2012.7.21 05:05

【ヒューマン】国分太一、ロンドンでも現場主義(2/2ページ)

 ロンドン五輪の開会式(日本時間28日午前)まで約1週間。近くロンドンに向かい、約2週間滞在する。「こんなに長期間、日本を空けることなんて近年ではなかったですね」。自然と声も弾む。

 フジから五輪キャスターのオファーを受けたときは、「信じられなかった」という。「フジを代表するキャスターなんて、今自分で口にしてみても『ヤベえ』という感じなんですけど…」とテレ笑い。

 同局では夜のスポーツ報道番組「すぽると!」の土曜編集長を09年4月から務めてきた。「番組では、まずは現場に行く、ということにこだわってずっとやってきた。今まで五輪の選手たちからもいろいろ話を聞いてきた財産もあります」。“ヤベえ”と言う割には、静かな自信がにじむ。“現場主義”の確固たる姿勢は、ロンドンでも変わらない。

 「カメラが回っていない細かいところも自分の目で見てきて、自分の言葉で伝えたい。ギリギリ入れるところまで入っていって、裏の姿も伝えるのが僕の仕事だと思っています。もちろん、日本のメダルの瞬間も全部見たいですけどね」

 注目選手としては、やはり4大会連続出場の競泳男子平泳ぎ、北島康介(29)や3大会連続の女子レスリング55キロ級、吉田沙保里(29)らの名前をあげる。「スポーツを好きになればなるほど、勝利の瞬間よりもそこに至る4年間について話を聞きたくなります。特に彼らはそれを十何年もやってきたわけでしょ」。

 さらにマラソン。自身は昨年2月の東京マラソンに出場し、初のフルマラソンながら4時間34分42秒で完走を果たした経験がある。「マラソンの厳しさを身をもって知ってしまったので、気になってしかたがないんですよ」。現在も月に100キロ前後走っており、現地入り後にはマラソンコースの一部を“試走”する計画もある。同局で日本時間8月5日に女子マラソンを独占中継(後6・0)するだけに、「楽しみですね!」と目を輝かせた。

 初の五輪キャスターという大役。同じジャニーズ事務所に2人の“ライバル”がいる。SMAPの中居正広(39)がTBSで、04年のアテネ大会から夏冬合わせ5大会連続の起用。嵐の櫻井翔(30)は日本テレビで、08年の北京から夏冬3大会連続。2人とも経験者だが、「意識なんか、していないですよ」とサラリ。

 「中居クンはもう、何と言っても『中居正広』じゃないですか。櫻井は見たものを的確に伝える能力がすごい。彼らと対等にやってやろうなんて、さらさら思っていないですよ」

 近年は「すぽると!」をはじめ番組司会の仕事が一気に増えた。ソロとしてのレギュラー番組5本の多くで進行役を担っている。「でも自分で司会の仕事をしたいと事務所などにアピールしたことなんて、一度もないんです。最近のジャニーズでは『自分をプロデュースする』ことを意識している若手もいるようだけど、僕は来た仕事を一生懸命やることしか考えていなかった」。

 ただ、「聞き手は、楽しい」と言い切る。「僕はもともと単純に人の話を聞くのが好き。人に話を振って、その人から多くのことを引き出すのが好きなんです」。多くの番組で鍛えてきた国分の“聞く力”が、アスリートたちの感動の言葉を引き出すに違いない。

(紙面から)