ノリ、いてまえ！フルスイング逆転弾で１１年ぶりＭＶＰ…ＤｅＮＡ

２回１死一塁、中村（左）が左越え逆転２ランを放ち、ラミレスとポーズを決めた

　◆マツダオールスターゲーム２０１２　▽第１戦　全パ１―４全セ（２０日・京セラドーム大阪）　全セが逆転勝ちした。全パは初回、日本ハム・陽岱鋼が先頭打者本塁打を放ったが、全セは２回、ＤｅＮＡ・中村が日本ハム・斎藤から逆転２ラン。４―１で逃げ切り、ＭＶＰに輝いた。全セは通算７２勝７７敗９分けとした。第２戦は２１日午後６時から松山で行われる。

　中村の代名詞は「フルスイング」だ。全盛期を思い起こさせるような豪快な一発で、１１年ぶりの球宴ＭＶＰを獲得した。１点を追う２回１死一塁。斎藤の初球、１３０キロの直球を左翼席上段へ逆転２ラン。「全球、フルスイングしようと思っていた。完ぺきだった」。試合前には「ＭＶＰを取れるように」と話していた２０年目のベテランが、有言実行を果たした。

　「感謝」。試合後は、この言葉を何度も繰り返した。０４年オフに入札制度でドジャース入り。日本球界復帰後は育成選手も経験し、２度の戦力外通告を受けた。昨季途中に横浜（現ＤｅＮＡ）入りするまで、バッティングセンターで汗を流す浪人生活も送った。「いろんなことがあったけど、いろんな勉強が出来たと思っている」。多くの支えがなければ、この舞台に立てなかった。

逆転弾を放った中村

　思い出がたくさん詰まった、京セラＤでの一発。最も印象深いアーチは「松坂からのサヨナラホームラン。今でも覚えているよ」。リーグ優勝を目前に控えた、２００１年９月２４日の西武戦。ローズが通算５５号本塁打を放ち、中村の４５号逆転サヨナラ２ランでマジックを１とした。「いてまえ打線」当時の豪快なフルスイングは、３８歳になった今も健在だ。

　球宴での本塁打は、前回出場した近鉄時代の０４年以来８年ぶり。両リーグでのＭＶＰ獲得は史上５人目だ。全セの中日・高木監督は「ベテランになって元気になってきた。お見事だった」と絶賛した。中村は「あと２試合ありますからね。３試合連続のチャンスはありますから。出たら、狙っていきたい」。ホームランアーチストの魂に、火がついた。

　◆京セラＤのグラウンド・ルール　〈２〉打球がフェア地域内にあるスーパーリングの内側に入り落下しない場合はボールデッドとして、打者及び走者には投球当時を基準にして２個の安全進塁権が与えられる。