分からない病気を抱えていることが多いという。

 障害も見過ごされがちだ。田川さんが担当したある男性受給者は、警備会社で工事現場の交通整理の仕事を得た。頑張れば月20万円稼げる仕事だが、ある日会社から「出勤してこない」と連絡があった。軽度の知的障害があったらしく、毎日変わる現場にたどり着けなかったのだ。こうした人たちが、不景気と効率化の中で雇用の枠からこぼれ落ちている。

 健康であっても仕事がない。田川さんがCWになった18年前は、申請に来たシングルマザーに対し、学校の用務員や給食調理員など公務員の仕事を回すことができた。だが、今は公的機関でさえも、人件費を減らすため、民間への委託や非正規雇用化が進み、それも応募が殺到している状態だ。民間がさらに厳しいのは言うまでもない。

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