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大津中2自殺 舞台の中学校 なぜ「いじめ対策モデル校」になれたのか- ゲンダイネット(2012年7月22日10時00分)

  大津市・皇子山中学の「いじめ殺人事件」で、遺族が18日、加害者の生徒3人を暴行容疑などで刑事告訴した。これまでに報道された行為が事実であれば、加害生徒の犯罪は明白。ヤクザ顔負けのチンピラ行為を黙認した学校や市教委の責任は重大だが、驚くのは、この学校が、いじめ対策などに取り組む「道徳教育実践研究事業」の推進校(09~10年度)だったことだ。

 「文科省の『道徳教育総合支援事業』の一環で推進校になった。小中学生の社会性や規範意識、思いやりの心などを育むのが目的です。滋賀県教委の当時の資料には、『子どもたちの声を慈悲の心で聴こう』――などのスローガンが掲げられ、推進校になった皇子山中学が取り組んだ道徳教育が紹介されています」(滋賀県政記者)

  いじめ対策のモデル校で「いじめ殺人事件」なんてブラックジョークだが、国は毎年、これらの事業費に7億円前後の予算を組んできた。もちろん、皇子山中学にも一部が渡っている。

 「気になるのは、当時の文科相が、地元選出(滋賀1区)の川端達夫・現総務相だったことです。皇子山中学が推進校になったのは、県、市教委から打診されたため。ここに政治的背景はないだろうが、学校や市教委が当初、かたくなに『いじめではない』と認めなかったのはなぜなのか。川端大臣や当時の教育関係者に迷惑を掛けられない。こうした配慮があったのではないかとの声が出ています」(大津市政記者)

  官僚が現場を分かっていない、という声もある。教育問題に詳しいジャーナリストの小田桐誠氏はこう言う。

 「モデル校や推進校という名称が付いた事業があちこちの学校で見られますが、現場の教師は大変です。ただでさえ、授業準備やさまざまな報告書の提出で忙しいのに、さらに手を取られるからです。これでは、生徒とじっくり向き合う時間はつくれません。それに、今の学校現場は成果主義がやたらと強調され、責任も求められる。教師が事なかれになるのも当然です。大人の教育システムが子どもを殺しているようなところもある」

  道徳教育が必要なのは生徒ではなく、文科省や教育委員会の方だろう。

 (日刊ゲンダイ2012年7月19日掲載)

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