北陸新幹線金沢−敦賀間の整備は、八月中旬ごろの起工式を終えた後、鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)の手で進められる。県内区間(七十四キロ)は山河を通り、市街地を抜け、高速道路と交差する箇所もあるなど、大掛かりな工事の連続となりそうだ。
◆竹田川
あわら市内では竹田川に沿って新幹線が通る。連続した長大橋を三つ架ける必要があり、北側から長さ百六十三メートル、四百二十三メートル、百九十三メートルの橋となる予定。福井市の九頭竜川を渡す新九頭竜橋(仮称、四百十メートル)より長い橋を架ける必要がある。
◆九頭竜川
新九頭竜橋は、新幹線が橋の中央部を走り、その両脇に車道を通す珍しい構造になる。工期は約九年間(県)と見込まれ、それが六年後の福井国体までに金沢−福井間の先行開業が困難との理由になっている。
◆市街地通過
新幹線ルートで特に住宅が密集しているのは、福井市の開発地区−啓蒙地区−福井駅の区間。用地確保のため「移転してもらう家屋もでてくる」(県新幹線用地対策室)。県と鉄道・運輸機構は八月下旬ごろから、県内各地区で事業説明会を開始する予定。
◆高速道路交差
新幹線ルートは福井市六条地区周辺と、越前市の武生インターチェンジ付近で北陸自動車道と交差する。新幹線用の高架は、北陸道の上を通して建設する計画。北陸道を通行止めにせずに工事をする見込みという。敦賀市では国道8号と交差する。
◆トンネル
金沢−敦賀間(百十四キロ)の32%(三六・五キロ)がトンネル構造。最長トンネルは、南越前町−敦賀市間の木ノ芽峠を貫通する「新北陸トンネル」で、全長約二十キロ。同町はほとんどがトンネル区間となる。施工だけでなく、残土の有効活用・処理も課題となる。
◆埋蔵文化財
新幹線ルートには、遺跡が点在する。県教委によると、福井市内だけでも市中央卸売市場近くの高柳遺跡、JR福井駅周辺の福井城の遺構、文殊地区の糞置荘(くそおきのしょう)遺跡などがある。用地取得後に試掘し、本格調査に入れば図面と写真で記録を残すのが一般的。二〇二五年度開業予定の工期を念頭に進めるが、極めて貴重な遺跡と判明すればルート変更の検討なども迫られる。
(尾嶋隆宏)
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