01 PDJ-Lab #01 2012.4.4 THE SCAPE(R)@渋谷

第1部 PDJ論

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対談テーマ PDJ世代の幸せについて ジョン・キム 安藤 美冬 古市 憲寿 刈内 一博

第1部 PDJ論

第2部 PDJ会議

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参加メンバー50音順 安藤 美冬 猪熊 純 刈内 一博 木内 玲奈 笹本 直裕 茅野 達郎 成瀬 友梨 林 宏昌 古市 憲寿

第2部 PDJ会議

PDJにとっての「幸福」とは何だろう?どうしたら、僕らは幸せになれるのだろう?

刈内 一博刈内さん
最初にPDJ-Labについて説明しますと、PDJとは「ポスト団塊ジュニア」のことで、1976~1985年に生まれ、2012年には26~36歳になった世代です。
私は今、33歳で会社員をしています。入社当時は先輩たちと話をしていても、価値観や働き方、生き方など合わないところがあって、もがき苦しんだ記憶があります。その理由は、正直、よくわからないのですが、1つには「いい時代を知らない世代」だからではないかと思います。
小学校の頃にバブルを迎え、子どもの頃から日本はダメだとか、将来が不安だとかばかりを言われ続けて育ってきた世代だと思うのです。といっても、その中でもいろいろな考え方の人がいます。そのあたりの「何がホントなの?」ということを、ひも解いていけたらいいなと思っています。
第1回目の今回は、ジョン・キム先生をゲストにお招きして、オブザーバーに安藤美冬さん、古市憲寿さんという構成で、「PDJ世代の幸せについて」をテーマに対談していきたいと思います。まず、この世代を客観的に見て、どんなふうに思われるかをお聞きしたいと思います。

できる範囲で最善を尽くすことに集中すれば、自分で幸せをコントロールできる

安藤 美冬安藤さん
私は専門分野を持っている専門家ではないので、今日は、あくまで自分自身が何を幸せと感じるか、個人的な体験に基づいて話をしようと思っています。
私は32歳で、一般的にはロストジェネレーション世代とか、日本経済が全体的に緩やかな下り坂になる中での世代だとか言われ、リーマンショックなどで世の中が安定志向に振り切れる中、高収入でかなり安定した会社を飛び出した人間です。
なので、世代というよりそんなスタンスで、好き勝手に話ができればと思っています。(笑)
ジョン・キムキムさん
僕が大学や大学院の学生と接していて感じるのは、世の中的に今の若者に対するラべリングがあるということです。たとえば冷めている、自分の人生にしっかり向き合っていないなど。
私は日本人ではないので、世代論について自信を持って言えることはないのですが、今の世代の幸福論は、過去と比べて2つの違いがあると思います。 1つは、過去の世代が持っていた幸福と少し基準が違うということ。もう1つは、より重要な点ですが、1つの普遍的な幸福論があって、皆がそれを目指して走っているわけではないということ。
つまり今の時代、君達はこうすれば幸福だ、と言うことができないんですね。誰も代弁はできない。それは、誰でも自分の人生の幸福を設定できる資格も権利もある、ということだと思うのです。
ここでこれから、いろんな意見が出てくると思うのですが、正解が出るものではなく、それは死ぬまで考えていくことだと思います。その考えていく過程がすばらしいことであり、その過程の中に幸福を感じられれば、その人はすべての瞬間において幸福であるのではないかと、僕は思うのです。
古市 憲寿古市さん
世代論は、血液型占いみたいなものだと思っています。意味がない一方で、それを本当だと信じることで本当になることがある。
たとえば、O型がおおらかで…とか。子どもの頃から言われていると、ある種本当になっていくように。
世代論に関しても、「今の人はゆとり世代だから勉強とか頑張らなくていい」と言われていると、ある種本当のことになってくる。
どういうふうにラべリングされるかというのも、大事だと思うのです。
安藤さんはロスジェネとおっしゃっていましたが、一般的に言われるロスジェネは、就職氷河期に当たって就職するのが大変で、先行世代に対する怒りみたいなものがある、という形で表現されてきたと思います。安藤さんは違うと思うのですが…。
安藤 美冬安藤さん
私はむちゃくちゃ個人主義です。
外に正解を求めるのではなく、瞬間、瞬間に直面する状況の中で、自分がどう答えを出すかということに一点集中しているのです。
自分の人生は自分で決めていくという超個人主義なのです。
ジョン・キムキムさん
個人主義というのは楽に見えますが、人間は群れや組織の中に入って居場所を探した方が一番楽なのです。流れに身を任せた方が楽なので、皆が自分で考えることをせずに集団主義になったり、その場の空気に合わせてしまう。
安藤さんの言う個人主義は、自己中心的な、独りよがり的なニュアンスに取られがちですが、ある意味、非常に難しいことです。弱い自分、不完全な自分と素直に向き合うということは、すごい勇気がいることだし、それ自体が強さだと思います。
彼女は、向き合ったことをTwitterやFacebookで発信をするんですね。その正直な発信に皆が共感を覚えていて、そういう意味でシンボリックな、世代を代表する人になっているのだと思います。
個人主義というのは排他的なのではなく、自分と向き合うことが前提。弱さも含めて、しっかり自分と向き合い、自分の人生観なり幸福感を設定したうえで他者と関わっていく。そうして初めて、その人の魅力やオーラが出てくるのだと思います。
安藤 美冬安藤さん
個人主義は、決してわがままに生きることではなくて、自分自身ですべてを決める自由を手に入れる代わりに、もう一方ですごく自己責任を背負うことなんですね。
今、この瞬間にハッピーでいるかアンハッピーでいるかも、すべて自分の責任。全部を自分で引き受けるやり方です。
今日、私がいちばん伝えたいメッセージは、幸せもそうじゃないということも、自分がこの瞬間に決めること、ということなのです。
ジョン・キムキムさん
結局、我々が生きている中で持つ不安は、ほとんどの場合、他者の目を気にしてしまうところから来ている。そこから不安や焦り、嫉妬が生まれてしまうのです。
人間は、自分の感情や思考、言葉、行動というのはコントロールできますが、その他のことは不可抗力のことが多くあります。でも、そのせいにしても何も変わりません。
自分ができる範囲で最善を尽くし、自分を幸せにすることだけが、自分ができること。それに集中すれば、愚痴や不満も言わなくなるし、誰かのせいにもしなくなります。
そういうふうに線引きをすると、自分の幸せは自分でコントロールできるようになると思うのです。

PDJは世代と関係なく、生き方に迷う年代。
他者の目を気にせず、他者からのネガティブな視線は学びの材料にして、自分を信じて一歩ずつ進めばいい

安藤 美冬安藤さん
古市さんが考えるPDJについて、お聞きしてみたいです。
古市 憲寿古市さん
年齢的に考えると、ちょうど結婚しようとか子どもをどうしようとか、考え始める時期ですよね。世代内の格差が開いてくる時期だと思います。
20代の悩みはけっこう共通していて、自分探しだったり、これからどう生きようとか、友達関係どうしようとか、身近な悩みが多いんですね。 収入面も、大企業で働いていてもフリーターでも、20代のうちというのは実はあまり変わらない。
それが30歳ぐらいまでに、どんどん世代内格差が開いてくるんです。
その中でどうしようと迷う世代ということが、時代とは関係なしに言えると思います。
ジョン・キムさんの話に引きつけて言えば、僕は基本的に、社会が全部悪いと思うタイプの人間です。(笑)なぜかというと、それが一番楽だから。
どんな家に生まれ、親がどんな教育を受け、どんな学校に通い、どんな人に会ってきたかなど、自分で選べる面もあるけれど、不可抗力の面もあります。
たしかに、すべて社会のせいにしていても意味はありませんが、全部自分の責任だとしたときに、かなり格差があるとも思うのです。 安藤さんみたいに、ある種、いろんなことを自分で勝ち得た人は、自分の責任だと言えるし、強さも弱さも言えると思うのですが、そこまでいけない人もたくさんいると思います。
ジョン・キムキムさん
僕は韓国で生まれ、19歳で韓国を出た理由の1つは、韓国には幼馴染や自分を知っている人が周りにいて、自分のイメージがつくられていたためです。
現実の自分と理想の自分との間にあるギャップを、僕は強がること、背伸びすることで埋めることはできるのだけど、周りの「ジョン・キムはそういうタイプじゃない」「無理してる」という目があって、僕はそういう目を全部消したかったのです。
海外での自分のイメージは、違う演劇の違う役を演じていると思う。それまでの自分を誰も知らないので、変身しやすかったんですね。これはある意味特殊なケースだと思うのです。
自分の幸せは、社会的に規定される部分はもちろんあるのだけど、人生をその檻の中で生きなければいけないというのは、ものすごくもったいないじゃないですか。そこから自分を解放させるのは自分だと思うのです。
古市 憲寿古市さん
自分の名前を検索したとき、いろいろな意見が出てきて、中にはネガティブなものもありますよね。そのとき、自分の気持との折り合いをどうつけたらいいのかな、と思うことがあるのですが、皆さんはどうですか?
ジョン・キムキムさん
僕は他者の目を気にする度合いと、自分を信じる度合いは、完全に反比例していると思っています。
他者を気にすればするほど、自分を信用してないということ。自分を信用していれば、世の中すべての人が僕の言動を批判をしても、自分が信じる、正しいと思っている道を一歩ずつ突き進んで行ける。僕はそういう道を選びたいと思っています。
学生にいつもアドバイスしているのは、他者の目を気にするなということ。そして、不完全な自分、弱い自分、不安な自分と向き合い、認めてあげなさいということ。
あとは自分が主体的に選択した道に対して、焦らず無理せず、周りの目を気にせずに、自分を信じて一歩ずつ進むことが全て。それを実感しなさいという話をしています。
不可抗力的な部分を毎日少しずつ減らしていき、自分がコントロールできる領域である「感情、思考、言葉、行動」という4つの力を、日常的にいかに高めるか。そしてネガティブなことも成長につなげていく。 そうすれば、全部自分の成長につなげていくことができる。すると、世の中をより平穏な気持ちで見れると思います。
感情のコントロールができる人間は、どういう状況でも穏やかで幸せにいられると思います。ただ、感情は、先の4つの中で最もコントロールが難しいもの。時間をかけてゆっくりそこを育てていくのが、一番確実な道だと思うのです。
安藤 美冬安藤さん
実は私、26歳の時、社会人3年目で、毎日毎日怒られていたのですよ。仕事ができなくて。 上司には怒られるし、周りには信用されなくて、同僚や先輩も仕事を回してくれなくなり…そんな日々だったのです。
おまけに、当時お付き合いしていた彼にもフラれ、結果、ストレスがたまって、浪費してお金もなくなり、そして健康も害して、うつと診断されて会社を半年間休みました。
その休職期間の中で気が付いたんです。私は、キム先生がおっしゃっていた「自分で責任を取る」の真逆で、会社が悪い、上司や同僚が悪い、仕事を教えてくれない先輩が悪い、恋人が悪いって、全部人のせいにばかりしていたんだと。
そして、はっと気が付いたわけです。自分が変わったら、自分の人生はもっとハッピーになれるんじゃないかと。 その半年後から、仕事でもいろんな意味で人生が徐々によくなってきました。
1年前、フリーランスとして駆け出しの3カ月目、まったく収入がなく、今と言ってることは変わってないのだけど、いろいろな人にいろいろなことを言われるか、あるいはまったくスルーされるか。
本当に落ち込んで、このまま誰にも認められないまま終わってしまうのではないかと、毎日、ワンルームマンションで布団をひっかぶって、カップラーメンを食べて、ずっと悶々としていたんです。それがたった1年前の話。
そういうことを乗り越えて、「安藤さんの言葉で勇気をもらった」とか、学校に来てくださる方が増えたりして、人の反応の中で徐々に自信がついていったというのが実際のところです。
ジョン・キムキムさん
自分に対する評価をネットで見たときに、腹が立ったり悲しかったり…そういうことを感じない人間は、決して魅力的な人間ではないと思います。
でも、それがずっと続いてしまうと自分がダメになってしまうので、そこから穏やかな自分、本来の自分を取り戻すスピードを、できるだけ短くする訓練をしなければいけないと思います。
ネガティブな声の中には、学びの材料も隠されているかもしれませんし、次なる成長のための意見が隠されているかもしれない。自分の学びの材料にして、次の自分に生かしていけるといいと思いますね。

好きなことを選ぶのは贅沢? それとも贅沢じゃない?
相対ではなく、自分の中での「絶対的な幸せの基準」を持つこと

安藤 美冬安藤さん
ライフバランスという言葉があるけど、私はよくライフブレンドと言っていて、自分の好きなことを、好きな人と、好きなようにやる、というスタイルをとっています。
いろんなオファーをいただいても、「選ぶ権利」を自分に残していますし、仕事に関しては、できるだけ自分のやりたいスタイルをキープしたいと思っています。
古市 憲寿古市さん
そういう方法をとっていて、もしかしたら今もワンルームの中で布団で寝ていた可能性もありますよね。でも成功した。その違いは何でしょう?
ジョン・キムキムさん
自分の人生の中でどういう優先順位を持っているか、ということだと思います。
お金が大事という人もいるだろうし、次の瞬間どうなろうと今の自分の好きを追求したい人もいるでしょう。どちらにしても、その結果に自分が責任を持てれば、それはもう正解なのです。
刈内 一博刈内さん
お話を聞いていて、僕は普通のサラリーマンですが、皆さんは才能も含めて恵まれている3人で、高いレベルでの幸せの話をしている気がします。
仕事の話にしても、一般の人の場合は、二択だとしたら「お給料の悪い仕事と嫌な仕事のどっちを選ぶか」という選択肢に迷うわけで、もっと身近なレベルでの幸せの悩みなんじゃないかな。
古市 憲寿古市さん
そもそもサラリーマンは仕事を選べませんからね。選べること自体が幸せな状況だと思います。
フリーランス的な生き方に憧れている人がたくさんいて、それが時代の空気だから、安藤さんがこれだけ取り上げられるというのはわかるのですが、日本人の87%は雇われの身分です。
なかなか自分の好きには仕事を選べない中で、たしかにぜいたくな悩みかもしれません。
ジョン・キムキムさん
いえ、決してぜいたくな悩みではないのです。
お金や社会的地位などの比較基準を持ってくると、それで人間を分類できてしまいます。でも、自分の今の現状がどうであっても、それを改善していく権利、資格は自分にあるのです。
フリーターでも何でもよく、そこから自分をどう幸せにしていくかだけの話なのですよ。
生まれてから死んでいくまでの成熟度をいかに高めていくか。より自分らしく、理想の自分に近づけるか。自分の状況の中で、自分ができることをやった方が、自分の幸せにつながっていきます。
それは、自分とどう向き合うかという、ものすごい真剣な選択なんですね。人生において一番大事な選択を毎日していくという、その意識を持つか持たないかで、生き方の深さは全然変わってくると思うのです。
古市 憲寿古市さん
そうはいっても、安藤さんの、そこそこの大学を出て大きい出版社に入っていたという実績は、やはり大きいと思うのです。
安藤さんみたいなフリーな生き方をしたいと思っても、高校しか出てなくて職歴もフリーターばかりのときに、自分で自由に生き方を選べるかとういうと、厳しいと思うんですね。
たとえば僕が全く同じことを言っても、肩書きに東京大学や慶応大学がなかったら、まったく説得力がないと思うのです。
ジョン・キムさんがおっしゃった、自分に選択権があって、その中で自分が人生を築いていくべきという議論は、共感はするし非常に分かるのですが、一方で「それは私には無理」と思う人も一定数いると思うのです。
ジョン・キムキムさん
現状認識としてはその通りだと思うし、古市さんのおっしゃったことはものすごい大事なことだと思います。
そういう人々にとって、幸せをどう勝ち取るというかについて、どう議論していったらいいと思いますか?
古市 憲寿古市さん
精神論的なことを論じていてもしょうがなくて、何をしたらいいかという、具体的なことに落とし込めるといいと思うのです。

「こんなもの」とあきらめた幸せで、本当にいいのだろうか?
 自分の幸せを文字や言葉にすることで、
 自分なりの価値基準、判断基準を作り上げてほしい

刈内 一博刈内さん
安藤さんにとって幸せとは?
安藤 美冬安藤さん
自分自身が主導権を握るというか、決められるかどうか、というのは大きいですね。
人生の舵を自分で切れるか、と言う意味での主導権。やらされてる感、言わされてる感は、好きではないので。
私は、自分の欲望や欲求を正直に伝えることって、大事だと思うのです。本当はこういうことをやりたい、こんな風に考えている、これが欲しい、ということを、素直に出せない雰囲気ってないですか?私は、そういうことを会社員時代にいろいろ言っていました。空気破りまくって。たしかに、そういうことを言うといろいろあります(笑)
でも、それで何か前例ができるなど、その時々に正直にやることで何か生まれることの方が、結果、プライオリティが高いと思うのです。皆のためになると思うのですよね。
ジョン・キムキムさん
人生論や幸福論は自分の体験や考えていることなので、100%実感があります。でも、これが正解だとは誰も思ってないわけで、そういう自信もないものです。
僕も、自分の話していることが答えだとは思っていません。でも、自分にとっては答えなのです。 それぞれに皆がそういう答えを持っていて、お互い感化されればいいだけの話だと思うのです。
刈内 一博刈内さん
なるほど。では、古市さんにとっての幸せってなんですか?
古市 憲寿古市さん
ラッセルという哲学者が『幸福論』という本の中で、「あきらめる努力をすることが幸せへの近道だ」と言っています。
人は過剰な期待というのをついつい持ちすぎるから、あきらめることによって心平穏に暮らせるんじゃないか、ということなんですが、自分の実現可能な範囲でそこそこの幸せを見つけるというのは、もしかしたらPDJ世代、今の若い人の価値観でもあるのかなと思います。
「まあ、こんなものだろう」という形で現実と折り合いをつけて、「そんなに自分は不幸じゃないよね」という形で自分をそのまま受け入れながら、「まあ幸せだな」って答えるのは、ある種、時代の特徴だと思います。
ジョン・キムキムさん
結局、幸福というのは、自分の持っている欲望と、実際その欲望がどれくらい満たされているかということ。自分の欲望を減らせば、幸せになれる確率は高いと思う。
PDJ世代を僕なりに解釈をすると、物質的な欲望というものをかなり意識的に減らしたような気がします。バブル世代と比べて、実際持っている物質は少ないけど、「その中で十分やっていけるよ」と。
一方で、精神的なものは、今までの世代よりはるかに豊かだと思うのです。精神的に満たされるものについては、ものすごく敏感なところがある。
ただ、精神的なところは比較できないじゃないですか。なので、既存の世代、ちょっと古い世代から見たとき、今の若者は欲がない草食系だと描こうとしてるのですが、上の世代は物質的なものに重きを置いた世代なので、今の若者を理解できないのです。
PDJ世代が持ってる幸福感は、必ずしも今までの世代が持ってる幸福感ではなく、彼らはそれぞれの幸福感を持っている。 そして、より大事だと思う点は、幸福感は普遍的なものはなく、今の時代、100人いれば100人の幸福感があるということなのです。
古市 憲寿古市さん
先ほど、あきらめるといいましたけど、本当にあきらめさせてしまっていいのかという議論もあり得ますよね。
こんなもんだろうとあきらめたまま生きていれば、ある種幸せだろうけど、それで果たして本当にいいのかというのは、僕も半分疑問には思う点です。
その議論においては、はじめにキムさんがおっしゃったことも関わってくると思うのですが、自分で自分の舵を取っているつもりで、半ばその舵を取れていないということに自分でも気づいている…。
安藤 美冬安藤さん
うん、それはありますね。 すべてではないですね。舵を取れることは。
フリーランスは、会社に勤めていた時よりも、ずっと社会的な信用力がありません。やっぱり住宅と金融面の信用力のなさは、けっこうダメージが大きいです。そもそもこんな生活していて、来年はどうなっているのかとか。
ある意味、社会的な安定をどこかであきらめていかないといけなくて、それは折り合いをつけています。
ジョン・キムキムさん
刈内さんはどういうとき幸せですか?
刈内 一博刈内さん
僕は、自分の中に納得感があればそれが幸せなのかな。 たとえば、自分自身で成長できたと感じたとき。去年できなかったことが今年できるようになったときは、そのプロセスは重要じゃなくて、それ自体が幸せだと感じます。
そのあたりって、一般の人の本音に近いところという気がします。幸せって100点とか0点ではなく、白でも黒でもないグレーなところで迷っていて、悩み苦しんでいる状態が比較的幸せだったりして…。
そんな感覚が自分の中にはありますね。
ジョン・キムキムさん
すごい抽象的ですね。僕みたい(笑)
刈内 一博刈内さん
今、このライブを見ている人は若い世代の方が多く、もがき苦しんでいる人も多いと思います。仕事がうまくいかないとか将来が不安だとか、恋愛がうまくいかないとか。そういう人たちにメッセージをいただけますか。
ジョン・キムキムさん
私達は幸せを語りながらも、自分の人生の幸せについて考えたことって、あまりなかったりします。考えはしても、言葉にすることが少なかったりするので、表現ができないんですね。
もっと自分の中で考えたことを文字や言葉出すことによって、自分の人生の中で何を幸せに思っているかが固定化されると思います。そういうものを毎日毎日積み重ねていき、自分の幸せに対する価値基準、判断基準をつくり上げていってほしいと思うのです。
刈内 一博刈内さん
今日はありがとうございました!