「カネがすべて」中国人のエゲツナイ商売 現地進出の社長が激白 (5/5ページ)

2012.7.21 08:30

無錫に最初オープンした日本料理店「胡蝶」。現地駐在の日本人ビジネスマンらで繁昌した

無錫に最初オープンした日本料理店「胡蝶」。現地駐在の日本人ビジネスマンらで繁昌した【拡大】

  • 無錫の最初の「胡蝶」の店内
  • 飲食店も多い無錫の市街地。“中国流”には驚くことばかりだった
  • 無錫の最初の店とスタッフたち。“中国流”には驚かさせることばかりだった
  • 「中国での3年間は毎日がカルチャーショックだった」と語る今井利充社長

 こんなこともあった。中国産の電球は品質が悪く、すぐ点かなくなるので、今井さんが「日本の電球はこんなことはない」と不満を漏らすと、従業員がこう言った。「社長、中国人はいったい何人いてると思う。長持ちする電球だったら、作っている人たちが困るでしょ」

 今井さんは言う。

 「彼の言ったことは日本と中国・アジアでの人々の意識の違いを語る上で象徴的だと思った。日本人は商品やサービスに完璧さ、レベルの高さを求め、それが今も世界標準と考えているところがあるが、海外、特に東南アジア向けの展開では“安くてこのレベルでいい”という発想が必要。そうでないと中国などには対抗できない。だれも日常の消耗品に完全なものを求めていない。日本の価値観は今やガラケー化(世界標準から外れ孤立化)している」

 今井さんは日本人相手の商売が次第に行き詰まったため、店は中国人に任せて湖南料理に業態を替え、自身は平成18年、ベトナムに進出。ホーチミンに同様の日本料理店をオープンし、他のビジネスにも乗り出している。

 「日本の細やかな商品やサービスは東南アジアでも望まれている。日本人は自分たちが持つそうしたDNAをうまく生かし、競争意識を持てば十分勝負できる」。今井さんは中国、ベトナムでの体験をもとに切実にこう訴える。