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2006
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再度呼びかけたいジェネリック医薬品のすすめ
連載 59
2006/12/01
再度呼びかけたいジェネリック医薬品のすすめ
先月、この欄でジェネリック医薬品について書いたところ、分りにくかったのでしょうか、患者さんから医師に「ジェネリック医薬品を使ってほしい」という声が寄せられたという話が、私の元には届いてこないのです。
今まで、他のテーマの話題には、読者の方々からの反響が数多く寄せられていましたので、今月は再度、ジェネリック医薬品についてお話したいと思います。
なぜかといいますと、これからますます膨らんでいくばかりの医療費を何とか食い止めたい、品質は新薬と同じでいながら安価で手に入るジェネリック医薬品を、大いに利用してほしいと思うからです。
今年の4月から、厚生労働省の指導のもとに、処方箋の右下に「後発医薬品への変更可」という欄が新たに設けられました。
後発医薬品とはジェネリック医薬品のことです。このような処方箋ができたということは、厚生労働省が、私と同様の考えの上に立ち、医療費削減に本腰を入れようとしているということなのです。
薬を開発して20年以上経過するとその薬の特許が切れて、どの製薬会社でも同じ成分で製造販売ができるようになります。
それが後発(ジェネリック)医薬品で、先発医薬品(新薬)の2割から7割も安い価格ですむのです。
ジェネリックとは「一般に普及している」という意味で、欧米では50%を越える普及率なのですが、日本では17%弱。
ジェネリック医薬品がもっと普及すれば家庭の医療費が節約されるだけでなく、国の医療費負担も大幅に軽くなり、年間1兆円もの削減が可能と推計されています。
ところが公正取引委員会が今年の9月に発表した調査報告では、医療機関の85%は「安全性や情報量などに不安がある」と回答。提供をためらっていることがわかりました。
患者さんの中にも、20年前の古い材料が使われるのではないかとか、効き目が薄れてしまうのでは?という不安があるようです。
ジェネリック医薬品は新しい原料を使って新たに製造されています。
厚生労働省が、つまり国が製造・販売を保証しているのです。
ジェネリック医薬品は医師の処方箋がなければ手に入りません。
患者さんがジェネリック医薬品にしてほしいと医師に言うと、医師が最初に述べましたカルテの記載欄にサインをすることで、薬剤師が正確な名前を調べ、処方することになっています。
新薬の中にはジェネリック医薬品になっていない薬もたくさんありますが、受診の際、医師にその薬はジェネリック医薬品にできるかどうか、相談されることをおすすめします。
ただ、日本ではまだまだ患者は弱い立場にあり、医師に要望を言いにくい状況があるようです。
そのために今回も反響がなかったのでしょうか。
医療費の一部負担金も上がり、患者さんの支払いも大変になっています。
経済的な理由であるならば、担当医のご理解も得られるのではないでしょうか。
もちろん患者さんも遠慮しないで自分の思いや疑問をストレートに医師に伝えてほしいと思います。
確かにまだジェネリック医薬品に対する医学界の心配も一部にはあると思いますが、国の医療政策の医療費のワク組は決まっています。
そのワクの中で薬が安くなると言うことは、その分を他の治療に向けられるはずです。
また、そうするべきでしょう。
なお、EM―X予防医学研究所では医療、健康に関するさまざまなご相談を受け付け、患者さんをサポートすることに努めています。
遠慮なく、ご意見、ご要望をお寄せください。
(TEL048―461―2009)。
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