CROSS__Kの日記

2012-07-01

『ソードアート・オンライン〈2〉アインクラッド』

あの1巻からどう続くのかと思っていたけど、2巻目は時間を遡って描かれる短編集だった。しっかし・・・キリトさんすっげぇ。いや、やっぱりこれは言っとかざるを得ない気がする。圧倒的な強さと素朴な少年の性格、そして少女に間違われることもあるという顔立ち。本人の性格、生い立ちが為している部分もあるだろうとは言え、少しばかり天賦の才の配分に恵まれていることへのやっかみを避けざるは得ないだろうて。どれだけのヒロインに想われて彼女たちを泣かせるんだ、彼は。


世界がデスゲームになった時に選べる生き方には本人の資質次第で限りがあるだろうけど、結果として強さを磨き続けることを選んだことが今の彼に繋がるのかぁ(それはアスナにも言えることだけど)。なんとなく、自分がその時それを選べるかってのは夢想しちゃうよね、と。いやー、やっぱ『アクセル・ワールド』のハルの方が近しさを覚えてしまう自分としては。それが劣等感と言うもの。

キリトに対してはいろいろ思うことはあるんだけど、中でも特に驚いたのは



>「俺は、ここで悪事を働くプレイヤーは、現実世界でも腹の底から腐った奴なんだと思ってる」



って台詞が出てきたこと。これを読んだ時つくづく『アクセル・ワールド』とは違うんだなぁと思ってしまった。だって、『アクセル・ワールド』は”その感情”こそが出発点じゃないですか。一概に悪事と括ってしまうと語弊があるだろうけど、押し隠してた本当の自分の負の部分を浚ってアバター鋳型にするのがブレイン・バースト。そこを出発地点とした上でどう戦い、抗うのかってことがあちらの作品のテーマなのに対して、こちらは主人公がこの台詞を吐いてしまうんだなぁっていうような感慨は正直ありました。


ただ、この巻を最後まで読むと、もしかしたらそれは視点の違いによるのかもしれないと思わせる構成にもなっているのですよね。キリトがかつて犯した自身の罪に対する意識を知る『赤鼻のトナカイ』は今までで一番キリトが身近に思えた気がします。その罪の意識と自分への罰を求める行動は最強の彼が見せる負の部分であり、何よりもの人間らしさ。バランスがプラスに寄り過ぎている気もするけれど、でもこのエピソードで彼が見せた負の痛みは彼を≪黒の剣士キリトたらしめるものなんだろうなって。


その痛みは彼だけのものだったけど、今はきっとアスナと分かち合えてる部分もあるのだろうな。だからキリトの扉を熱烈アタックでこじ開けたアスナは特別なんだろうな。そしてそんな彼女もまたキリトと生き方が噛み合って彼に惹かれてる。そんなとーっても稀有で幸運かもしれない出逢いを1巻では目の当たりにしたのだなぁという感慨を改めて抱いたり。


キリトの過去も踏まえた上で全体を見てみると、アスナ以外のヒロインとの関係もただやっかみだけで終わらせるには礼を失しているように思えてくるのも確かではあって。サチの特別さは言うまでもないけど(正直あの最後のメッセージは胸を打たれた。。良い娘だったんだなって)、シリカにしてもリズベットにしてもあのSAOの世界で出逢って恋して別れたキリトへの感情は1巻で既に彼とアスナの結末を視ているという変則構成を前にしてもやっぱ素直に鮮やかだなーと思うところはある気がします。


元々、これは『アクセル・ワールド』もそうなんだけど、作中の登場人物の言動は傍から視た時にただのネトゲ中毒者の戯言と揶揄される可能性を持っていて、それを跳ね除けるのはそこに言うなれば”痛み(AWで言えばそのままの意味の痛覚や費やされる時間・記憶、SAOで言えばやはり命が掛かっているということ)”があるからだと思うのだけど、少なくとも自分はこの作品に対してもその揶揄の視点を跳ね除けるだけの感情の発露とその魅力を感じています。いや、そこにハルユキがブレインバーストでインストールした時に視た夢のような空を求める憧れ=劣等感が混じっているのは否定しませんけど。


巻末の予告によると、次巻の舞台は現実世界!?このままずっと過去のエピソードの積み重ねだけでは世界に閉塞感が出てきてしまう気がするなぁと思っていたけど、いったいどうなるのか。やっぱりキリトアスナの再会が描かれるのか。その辺りは気になるなぁ。それにアスナ以外にもSAOで出逢ってる人物はいるだろうし。


あと、それからもう一点。この巻読んでて思ったけど、これアニメ化される時、どういう構成で描かれるんだろうなぁ。原作の順番そのままで行くと、エピソードのぶつ切り感が否めなくなってしまう気がするのだけど。時系列ごと組み直されたりするのかな。。そのアニメも放送開始まであと一週間か。

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