EMX 朝霞厚生病院 むさしの苑 みよし園 田中茂
最先端の医TOP > 2011 > 花粉症の季節に心がけたいこと
 
連載110 2011/03/01 花粉症の季節に心がけたいこと
 今年は昨年夏の猛暑の影響で、スギやヒノキの花粉が大量に飛散すると推定されており、関東地方のピークは2月中旬から5月過ぎ頃で、昨年の約10倍(昨年の飛散量は少なめだったため)の量が飛散するといわれます。
 
 今や、国民の4割以上がスギ花粉症といわれる時代です。
花粉症に効くといわれる治療法に、『減感作療法』とか、『脱感作療法』と呼ばれる療法があります。
 
 例えばスギ花粉症の患者さんでは、スギ花粉を含んだ医療用の注射液を最初は少量から、しだいに濃度を上げて体内に注射し、花粉を浴びても症状が出ない体質に変えていく療法です。
 
 6年前の2005年にもスギ花粉が大量に飛散しましたが、その折に、あらかじめ減感作療法を行っていた群と、症状が出てから薬物療法を受けた群とを比較した報告があります。 
治療の満足度は減感作療法群が100点満点で76・9点、薬物療法群が33・7点となり、鼻水、鼻づまりなどの症状も、減感作療法群に効果がみられました。また、完全に治癒した群は2〜3割で、症状が楽になり、花粉症の薬が激減した群が3割以上、症状はあるが以前より楽になった群が2〜3割で、効果なしの群が1〜2割でした。8割の人々に治療効果がみられたという結果は、花粉症に悩む方々にはおおいに期待できるものと考えてよいでしょう。
 
 しかし、この治療法は毎週1回の注射を4〜6か月、その後は月1回の注射を3年以上続けなければなりません。
そのために患者さんの負担感が大きいことと、この治療法を行っているアレルギー疾患の専門家がいる施設は数が限られていることなどが難点となっていました。
 
 そこで、それらの問題点を改善するためのさまざまな研究が行われ、最近のトピックスとしては、昨年の11月26日の新聞などで報道された『舌下免疫療法』に注目が集まっています。
 
 現在、千葉大学病院や日本医科大学病院、三重大学病院などの耳鼻咽喉科で、患者さんの同意を得て行われる臨床試験が開始されており、この方法は、舌の下にパンくずを置き、そこにスギ花粉の液を滴下するという減感作療法の一種です。
以前からの、医療用の花粉を含んだエキスを注射する方法と比べると、痛みもなく、通院する回数も少なくて済むので、患者さんの負担が大きく減りました。
 
 1例をあげれば、日本医科大学の耳鼻咽喉科では東京都と共にこの臨床試験に取り組み、これまでの試験で約7割の症状が改善したという結果が得られています。
おそらく2013年には国の承認を求める申請がされるであろうといわれますが、一般化されるまでには時間がかかるでしょう。
 
 やはり花粉症対策にはセルフケアが重要であると考えられます。アレルギー反応を抑えるための、体に本来備わっている治癒力を高める工夫を行うことが大切なポイントとなり、抗酸化物質を含む食材を多く取り入れることと、なかでも腸内環境を整え、治癒力を増強させるための、ヨーグルトや発酵食品に含まれる、乳酸菌などの有効微生物を毎日摂取することがすすめられます。食材に含まれる抗酸化物質には、イチゴやレモンのビタミンC、トマトのリコピンや大豆製品のイソフラボン、鮭やイクラのアスタキサンチンなどが有名ですが、一つ一つの食材に神経質にこだわるより、動物性脂肪を控え、野菜や海藻類を多めにとるなど、バランスの良い食生活を心がけることが大切です。
 
 その上に適度な運動を続ける、ストレスは上手に発散する、生活リズムを整えるなど、花粉症対策にも、生活習慣の見直しは欠かせません。

 それらをコツコツ続けることを土台に、当研究所で提供している、高い抗酸化作用を示すEM―XGOLD(開発者の琉球大学名誉教授比嘉照夫先生の研究により、花粉症をはじめとするアレルギー疾患の改善効果が認められています)を補助的に飲まれることで、花粉症の辛い症状も軽減されていくと思われます。
  

印刷用ページはこちら

Copyright (C) 2006 Shigeru Tanaka. All Rights Reserved.