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連載６７

2007/08/01

毎年８月１０日は心臓病を予防する「ハートの日」

　読者の皆様は「ハートの日」をご存知ですか。
８月10日に語呂を合わせた、この心臓病予防キャンペーンは、もう20年以上前から、日本心臓財団の予防啓発事業として、毎年全国各地で行われてきました。
しかしまだまだ知名度が低いのが財団の悩みのようです。

　今年は８月５日（日）に、関東地区では東京駅前のオアゾというビルの一階広場で開催の予定。午前10時から、血圧測定や血管年齢の測定、動脈硬化度の測定、専門医の医療相談などが無料で受けられます。
　
　さて、心臓病はがんに次いで死因の第２位を占めていますが、狭心症や心筋梗塞に対する関心はがんや脳卒中よりずっと低いという調査報告もあります。　
心臓病の中でも、狭心症や心筋梗塞は食生活や運動、ストレス対策など、生活習慣の改善によって予防が可能で、かつ、早期に発見し治療を行えば、大事に至らずにすむ病気です。　
私も以前、キューバへの医療視察の折に狭心症になった話を書きましたが、その経験からもとくに禁煙、運動、食生活は予防にも治療上も、とても大切なセルフケアであると思っています。
　
　その時のことを、もう少し詳しく述べてみますと、昭和50年、キューバ政府が日本に医療援助を求めてきました。
当時、キューバはアフリカのアンゴラに共産義勇軍を派兵していたため、日本は援助の申し出を断わった。ところがキューバ政府はあきらめずに「政府をも動かす人物がいる」と、日本医師会の武見太郎会長を頼ってきたのです。
武見先生は「君は南米に詳しいから」と、私を指名され、２週間の予定でキューバに赴きました。
　
　キューバ政府は医療の窮状を訴えるべく、早朝から夕方５時までは医療視察、以後、夜の10時半ごろまでは宴会やパーティーと、休む間もない強行スケジュールを組んでいました。
　
　奈良賀男駐キューバ大使からは「ホテルには盗聴器が仕かけられているから、言動に気をつけるように」と忠告され、確かにそれを見つけたときは緊張が高まりました。街を視察すると物価は高く、庶民は耐乏生活を強いられていた。
それでも医師で革命家のゲバラが医療に力を入れたせいか、病院では多数のスタッフが人道的な医療を行い、患者は無料で診療を受けられ、どこも彼の肖像画が掲げられていたことは印象に残っています。
医療機器もロシアや中国から輸入されており、ロシアの医師や看護婦が大勢働いていて、その現状を武見会長に報告しました。
　
　そのような過密なスケジュールと極度の緊張のせいか、帰国後に不整脈を感じ、国立埼玉病院の副院長で心臓外科医の竹内先生に診察を受けたところ、狭心症と診断されました。
　
　竹内先生は「狭心症と診断され、苦しさのあまりに自殺を考え、過激な運動をすれば死ねるだろうと必死にマラソンを続けたら、逆に治ってしまった人がいる」と話してくれました。
　「心臓の冠状動脈が狭くなった部分に、運動のおかげでバイパスができあがり、結果的に治った」と説明され、以前に詳しく書きましたが、私は水泳が得意だったことから、毎日千メートルの水泳を続けたところ、２年後に狭心症が治っていたのです。
　
　ただ、激しい運動をして治すといっても、水泳やウオーキングなど、持久力のつく運動を、徐々に体を慣らしながら行うことが必要で、私も最初は２００メートル泳いだだけですぐにばててしまい、徐々に距離を伸ばし、速度を上げていったものです。
また体力の無いものや高齢者には勧められません。心臓に疾患があれば、きちんと医師と相談の上、運動療法として実行するのがよいでしょう。
　
　食事面では好物のステーキやカツ丼を我慢し卵も控え、さらに禁煙もしました。
　
　動物性脂肪を多くとっている人や運動嫌いな人、タバコを一日に何十本も喫っている人は、８月10日のハートの日をきっかけに、自分や家族の健康のために、ぜひとも改善する努力をしてほしいものです。
　
　ＥＭ―Ｘ予防医学研究所では健康全般に関するさまざまなご意見ご要望をお待ちしています。（℡０４８―４６１―２００９）

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