弘前東照宮:重要文化財100万円で売却へ 経営破綻
毎日新聞 2012年07月09日 20時44分(最終更新 07月09日 22時38分)
結婚式場経営に失敗し、破産手続きが進む青森県弘前市の宗教法人「東照宮」(工藤均代表役員)を巡り、破産管財人は9日、国の重要文化財に指定されている本殿(木造平屋建て、延べ床面積約10平方メートル)を東京都港区の不動産会社に約100万円で売却する方針を明らかにした。金額を提示して購入を申し出たのは、この1社だけだったという。
青森地裁弘前支部で開かれた債権者集会で報告した。破産管財人によると、同社は08年の競売で本殿の敷地や拝殿などを所有。本殿購入後は境内を駐車場として活用しながら、買い手や借り手が現れるのを待つという。
本殿は、徳川家康をまつるため各地に建てられた東照宮の一つで1617年創建。1624年に現在地に移築された。同法人は約2億円の負債を抱えて4月に自己破産を申請。破産管財人は保存・修復などの観点から自治体などの引き取りを希望したが、弘前市は憲法で定める政教分離原則から購入に難色を示していた。【松山彦蔵】