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【プロ野球】

WBC不参加 選手会「苦渋の決断」

2012年7月21日 紙面から

臨時大会後、会見に臨む(左から)内海、倉、新井貴、井端、本多、渡辺俊ら=大阪市内のホテルで(布藤哲矢撮影)

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 戦わずしてWBC3連覇が消滅!? 労組・日本プロ野球選手会は20日、大阪市内のホテルで臨時大会を行い、来年3月に予定されているワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に参加しないことを決めた。代表チームのスポンサー権などを日本野球機構(NPB)に譲渡するよう大リーグ機構(MLB)などの主催者側に求めてきたが、認められなかったため、全会一致で不参加を決断。これを受けNPB側は、選手会と8月1日に急きょ再協議の場を設けることを決め、加藤良三コミッショナー(70)も強く撤回を求めた。

 真夏の祭典に水を差す、球界を揺るがす事態が勃発した。球宴第1戦の前に行われたプロ野球選手会の臨時大会。新井貴浩選手会長(35)=阪神=の記者会見を前に、報道陣へ“衝撃の文書”が配布された。「選手会はWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に出場しない決議を行いました」−。決議は各球団2人、計24人の全会一致で決定。硬い表情のまま新井会長が、その理由をこう説明した。

 「1年前から主催者側に要望を出していたが返事がない。今後もあるとは思えない。ボクらも楽しみにしていたけど、3月の大会ではなく5年、10年先を考えたうえでの苦渋の決断です」

 会議中、選手からは出場を求める声も出たという。「最後まで、みんな頭を抱えていた」。こう会議が難航した様子を語る選手もいた。「出場したいという選手、意見はあった」と新井会長。それでも「最終的には全会一致」で、WBCへの参加見送りを決議した。

 選手会は昨年7月の臨時大会で、WBC日本代表のスポンサー料などがNPBに入らなければ不参加の方針を決定。主催者であるWBCインク(MLBとMLB選手会の共同設立会社)に改善を求めてきた。

 五輪などでは参加国に認められる権利で、WBC日本代表の推定額は6億円以上。ただ、NPB側はWBC大会期間外にも侍ジャパンを常設化することで収益を確保できるとして、昨年12月のオーナー会議で第3回大会への参加を決めていた。

 しかし、選手会側は資金難で縮小傾向にあるアマ球界の国際大会存続のためにも、スポンサー料などの権利に固執。強硬姿勢をとった格好だ。

 「アプローチがあった場合に再考の余地は?」と問われた新井会長は「仮定の話は、今この場では正確なことをお伝えできない。ただ、主催者側にボールを投げている。投げたボールが返ってこない状態が1年続いている」と言葉に含みを持たせた。

 選手会の不退転の決意が、“一方通行”のボールを動かすことになるのか…。いずれにせよ、WBC3連覇という偉業が戦わずして消滅すれば、プロ野球人気の低迷にさらに拍車がかかる可能性は大。NPB側も即座に対応。8月1日に急きょ再協議の場を設けることを決めた。加藤コミッショナーは再考を促した。果たして、最悪のシナリオを回避できるかどうか。残された時間はそう多くはない。

 

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