EMX 朝霞厚生病院 むさしの苑 みよし園 田中茂
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連載 58 2006/11/01 おおいに利用してほしいジェネリック医薬品
 
今年の4月から、厚生労働省の指導のもとに、処方箋の右下に「後発医薬品への変更可」という欄が新たに設けられました。
 
後発医薬品とは、テレビなどで宣伝、普及活動が盛んに行われているジェネリック医薬品のことです。
薬を開発して20年以上経過するとその薬の特許が切れて、どの製薬会社でも同じ成分で製造販売ができるようになります。
それが後発(ジェネリック)医薬品。 
新薬の開発には長い年月と100億から300億円、なかにはそれ以上の膨大な費用のかかるものもあり、その開発費が価格に上乗せされ、薬価は必然的に高くなります。
後発医薬品にはその開発研究費がかからないので、先発医薬品の2割から7割も安くなります。
 
ジェネリックとは「一般に普及している」という意味で、確かに欧米では50%を越える普及率となっていますが、日本では17%弱。一般の人々だけでなく、医師の間にもいまだに正確な理解が得られていないようです。
 
ジェネリック医薬品がもっと普及すれば家庭の医療費が節約されるだけでなく、国の医療費負担も大幅に軽くなり、年間1兆円もの削減が可能と推計されています。
 
そのために厚生労働省は本腰を入れて普及に努めているのですが、公正取引委員会が今年の9月に発表した調査報告では、「必ず使う」「場合によっては使う」と答えた消費者が97%にも上るのに、医療機関の85%は「安全性や情報量などに不安がある」と回答。
提供をためらっていることが分りました。
 
また、患者さんの中にも、20年前の古い材料が使われるのではないかとか、効き目が薄れてしまうのでは?というような不安があるようです。
しかしその点は全く心配ありません。
ジェネリック医薬品は新しい原料を使って新たに製造され、先発医薬品と同じ速さ、同じ量で薬の成分が血液中に入っていくかどうかを調べる試験(生物学的同等試験)などを経て、薬の有効性と安全性が十分に確かめられた後に発売されます。
新薬と同様の厳しい検査を経て製造・販売される、それは国が十分に保証しています。
 
メリットについては、医療費の節減以外にも、高騰していく薬価を全般に低く抑えられるという、期待感が大きいことがあげられます。
さらに、慢性病や骨そしょう症などでは、長い間薬を飲み続ける必要がありますが、患者さんの中には、薬代が高いことから服用をやめてしまう人も多いのです。
ところが、例えば高血圧の場合、先発医薬品に比べ、ほぼ半額で済む薬もありますので、長年の服用にも、家計への負担がずいぶん節約できることになります。
 
ただ、まだ特許が切れていない薬もたくさんあり、ジェネリック医薬品のない薬のほうが多いことも付け加えたいと思います。
 
また、ジェネリック医薬品は医師の処方箋がなければ手に入りません。
そのほか、いくつもの製薬会社が製造できるようになったために、同じ成分の薬なのに製品名が5つも6つも新たに作られ、医師にはジェネリック医薬品の名前を覚えきれないという現状もあります。
そういうときは、最初に述べましたカルテの記載欄にサインをすることで、薬剤師が正確な名前を調べ、処方することになっていますのでご安心ください。
ジェネリック医薬品を希望する方は、受診の際、医師に相談されることをおすすめします。
 
なお、EM―X予防医学研究所では医療、健康に関するさまざまなご相談を受け付けています。
(TEL048―461―2009)。
 

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