岩手のニュース
小沢氏お膝元・奥州 固い地盤揺らぐ
 | 民主党のポスターや看板が外された小沢氏の事務所。新党誕生のムードはまだ感じられない=奥州市 |
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民主党を離れ、新党「国民の生活が第一」を結成した小沢一郎代表のお膝元・岩手県奥州市で、固い地盤が揺らいでいる。県議会の奥州選挙区(定数5)は系列議員で全議席を独占していたが、2人が民主党残留を表明した。小沢氏の後援会組織はそれぞれの地元組織と重なっており、亀裂は必至。東日本大震災をめぐる小沢氏の対応などにも疑念が募り、これまでのような「追従一辺倒」とは異なる空気が漂う。
◎「尊敬できない」 「小沢さんは確かに政治家として素晴らしい考えを持った方だと思うが、人間的には尊敬できない。選択肢は(残留という)一つしかなかった」 13日夜、奥州市前沢区で開かれた佐々木努県議の後援会役員会。集まった約30人に、佐々木氏は「決別」を宣言した。 前沢区(旧前沢町)は小沢氏の祖母の出身地で、市内でも高い得票率を誇ってきた。そこで起きた系列県議の離反。後援会長の前県議新居田弘文氏も同調し21日、小沢氏の前沢後援会長の辞職届を出した。 佐々木県議は新居田氏の後継で昨年、初当選したばかり。前沢、衣川両後援会計14支部の多くの役員が、小沢氏の後援会メンバーでもある。 「国会議員、県議、市議の後援会に同じ人が関わってきた。『どうすればよいか』との声が出ている」「小沢先生とは今後、丁々発止しなければならない時期が来る」。後援会出席者からは、さまざまな反応が出た。 ◎つながり希薄に 同じく民主党残留を決めた渡辺幸貫県議の地盤である江刺区(旧江刺市)。小沢氏が自民党を離党後、行動を共にしてきた5期目のベテランも、後援会役員が小沢氏の後援会にも名を連ねる。 「今までのように両方とも、というわけにはいかない」。ある市議は頭を抱える。新党への期待がある半面、「震災でも地元にすぐ戻らず、古里への思いが理解できない」と小沢氏の姿勢に対する不満も聞かれ、地元民とのつながりが薄れてきているとも感じている。 16日には小沢氏の江刺後援会長が「信頼が離れた」として、水沢区の小沢氏の事務所に口頭で辞任の意思を示し、役員にも手紙で伝えたという。 ◎強気「影響ない」 こうした動きに対し、小沢氏の支持者は「残留県議は、もともと生粋の小沢系ではなかった。国会議員と県議はある程度すみ分けされており、大きな影響はない」と、強気の姿勢を崩さない。 小沢氏が結成表明した直後の今月中旬、東京の公設秘書が江刺、前沢両区の後援会幹部宅を回り、変わらぬ支援を求めたという。 ある幹部は、その場で態度を明言しなかった。「今までは地元が一本化しており(小沢氏に)ついて行くことに迷いはなかったが、今回は違う。大変な時期を迎えた」 次期衆院選や来夏の参院選の対決構図いかんで、お膝元の亀裂が深まる可能性を帯びている。
2012年07月23日月曜日
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