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連載６８

2007/09/01

乳がんの早期発見にはマンモグラフィ健診が不可欠

　先日、日本乳癌学会が行った大規模な調査が新聞などで報じられました。
全国２２６か所の医療機関から、２００４年度にがん登録した乳がんの新患者約１万４８００人（平均年齢57歳）のデータを集計したものです。
　
　その結果、乳がんに「自分で気づいた」患者が73・８％に上り、検診で見つかったのは20・４％で、このうち自覚症状が全くなかった人は、14・７％でした。
つまり、マンモグラフィなどによる検診でがんが見つかったのは２割に過ぎず、４人に３人は、検診を受けずに自分でしこりなどの異常に気づいて病院を受診しています。　

　ただ、その場合は進行している例が多く、直径２センチ以下の早期がんで見つかったのは45％の人たちで、残りの43％は2.1～５センチに達するほど大きくなっていました。
これを見ると、乳がんの自己触診だけでは早期発見が難しいことが分かります。
　
　しこりに気づいた頃にはがんは進行している事が多く、さらに痛みが出てからでは、手遅れになる危険性が高いのです。発見時にリンパ節に転移していた人も３分の１を占めています。　
　
　リンパ節転移のない乳がんの10年後の生存率は約９割ですが、転移をしていると７割以下に下がります。
　
　例えば胃がんや肺がんなどは治療後５年以内に再発しなければ完治したと見なされます。
しかし乳がんの場合、18年以内は再発の危険があるのです。
　
　この結果を見て、専門家は「早期がんの発見にはマンモグラフィ検診が有効であり、乳がんの死亡率を下げるには、マンモグラフィ検診の受診率を上げることが不可欠」と指摘しています。
　
　世界的に知られている、乳がん撲滅の啓蒙キャンペーン「ピンクリボン運動」のなかでも、「受けよう、マンモグラフィ検診。乳がん早期発見で笑顔の暮らし」という合言葉が盛んに言われるようになりました。
米国で始まったこの運動は、日本でも医療機関や化粧品メーカーなどの協賛を得て、毎年大々的にマンモグラフィ検診の重要性を呼びかけています。
　
　マンモグラフィは触診では分からない、ごく早期の乳がんを発見できます。
乳がんの検診法には、ほかに超音波診断があり、これは放射線被ばくがないので妊娠中の人、若い人、頻繁に検査する必要のある人などに行われます。
ＭＲＩやＣＴスキャンは、病変の位置や広がりが確認でき、乳がんの遠隔転移やリンパ節転移などの診断に役立ちます。
　
　乳がんはごく早期ならば95％、小さなしこりの段階で見つけて治療すれば90％近く治るがんなのです。
早期の発見なら治療の選択肢も多く、乳房の温存治療も可能です。
　
　日本では乳がんの罹患率・死亡率ともに増えていますが、米国の現状を見ると、乳がんにかかる率は増えているのに、死亡率は減少しています。
なぜなら女性の乳がん検診への関心が高く、約85％以上の人が検診を受け、早期発見、早期治療の例が多いからなのです。
ところが日本の乳がん検診受診率はほぼ10％という低さで、これが死亡率を高める原因と言われています。
　
　また、米国では乳がんにかかる年齢のピークは60代ですが、日本では30から40代に最も多く発病しています。
この年代は、子育てのほか、仕事や趣味に時間を費やすなどして、検診に行く時間が持てないという声が多いのですが、子どもを残して亡くなる可能性や、老後の人生を考えれば、検診を受けることを第一に考えてほしいものです。

　積極的に検診を受ける事が、乳がん死亡率を下げる事につながります。
公的な機関を利用するなどして、定期的に検診を受けましょう。
　
　新座市・志木市の乳がん健診は、７００～９００円の負担費用が必要になります。
集団検診ではなくても市の指定病院・医院で個別に検診が受けられますので、詳しくは各市の保健センターにお問い合わせください。
　
　ＥＭ―Ｘ予防医学研究所では健康全般に関するさまざまなご意見ご要望をお待ちしています。（℡０４８―４６１―２００９）

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