成長のための取り組みは、ともするとR&Dや商品開発/サービス開発、海外ビジネス、もしくは経営数値目標が先行し、マーケティング主体で企業全体の成長戦略を描くアクションは、実はそれほどなされていなかったのかもしれない。
成長戦略に資するイノベーティブなマーケティング運用とは、短期視点と中長期的視点を併せた戦略ストーリー策定および、これに基づく既存各事業や新事業の強化、改善、開発である。
マーケティングが企業内の部分的な機能、あるいは事業内の一機能に留まっていては、企業の成長自体が行き遅れてしまう。マーケティングという組織的アプローチにおいて、その能力を高めていくには、組織構造を再構築することが求められているが、組織そのものには意志がない。組織を引っ張っていくのはやはり強力な意志を持ったリーダーである。
では、強力なリーダーシップを有するCMOが存在すれば企業のマーケティング力は上がるのか?
日本型組織において、カリスマ経営者は別として、特定分野で企業を引っ張るような強力なリーダーシップを発揮し続けるのは非常に難しい。特にマーケティングのように全社横断で影響する機能においては、権限と責任の所在がはっきりしていない、もしくは、はっきりさせることが難しいからだ。
CMOがまだ日本において馴染まないのは、各所で言われているリーダーシップの欠如ということではなく、日本型組織の持つ特徴が関係しているからではないか。
次回以降は、欧米におけるCMO機能とマーケティング組織の事例、また日本企業においてマーケティングマネジメントと組織改革にチャレンジしている企業の取組みを順次紹介していく。
博報堂コンサルティング 執行役員 松風里栄子 京都大学文学部卒業後、博報堂MD戦略室にてブランド戦略業務に従事。事業戦略とブランド戦略のコンサルティングを行うコーポレートデザイン部部長を経て現職。The University of Pennsylvania Wharton School, Executive Managemetnt Program修了。専門分野はコーポレートブランド戦略(新規事業ブランド、グローバルブランド、ブランド体系含む)の構築および実施支援、ワークショップ等の組織的アプローチ、事業戦略の構築、M&A、ターンアラウンドにおけブランド/事業戦略構築、グローバル市場参入時の事業計画など。
連載バックナンバーはこちら⇒【連載】戦略リーダーとしてのマーケティング組織、CMO機能
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2012年7月21日
2012年7月20日
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