第2章 “戦乙女” 伊藤 迦具夜
アキラの最も長い一日 ショック技 複製の法則
内戦を鎮圧した直後のガリア公国は、疲弊したガリアを西のヴァルキュリアが攻めてくるだろうと予測しアキラは帝国との国境線で帝国を待ち構えていた。
今回の騒動で、アキラの存在が公になってしまい。この内乱が冷戦の終止符となり大戦を引き起こす呼び水となってしまったからである。
それまでのアキラの遺跡踏破などの功績は諸国に無用な刺激を与えかねず、アキラの希望もあって国王と協議し、公に発表しないことした。
この事実を知るのは、アキラが吟遊詩人だった頃から面識のある国王フランシス、クラリス王女、近衛騎士団長レオンとその娘アリシアのみが知ることなった。
しかし各国の異世界人達の活動が大きくなり、遂には東ヨーロッパ連合国VS西ヨーロッパ及びアジア帝国の2大国に挟まれるような状況になり、しばしにらみ合いになっていたのだが、宰相とその息子が、ブリタニアの元老院と共謀し、国王暗殺及びクラリス王女の誘拐を企てた。
悪魔使いの放った大量の下級悪魔が王都を包囲し、宰相が私兵を引き連れ、場内に攻め入るが、アキラの指導を受け、魔改造済みのクラリス、アリシアの二人と近衛騎士レオンにより、私兵は壊滅、下級悪魔はアキラとナミにより、全滅。宰相は処刑、その息子は、身分剥奪の上、国外追放となった。
元老院は内戦の手助けを見返りにガリアを東の連邦に引き入れ、「悪魔使い」マリアを登用しガリア国内の異世界人を捜索する一石二鳥の策を講じていた。
ガリアの乗っ取りは失敗したが元々ガリアの様な小国など容易に侵略出来る以上、アキラという異世界人をあぶり出すことが出来たので、試みは成功と言えるのだが。藪をつついて蛇を出すどころか龍を出してしまった。
アキラの能力の危険性が露見したのである。
古代魔法のその象徴とも言える上位精霊を使役していたのである。
王都を包囲した大量の下級悪魔がその上位精霊の視界に入った瞬間、一瞬で蒸発。魂までもが精霊に食われ全滅したのである。
中に紛れていた爵位級の悪魔と手持ちの英霊は何とか耐えたが、契約者のアキラ自身が剣で一撃のもと次々葬っていき、最後の悪魔を斬り捨てた時、遠くから千里眼で監視していたマリアに鷹の目の様な鋭い眼光を向け、口を開き
「ツギハオマエダ」
唇を読んだ瞬間、マリアは強烈な恐怖に身がすくみ、顔は青ざめ 震える手で新たな騎乗兵の英霊を召喚し、自国に逃げ帰った。
これが3週間前の内戦のあらまし、東の連邦の悪魔使いには、霊体化していたナミが視えていただろうし上位悪魔を一撃で葬る様を見せつけ、脅しも掛けた。
ナミの正体の露見が危惧されたが、王女直属の「悪魔使い」は十字教の崇拝する光の精霊の天敵となりうる闇の精霊がいるという情報をロマリアに通じる元老院ではなく、今もロマリアと水面下で争うエリザベス女王に伝える事だろうから、何らかの形で接触してくるはずだ。
少なくともブリタニアは敵対することが無くなった。
帝国には俺が戦闘職か生産職系の英雄と誤認させる情報を流しているし、遺跡単独踏破のことも流してあるから、古代魔法に関する情報に行きつくだろうが、現時点で俺は一度も魔法の類は使えるそぶりは見せてない以上。決定打に欠けるだろう。
となると威力偵察には大剣豪アリアか属州のルーシから改造人間が来る筈だ。
此処で、俺が女帝なら確実に向こうの最大戦力で俺を打倒しうる七英雄の鈴木か伊藤(自身)でおびき出し尚且つ情報収集の為に俺の手札を探る戦力を投入するはずだ。
っと、来たな。ステルスを解除し姿を現す。 ガタイのいい男に、多数の魔獣を引き連れた戦乙女達数は魔獣33 戦乙女11人かやはり、俺の戦力を測りにきたな。
「おー鈴木君。やっと来たのか。」
まるで友人のように声をかける。突然現れた俺に向こうに動揺が走るが、鈴木氏は初めから俺を認識していたようだ。
改造人間だからかレーダーかセンサーか、てか気づいてたんなら後ろのおねーさん達に教えてあげなよ。
「なんだい?鈴木君?今日はまた違う女の子を連れているどころか、大勢いるね。全くご同慶の至りだよ。」
わざわざ元いた世界の小説のセリフで話しかける。俺は異世界人だと暗に教えている。 アレ?西尾○新の作品では有名なセリフだが、もっとわかりやすいのが良かったかな? ジ○リとかどうかな。
「自己紹介の必要は無さそうだな。 ガリアの英雄さん。そうそう教授に就任したそうじゃないか?まずは、おめでとう。」
ほう? これは予想外、異世界ネタに反応しなかったのは少々さびしかったが俺の事をしっかり同郷と認識しているな。
まぁちょっとしたジャブのつもりでもあったし元ネタが通じなくてもからかってるのセリフを受け流し且つ就任の賛辞をのべるとは。
元ルーシの英雄だけあるな。こりゃ実力も高そうだ。
「ありがとう。故郷で目指していた職だが、まさか異世界で就職するとは思えなかったよ。」
後ろの戦乙女達は儀杖を手にして騎乗したヒポグリフから降りず、マンティコアと鵺が臨戦態勢に入っ
ている。
「今日はそのお祝いに?」
「ああうちの陛下からな。それと言伝も預かっている。君が此処に居たので丁度良かった色々手間も省ける。」
「その手間を省くために国境警備隊の人たちに休暇を取ってあげたんだ。感謝しなよ。」
「ああ。女王陛下が君を欲しがってる。『帝国に来てくれ』ってさ。どうする?」
「ほほう、俺も捨てたもんじゃないなぁ 女神様からお誘いを受けるなんてな。嬉しい勧誘だ。」
「それで?返答は?」
これが、合図だな空気が変わった。 次の俺の言葉次第で戦闘が始まる。
ここで冗談かますのもありやな~。 どうしよ? 笑いの神様がぼけろと耳元で囁くが今回は止めておく。
うん♪俺は空気の読める男です。
「だが断る。」
「残念だ。」
言った瞬間控えていたマンティコア、鵺が一斉に襲い掛かり、ヒポグリフに乗った戦乙女達が空へ飛び立ち俺めがけて魔法を打ち込んできた。
その瞬間、俺の周囲の空間が歪み宝剣、宝具が三十二挺高速で飛び出し、飛びかかってきたマンティコア、鵺に、飛び上がったヒポグリフには、飛んできた魔法攻撃を打ち消しながら襲い掛かる。
マンティコアと鵺は勢いよく襲い掛かってきたところに高速で射出された宝剣、宝具が突き刺さり、しかも炸裂したので即死ヒポグリフは騎乗していた戦乙女達が手綱をひきすんでの所で交わした。この辺は流石は帝国の女傑達と称賛を送るべきだろう。 だがその後の爆発は予想できなくその余波を受け、殆どか落ちてきた。 即座にヒポグリフを乗り捨て、転移魔法で離脱していく。
全員が高度な転移魔法を修得しているのには驚きだ。
「馬鹿な…大量の宝剣、宝具を揃えるだけでなく、それらを石つぶての様に使い捨てるとは。」
大剣豪アリアは、ガリアの英雄の神経を疑った。
攻撃を仕掛けなかったアリア、剛太郎を除く、魔獣部隊とヒポグリフを一瞬で葬った攻撃手段。
名工の一生に一度の傑作の剣、長い間王家に伝えられたきた聖剣、遺跡から発掘した武具の数々に、竜の牙と鱗で作ったであろう龍殺しの武具そのすべて弓を高速使わず射出し、あまつさえ、武器に込められた魔力を炸裂させるという一度限りの攻撃方法。
受け継いできた王家、製作した職人、それらを求め使いこなす英雄達が卒倒するような攻撃である。
というかこんな攻撃をして、この後ガリアの財政は大丈夫だろうか。
「後二人と一匹か・・・財宝庫から無断でパクッてきた武器のお味はどうだ?」
勿論、アキラはパクってなどいない。これらはすべて複製した物である。
古代遺跡の中にたまに別の階層に移動するための転移装置がある。
これには2種類あり、空間と空間をつなぎ合わせるものと、転送するものを分解し、情報を送り転送先で再構成するものである。
後者の転移装置を利用し魔石を転送する際、転移装置のエネルギー供給源を切り、直ぐに再起動する。
すると、転送先には複製されたものが転送されていた。
つまり分解型の転移装置を利用した複製である。
これを、ナミの擬似アンデッドや分身で試してみたところ、アンデッド、分身は共に複製に成功。
しかし野生の魔物、動物実験は、複製に失敗。
どうやら情報(魂、記憶、魔力)はコピーできるが途中で止める以上分解した物質を向こうに送れないため、複製できないのではという仮説を立て、生物を構成する物質
水35リットル
炭素20kg
アンモニア4リットル
石灰1.5kg
リン800g
塩分250g
硝石100g
硫黄80g
フッ素7.5g
鉄5g
ケイ素3g
その他少量の15の元素
を転移先に設置まあ人間ひとり分の材料を設置
成功。
白のウサギを転送、転移先に別種の黒ウサギの死体を転送
2匹の生きた白ウサギにコピー成功。
生体実験は、此処で中止、はっきり言ってやばすぎる。クローン装置、しかも魂、記憶、魔力を情報として複製可能だとは、危険な代物だ。
とにかく今は名剣も、構成材質の比率、鍛え方が分からなくてもその質量に見合ったものを龍の鱗や牙が材料の武器も有機物である以上容易に複製できる。
故に今回のような攻撃方法が可能である。どこぞの錬鉄の英雄や慢心王以上の攻撃方法である。
中二病 総攻撃の様な攻撃手段であるが有効なのだからしょうがない。この技術は公表する気はない。悪用されるのが目に見えるからだ。
俺の様な測定不能レベルの人間の軍隊や兵器を大量生産してしまう悪魔の技だ。
さて、鈴木が動き出す。
大剣豪は静観、おそらく彼女は見届け人だろう。
ここからが本番だ。
かなりのチート技 開発。
ポケモン金銀の代表的ショック技
アイデアありがとう。 ちなみにプロットでは普通に古代語魔法と兵器で戦う予定でした。
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