貿易・投資相談Q&A
輸出に関する基本的な制度や手続き : 輸出規制・通関手続き
化粧品を輸出する際の注意事項
- Q. 日本から化粧品を輸出したいのですが、注意事項などがあれば教えてください。
- A.
化粧品を輸出する場合、通常の輸出手続きに加え、薬事法上の手続にも留意する必要があります。薬事法上の対応は、以下の場合で異なります。
1.国内向けに流通している製品をそのままの形態で輸出する場合
2.国内向けに流通している製品を、輸出向けに製品名称その他記載事項を現地言語に翻訳、あるいは容器・外箱のデザイン変更など製品の一部でも変更して輸出する場合
3.当初から国内流通を目的としておらず、外国への輸出用として、外国向け仕様に含有成分を配合、あるいは容器・外箱をデザインした製品を輸出する場合
1.の国内流通している化粧品をそのままの形態で輸出する場合は、薬事法上の規制や特別な手続きは必要ありません。輸出者は製造販売業の許可や製造業の許可を有していなくてもかまいません。ただし、このとき、何らかの理由で海外から返品を受ける場合は、再輸入できません。
2.の外国向けに輸出するために化粧品の一部でも変更する場合、および3.の外国仕様で製造する場合は共に薬事法上の「化粧品製造」に該当し、この化粧品製造は厚生労働大臣による化粧品製造業の許可を得た者でなければ行うことはできません。また、この製造を行うに際しては、当該製造業者は、その製造を開始する3カ月前までに、薬事法施行令74条にもとづき独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下機構と略す)を経由して、厚生労働大臣に「輸出用化粧品製造届書」をもって、薬事法施行規則265条に基づく届出をする必要があります。「化粧品製造業許可申請書」および「輸出用化粧品製造届」は厚生労働省が提供しているFD申請ソフトで作成します。このFD申請ソフトは下記FD申請ソフトのダウンロードサイトよりダウンロードでき、このソフトの基本操作マニュアルも同サイトからダウンロードできます。各申請書および届書の記載方法については下記参考図書にも詳しく書かれています。
以上のように、2.および3.のケースでは、共に、輸出用化粧品の製造および輸出用化粧品製造届の届出は化粧品製造業者でなければできません。輸出ができるのは、化粧品製造業者、あるいは、化粧品製造業者から輸出用化粧品を購入できる化粧品製造販売業者(厚生労働大臣より化粧品製造販売の許可を得ている者)に限られます。輸出者が化粧品製造販売業者の場合には、化粧品製造業者が届け出る輸出用化粧品製造届の製造方法欄の最後に製造販売業者の情報も記載することになっています。
上記の薬事法上の注意事項とは別に、化粧品の輸出に際して留意すべき事項があります。安全保障貿易管理上規制対象になるかどうかの輸出者自身による非該当判定が必要です。
判定の手順等、詳細につきましては、下記経済産業省のウェブサイトをご覧下さい。
http://www.meti.go.jp/policy/anpo/kanri/sinsa-unyo/gaihihanntei-tejyun/gaihihanteitejyun.htm(経済産業省 貨物輸出規制品該非判定の手順)
また欧米やASEAN諸国へ化粧品を輸出する場合には、GMP(Good Manufacturing Practice)証明を要求される場合があります。GMP証明、その他化粧品の輸出関係の証明書類の発給に関しては日本化粧品工業連合会あるいは総合機構にお問い合わせ願います。
このほか、化粧品については日本でも輸入する際に薬事法の規制を受けるのと同様に、輸出先国の法令を事前に調査し、対策を準備しておくべきでしょう。
関係機関:
独立行政法人医薬品医療機器総合機構: http://www.pmda.go.jp/
厚生労働省医薬食品局: http://mobile.mhlw.go.jp/info/iyakushokuhin/index.html
日本化粧品工業連合会: http://www.jcia.org/関係法令:
薬事法施行令第74条(輸出用医薬品等に関する特例)
薬事法施行規則第265条(輸出品に関する届出)参考資料・情報:
厚生労働省法令等データベースシステム: http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/
FD申請ソフトのフォームのダウンロードサイト: http://web.fd-shinsei.go.jp/download/software/index.html
経済産業省/安全保障貿易管理: http://www.meti.go.jp/policy/anpo/index.html
「医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器 新FD申請の手引き2009」薬事日報社刊 2009年10月22日発行
「化粧品・医薬部外品製造販売ガイドブック 2008」ガイドブック検討会監修 薬事日報社刊 2008年10月9日発行調査時点:2010/08
記事番号:A-031101
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