阿部が大道モノマネ　坂本は二塁守備で球宴盛り上げた

２回１死一塁、逆転２ランを放った中村を迎える坂本（中央右）らセ・リーグナイン

３回１死二塁、バットを短く持ち打席に立つ阿部

６回から二塁の守備についた坂本

　◆マツダオールスターゲーム２０１２　▽第１戦　全パ１―４全セ（２０日・京セラドーム大阪）　　全セが逆転勝ちした。全パは初回、日本ハム・陽岱鋼が先頭打者本塁打を放ったが、全セは２回、ＤｅＮＡ・中村が日本ハム・斎藤から逆転２ラン。４―１で逃げ切り、ＭＶＰに輝いた。巨人では阿部が３回の第２打席で突然、前傾姿勢になってバットを短く持つ爆笑パフォーマンスを披露。坂本は６回から二塁を守ってファンを驚かせ、夢の祭典を盛り上げた。全セは通算７２勝７７敗９分けとした。第２戦は２１日午後６時から松山で行われる。

　グランド、両軍ベンチの選手、そしてスタンド全体が大爆笑していた。全視線を独占していたのは、打席の阿部だ。３回１死二塁。日本ハム・斎藤佑に初球、２球目とファウルで追い込まれると突如、ひらめいた。おもむろにバットを短く持つと、前傾姿勢で構えた。

　かつて巨人の「代打職人」と呼ばれた大道典嘉（現巨人２軍育成コーチ）のフォームのモノマネだった。今年初めに育成コーチへの就任が決まると、阿部は真っ先に電話をかけた。「大道さんのような、粘り強い立派な打者を育ててください。もちろん、バットを短く、ですよね？」。尊敬する先輩のスタイルを、夢舞台で踏襲してみようと思いつき、マネたのだ。

　まさかの“秘策”に、佑ちゃんも「ちょっとビックリ。どういうことなのかなと思いました」と目をパチクリさせながら苦笑い。ベンチで見守っていた原監督も楽しげに笑みを浮かべていた。結局は二ゴロに倒れたが、阿部は「打てないと思ったし、俺にはＭＶＰはないから。左の大道さんだよ。モノマネ賞？　そんなのないから」と満足げ。球宴ならではの爆笑パフォーマンスで沸かせた。

　ビックリシーンはこれにとどまらない。６回に代打で登場した坂本は、天井に吸い込まれた日本ハム・中田の二塁打に対抗？し、天井直撃のバッティングを披露（捕飛）。さらにその裏、定位置の遊撃ではなく、目指したのは何と二塁の守備位置。０８年３月２８日の開幕戦、ヤクルト戦（神宮）以来となる二塁手を務めた。唯一の守備機会は７回１死。後方へ上がった中島の飛球を、背走しながら難なく捕球。「何の前触れもなく、普通に『セカンド』と言われました。（遊撃と）景色が全然違うので難しかったです」と振り返ったが、声は楽しそうに弾んでいた。

　阿部に坂本と、シーズン中はチームの中心として活躍する２人。真剣勝負を離れた“お祭り”でも、しっかりファンを魅了した。