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大飯4号起動 政策混迷、それでいいのか

(2012年7月19日午前7時57分)

 フル稼働に入った関西電力大飯原発3号機(福井県おおい町)に次いで、4号機が原子炉を約1年ぶりに起動させた。順調にいけば25日にもフル稼働の見通し。2基合わせ236万キロワット。関西圏の電力需給ギャップは何とか解消され、電力会社の節電目標や融通の緩和にもつながる。東京電力福島第1原発事故後、国内50基の原発が順次停止した中、2基だけが稼働し、電力消費地に貢献しながら脱原発・反原発のターゲットになる異常な状況が続く。

 県が再稼働の条件とした特別な監視体制も実動している。ハード、ソフト両面から緊張感をもって運転管理を強化する手法は今後のモデルケースとなる。現場と電力本社、国、自治体のリアルタイムな情報共有と迅速な対応へ、毎日が実践訓練であることを認識してもらいたい。

 法令や安全協定上の異常事象でなくても、自治体に速やかに通報・連絡する体制を整えたことは一歩前進だ。事業者の隠蔽(いんぺい)体質はぬぐいきれない。オープンマインドな姿勢が信頼の醸成につながる。「必要情報」は発信側でなく、自治体や住民、国民の立場でとらえるべきだ。

 一方で再稼働がますます政治の具となり混迷を深めている。

 脱原発を掲げ再稼働に反対してきた橋下徹大阪市長は、電力需給が逼迫(ひっぱく)する夏場を迎え「福井の皆さんには感謝しないといけない。関西圏は助かった」と一転して再稼働を肯定した。しかし「夏場に限る」と相変わらずのご都合主義に走る。

 各地で35度を超える猛暑到来で、電力需要が一段と高まる。関西でも供給力の9割近くまで達しているが、節電は市民に浸透しつつある。この節電を脱原発の好機ととらえる一部メディア。コスト増となり、トラブルリスクの高い火力発電所を休ませたい電力側の企業論理。どちらにも身勝手さがないか。

 東京では「さようなら原発10万人集会」が感情的な盛り上がりを見せ、大飯原発が標的となった。その翌日、美浜町にある関電全額出資の原子力安全システム研究所は原子力問題を考える講演会を開催。「各国が原発を推進する中で、エネルギー資源が乏しい日本に原発は不可欠」として、政府の原子力政策に対する不満が相次いだ。

 主導権を発揮すべき政府が「決められない政治」に輪を掛けた失態を演じている。将来のエネルギー政策をめぐる意見聴取会で、抽選に当たった電力社員が意見表明するケースが相次ぎ、批判を浴びた政府は「業界締め出し」を決めた。岐路に立つ厳しい状況下、電力側が躍起となるのは当然のこと。このような事態を予想できなかった政府の能天気ぶりだ。国民議論や合意形成がいかに困難かを原発の歴史に学ぶ必要がある。

 夏以降、政治の季節が本格化する。「小沢新党」が象徴するように国民の顔色をうかがいながら「脱原発」を掲げる政党も増えている。福島事故の徹底検証と、懸念される断層帯の影響調査などを踏まえた安全性確保をどう構築し、原子力の本質的な議論をどのように実効性あるものにしていけるのか。「政治ごっこ」では何も見いだせない。

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