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連載９４

2009/11/01

肺炎球菌ワクチン接種のすすめ

　日本人の死因の１位から３位までは、がん、心臓病、脳血管障害が占めており、それらはよく知られていますが、４位が肺炎と答えられる方は意外に少ないようです。
　
　抗生物質の発達などから減少しつつあった肺炎の死亡率が、最近また上昇しており、国内では、肺炎全体で年間10万人が命を落とす事態になってきました。
特に高齢者に肺炎による死亡者数が多いことから、事前に予防する重要性が見直され、肺炎球菌ワクチンの存在がクローズアップされています。
　
　私自身も４年前の12月に打ちましたが、効果は５年以上続くとされていて、新型インフルエンザの予防接種と同様に、こちらの肺炎球菌ワクチンの接種も、皆さんにおすすめしたいと思います。
　
　肺炎の原因となる微生物には各種細菌やウイルスなど、たくさんの種類があり、肺炎球菌はその中で最も多い細菌です。
　
　肺炎球菌には約90種類の型がありますが、肺炎球菌ワクチンなら、すべての肺炎球菌による感染症の約８割にあたる、23種の型に免疫をつけられ、「肺炎予防効果」の他、「肺炎になっても軽症ですむ」、「抗生物質が効きやすい」などの効果もあるといわれます。
　
　毎年、冬に流行する季節性のインフルエンザでは、高齢者を中心に、多い年で年に１～２万人が死亡しています。インフルエンザウイルスそのものが直接の死因になることは少なく、多くは感染がきっかけになって別の病気が悪化する、インフルエンザ関連死です。特に、肺炎球菌などの細菌による２次感染が多く、ウイルス感染で気道にダメージを受けたあとに他の細菌が繁殖して重い肺炎へと移行してしまいます。
　
　高齢の慢性肺疾患患者にインフルエンザと肺炎の両方のワクチンを接種すれば、入院を63％、死亡を81％減らせるという報告もあり、インフルエンザワクチンとの併用が望ましいとされています。
　
　日本では、未だに肺炎球菌ワクチンの知名度は低く、そのうえ、現段階では厚生労働省は一生に一度の摂取で良いとし、以前に一度受けた方が医療機関を訪ねても、再接種が受けられないしくみになっています。
　
　しかし、ＷＨＯや米国厚生省の疾患管理センター（ＣＤＣ）は、65歳以上の高齢者やハイリスクグループの人たちに、肺炎球菌ワクチンをインフルエンザワクチンと併用して接種するよう推奨していて、日本でも、現在、新型インフルエンザの大流行が起こっていることから、高齢者が肺炎を併発し、命を落とす危険性が高く、日本感染症学会などは、厚労省に再接種を認めるように要望しています。
私も５年ごとの再接種を認めるよう、強く求めたいと思っております。
　
　接種がすすめられる人々は、65歳以上の高齢者と、２歳から64歳で、慢性心不全や喘息などの慢性呼吸器疾患、糖尿病、慢性肝臓疾患のある人、脾臓機能不全や脾臓摘出を受けた人などとなっています（日本呼吸器学会・成人市中肺炎診療ガイドラインより）。
　
　新型インフルエンザワクチンの接種も10月19日の週から始まりました。こちらの接種料金は全国一律で、同一医療機関で接種した場合、１回目が３６００円、２回目が２５５０円で、合計６１５０円（異なる医療機関ではともに３６００円）です。
しかし10月20日現在、１回の接種で効果があるとしたデータが出されたことから接種回数の見直しが始まり、医療従事者は１回となりました。今後も回数は検討事項のようです。
また、国や都道府県による負担軽減措置が講じられるケースもありますので、市町村窓口にお問い合わせください。
　
　肺炎球菌ワクチンを受けたい方は、日本では予防注射の法律の関係でインフルエンザなどのワクチン接種時期から１週間以上あける必要がありますのでご注意ください。こちらの費用は６０００円～８０００円程度で、自治体で助成しているところもあります。
　
　なお当研究所では、難病をはじめ、健康に関するさまざまなご相談を随時受け付けています。下記あてご連絡ください。ＥＭ―Ｘ予防医学研究所（℡０４８―４６１―２００９）

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