シリア政権の崩壊迫る 反体制派が攻勢、中東に新たな火種 (1/3ページ)

2012.7.23 05:00

反体制武装組織に占拠され、シリア革命旗が掲げられた警察署=21日、ダマスカス南部(AP)

反体制武装組織に占拠され、シリア革命旗が掲げられた警察署=21日、ダマスカス南部(AP)【拡大】

 シリアの内戦は22日にかけて反体制武装組織「自由シリア軍」が攻勢を強め、同国主要都市に戦火が拡大した。西側諸国ではアサド政権の崩壊が近づいているとの見方が支配的になってきた。専門家らは、同政権の崩壊を機に中東情勢が流動化し、新たな紛争が起きかねないと警告している。

 ◆主要都市制圧続く

 反体制派は複数の国境都市を掌握したのに続き、アサド政権の牙城の一つで、同国第2の都市アレッポへの攻勢を強めている。中東の衛星テレビ局アルジャジーラによると、反体制派がアレッポの主要地区3カ所を掌握すると、政府軍は同市に対する砲撃を激化させた。

 イラクとの国境にあるブクマル検問所も3日前から反体制派が支配下に置いている。自由シリア軍の広報担当者は、反体制派が間もなくトルコとの国境付近に位置する都市アル・カーミシュリーを制圧するとの見通しを示した。

 このほか、イラクとの国境にあるアル・ヤルビヤ検問所や、イスラエル占領地ゴラン高原付近から1400メートルの位置にある都市ルウェヒナも、シリアの反体制派が掌握したと、両国の地元メディアが報じた。

 欧米諸国の間ではアサド政権がすでに末期状態にあるとの見方が強まっている。米国のライス国連大使は20日の国連安全保障理事会で、アサド政権について「すでに命運が尽きつつある」と述べた。

 専門家やアナリストらは、アサド政権崩壊の場合、シリア国内だけでなく、イスラエル、イラン、サウジアラビア、ヨルダン、レバノンなど近隣諸国全体に影響が及ぶとみている。