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文化

神戸の哲学カフェ 発祥の店で最後の対話 

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神戸での発祥の店で、最後の対話を楽しむ参加者ら=神戸市中央区楠町3

神戸での発祥の店で、最後の対話を楽しむ参加者ら=神戸市中央区楠町3

 ごく普通の人々が街角の喫茶店で哲学的対話を繰り広げる「哲学カフェ」。20年前にフランスで始まった活動だが、神戸での発祥地ともいえる場が、中央区にある「コーヒーショップJUN」だ。7月末の閉店を前に、同店で最後の開催となったカフェをのぞいてみた。

 哲学カフェは哲学者マルク・ソーテが1992年パリで創始。日本での草分けは大阪のグループ「実験哲学カフェ」で、2001年から続く。神戸では大阪大臨床哲学研究室から派生した「カフェ・フィロ」が05年春に同店で定期開催を始め、市内各地で100回以上行ってきた。

 同店最後のカフェに集まったのは15人。対話のテーマは参加者が出し合った意見の中から、「人はなぜつながりを求めるのか」に決まった。挙手した人が自由に発言していく方式。コーヒーを片手の対話は、時に寄り道し、笑いを誘いつつ展開していった。

 「つながりを求めるほど孤独感が増す」「他者とのつながりは自分の存在を確認する鏡だ」「豊かさとともに断ち切ってきた、わずらわしいつながりにこそ価値があるのでは」…。思索を深めるのが目的で結論は出さないが、終盤には「ここでの対話は損得抜きの純粋なつながりだった」など、慣れ親しんだ店との別れを惜しむ声が聞かれた。

 カフェ・フィロのメンバー藤本啓子さんは「地方ではなかなか根付かない哲学カフェが、神戸ではリピーターも増え、対話も成熟してきた。名残惜しいが、長らく格好の場を与えてくれた店に感謝したい」と話す。今後は同店近くにある神戸市立中央図書館内のカフェテリアに場所を移し、継続していく。

 問い合わせはメールでカフェ・フィロ(info@cafephilo.jp)へ。

(平松正子)

(2012/07/22 08:25)

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