東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 放送芸能 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【放送芸能】

ジェットストリーム 夜間飛行45周年 リスナーに午前零時の搭乗席

 TOKYO FM「ジェットストリーム」(月−金曜深夜0時)が三日の放送で、四十五周年を迎えた。洒脱(しゃだつ)なナレーションと心地よい音楽、飛び立つジェット機の音…。シンプルだが余韻をたっぷり残す構成は、リスナーの旅情をかき立てる。風格がにじむFM界きっての長寿番組の魅力とは−。 (藤浪繁雄)

 ジェット機の飛行音に続き、初代「機長」の城達也さん(故人)の「夜の静寂(しじま)のなんと饒舌(じょうぜつ)なことでしょうか…」のナレーションに包まれるオープニング。番組は同局の前身、FM東海の時代の一九六七年七月三日に始まった。当時は海外旅行があこがれで、「夜間飛行」にいざなうという番組スタイルに、リスナーは夢を膨らませた。

 プロデューサーを務めるなど、およそ四半世紀、番組にかかわり続ける編成制作局次長の延江浩さん(54)は「スタジオには独特のダンディズムがあった」と振り返る。

 第一回から九四年十二月三十日までパーソナリティーを務めた城さんは、脚本の堀内茂男さんに完全な台本を求めたという。フリートークは一切はさまず、台本の世界観、番組の薫りを伝えることに徹した。現場では、城さんはじめスタッフたちがダークスーツを着こなし、「搭乗席」の雰囲気づくりにこだわった。

 イメージを大切にした番組だけに、「詰め込みすぎず、そぎ落とすことが演出の要諦。『十伝えたかったら二で止めておけ』と先輩から言われてきた」と延江さんは明かす。今も曲の終わりには余韻を持たせるなど「間」を大切にしている。

 曲はボーカルのないジャズ、映画音楽など聞き心地のいいイージーリスニング系が中心。どこかの国の街の情景を語りで伝え、その街で収録した子どもの声、鉄道の音などを織り交ぜ、「番組が立体的になる工夫を凝らしている」と延江さん。

 時を経て、二〇〇九年四月からは俳優の大沢たかおが機長。沢木耕太郎原作のドラマ「深夜特急」で主役を演じたことなどからの起用だ。旅は身近になり、テーマは旅への「あこがれ」から「出会い」に転じた。台本では、以前は「○○美術館には××という絵がある」という内容だったが、近年は「○○美術館の××という絵をずっと見ていた少年は…」など具体性を持たせるよう刻々と変化している。

 TOKYO FMはリスナーの求めに応じ、番組のエッセンスとなる曲や大沢のナレーションを収めたCDを出したり、コンサートを開いたりしている。深夜番組の代表格として、当時も今も幅広い世代が聴くだけに、延江さんは「午前零時」に特別な思いを持つ。「受け継がれているスタイルを大切にしていきたいし、リスナーに心地よく眠ってほしい。夢の中で世界旅行ができるように」と念じている。

◆JALが単独スポンサー

 「ジェットストリーム」は、日本航空(JAL)が単独スポンサーで、番組のイメージづくりに一役買ってきた。番組で取り上げる国や地域は、JALが就航している場所が中心。同社の経営危機などで2010年6月以降、単独ではない期間もあったが、現在は元に戻っている。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo