立ち会いが合わず、稀勢の里(右)をにらみつける白鵬=愛知県体育館
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◇名古屋場所<14日目>
(21日・愛知県体育館)
白鵬(27)=宮城野=と日馬富士(28)=伊勢ケ浜=が14戦全勝とし、賜杯争いは千秋楽の直接対決に持ち込まれた。千秋楽全勝決戦は隆の里と千代の富士が対戦した1983年秋場所以来で29年ぶり。白鵬は2場所ぶり23度目、日馬富士は昨年名古屋場所以来3度目の優勝を目指す。白鵬は立ち合いの変化で稀勢の里をはたき込み、日馬富士は琴欧洲を押し出した。稀勢の里は4敗目で、琴欧洲は8勝6敗。他の大関陣は、琴奨菊が把瑠都を寄り切って10勝目を挙げた。把瑠都は6敗目。鶴竜は豪栄道の休場による不戦勝で勝ち越した。十両は3敗の千代の国が単独トップ。
◇
立ち合いで突っかけてきた稀勢の里に、白鵬は待ったをかける。左手で押し戻すと2度目の立ち合い。ここでも突っかけてきた稀勢の里を横綱は受けず、今度はにらみつけながら仕切り線を越えて歩み寄る。まさに一触即発の雰囲気。だが、横綱の方が1枚も2枚も上手だった。
「相手がよく見えた動きでしたね」。3度目の立ち合い。頭から突っ込んできた稀勢の里を見きわめて、サッと左へ変化。場内は怒声とため息に包まれたが、「あれだけ突っ込んできたら見ていこうと思った」と冷静に状況を分析した結果でもあった。
ただ、満員御礼の垂れ幕が下がった14日目で全勝優勝を狙う横綱が見せた立ち合い変化。審判長の鏡山審判部長(元関脇多賀竜)は「お客さんは期待してくれていた。受けて立たなきゃ話にならない。興ざめだよ、興ざめ。看板があれではどうしましょう」と嘆き、北の湖理事長(元横綱北の湖)は「ちゃんと受けてほしかった。力を見せつけてほしかった」と苦言を呈した。
千秋楽に全勝の日馬富士とぶつかる。この日の朝稽古で「今までの一番とは違うけど、同じようにやりたい」と話していたが、目の前で日馬富士が勝ち、「全勝同士でいけば、今までになかったこと。そういう気持ちが勝ったのかな」と勝ちに徹したことを認めた。
だが、周囲の批判も理解している。受けて立つ立ち合いを信条としているだけに、反省はあるか? と聞かれると「そういうのもありますね」。
「きょう、こういう相撲でしたから。あしたはいい相撲を取りたい」
横綱相撲で史上最多となる9度目の全勝優勝をつかみにいく。 (岸本隆)
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