下請け被ばく隠し:東電、線量管理は業者任せ…発覚遅れる
毎日新聞 2012年07月22日 02時30分
ビ社によると、和田孝社長は役員の工作を「19日に初めて知った」と話し、役員はAPDに鉛カバーをして作業した時間は3時間程度と答えたという。ビ社の別の役員は「照合データにおかしな点がなければ鉛カバーに効果がなかった可能性もある」としている。
東電やビ社によると、特殊バッジは「ガラスバッジ」と呼ばれ、カードに貼り付けた特殊フィルムで線量を蓄積計測する。一方、APDは作業ごとに使用者が変わる。ビ社によると、東電は作業前にバッジのバーコードデータをAPDに認識させ、線量警報の役割をさせているという。
昨年、復旧作業に従事した別会社の男性作業員(35)は「会社の利益を考えて(鉛カバーの装着を)指示したのでは」と想像する。国の法令で、年間被ばく線量限度の50ミリシーベルトを超えると働けない。「線量がパンクして次々と作業員を入れ替えたら余計な人件費もかかるし、作業できる人間がいなくなれば仕事も受注できなくなる」とも語った。【栗田慎一、袴田貴行】