原文入力:2010-02-02午後09:10:41(2845字)
��長崎海上 鬼ヶ島に連行された人々
徴用・原爆被害資料など展示‘長崎平和資料館’
←長崎平和資料館の活動を語る高實康稔理事長(左側)と柴田利明事務局長.
岡牧師 朝鮮人問題 発掘
長崎資料館の礎石
埋・火葬認許証 調査を要求
徴用資料探しに大きな功績
市民たちの力で運営される歴史平和教育機関‘長崎平和資料館’ (以下 資料館)は丘の上の西坂町にある。長崎駅から歩いて5分程度。近隣には二十六聖人記念館がある。壬辰倭乱の時に朝鮮を侵略した豊臣秀吉の統治時期、日本人信者20人を含む外国人神父など26人が処刑された場所だ。日本最初のカトリック殉教聖地であり法王ヨハン・パウロ2世が1981年に訪日した際に訪ねた場所でもある。
1995年10月1日に開館した資料館は4階建ての建物を使っている。日本語,韓国語,中国語,英語など4ヶ国語で書かれたパンフレットには‘被害者の痛みを心に刻み戦後補償の実現と非戦の確約’を掲げている。1,2階に用意された展示場には学校教育では滅多に扱わない近・現代史の事件が大型写真と説明板でぎっしり埋まっている。侵略・強制連行・軍隊慰安婦・南京大虐殺・731部隊の蛮行など主題別に区分されている。
現理事長は高實康稔(71)長崎大名誉教授だ。九州大学でフランス文学を専攻した彼は1969年長崎大学のフランス語講師の席を得、この地と縁を結んだ。彼が本格的に市民運動に飛び込んだのは70年代中盤、大村収容所解体運動の時だった。長崎に隣接した大村収容所には不法入国容疑などで逮捕された在日同胞たちが集められ強制送還される時まで収監されていた。当時の大村収容所は‘東洋のアウシュビッツ’と呼ばれるほどに人権じゅうりんが激しかったという。彼は大村収容所に収監された朝鮮人たちの法的闘争を支援する活動を行い岡まさはる牧師に会った。
資料館の正式名称には岡まさはる記念という単語が修飾語のようについている。資料館は岡牧師を除いては語れない。彼の遺志を受け継ぐために建てた施設であるためだ。長崎の朝鮮人被爆者の実態を初めて本格的に調査したのは日本政府ではなく長崎県や市でもない。岡牧師と彼の熱意に感動した一般市民たちが足で飛び回って行った。現在、日本で強制連行問題を研究している活動家たちが必ず点検する文書の中に埋・火葬認許証がある。末端行政官庁に保存されているこの書類には、死亡者の身元・死亡日時・死因などが記載されている。敗戦の時、日本政府と大企業が強制連行に関連する資料を焼却したり隠匿した状況で、埋・火葬文書の調査必要性を浮き彫りにしたことも岡牧師の功績といえる。
1918年大阪に生まれた岡は15才の時に通っていた商業学校を中退し、海軍通信兵試験を経て広島,呉海兵団に入った。43年広島,江田島にあった海軍兵学校(韓国の海軍士官学校に相当)に教員(下士官級)として行った彼にとって45年8月6日の米国による原子爆弾投下は人生の転機になった。偵察に行き戻ってきた部下たちから市街地の惨状を伝え聞いた彼は、その日の夜、親しい部下と生徒たちを呼び集め、このままでは日本民族が全滅することになるとして東京に行き天皇や総理に戦争中止を訴えるという決心を明らかにした。岡は生徒たちの申告で憲兵隊に連行され5日間拷問されたが日帝の降伏によりかろうじて一命をとりとめた。戦争が誤りだということはすでに分かっていたが、5日間しか戦えなかったことで深い苦悶に陥った彼は56年に東京のルーテル神学校を卒業し福音ルーテル長崎教会に伝導師として赴任した。
1958年5月長崎原水協常任理事となった。15人の理事の中で唯一の非被爆者だった彼は毎月開かれる常任理事会で被爆者完全援護法制定運動と核兵器廃絶運動の他に、朝鮮人被爆者実態調査と援護の着手を主張した。だが64年7月、彼が退く時まで常任理事会で一度も正式議題として扱われなかった。彼は日本人被爆者が自国民以外には何の関心も持たない風潮を‘被爆者民族主義’と糾弾した。
彼は1965年‘長崎在日朝鮮人の人権を守る会’の結成を主導し代表になった。韓日協定締結当時、在日同胞たちの大多数は朝鮮籍だった。韓国籍に変えれば出国時に日本に戻ることができる再入国許可を受け取るのが容易だったが、朝鮮籍を維持すればそのような恩恵を受けることは難しかった。在日同胞たちの有力な生計手段だった廃品収集業(古物商)は警察の許認可対象であったが、朝鮮籍同胞たちに取り締まりが集中したりもした。日本の行政当局の露骨な差別政策に対応するため人権を守る会が概して共産党と近い弁護士たち中心に日本各地で発足した。後日、共産党と総連との関係が悪化し他の地域の会が一つずつ自然消滅された反面、長崎の会はむしろ活動範囲を広げていった。
岡は1971年長崎市議選に出て3期連続当選した。彼が市議会で粘り強く要求した朝鮮人被爆者調査は予算不足などの理由で無視された。ようやく79年4月に当選した本島等市長が受け入れた。本島は1人を嘱託として発令し1年間の調査を専門担当するようにした。81年6月に発表された結果は当時の居住朝鮮人を1万2千人から1万3千人、死亡者は少なくとも1400人と把握した。岡はこの数値を信じることができず、‘守る会’会員を動員し81年7月から1年間、長崎市内の朝鮮人足跡調査を行った。会員約20人が現場を尋ね歩き調査した結果は市内居住被爆者1万9391人、死亡者9169人と出てきた。調査内容は82年7月に刊行された<原爆と朝鮮人>第1集にのせられた。被爆者に対する調査は強制連行実態調査につながった。原爆がさく烈した時、朝鮮人たちが長崎にいた理由がなにかという根源的問いかけが提起されたためだ。<原爆と朝鮮人>は94年6集まで出された。
18才の右翼青年に殴打されたりもした岡牧師は94年7月に亡くなった。彼の死後1年2ヶ月余後に開館した資料館は教育用展示の他に、毎年大学生2人を選び中国の南京大虐殺追悼行事に派遣する。高實理事長の夢は長崎原爆資料館来訪者の1%が平和資料館にくるようにすることだ。日本の加害行為が展示されていない原爆資料館には毎年50万人が訪れる。1%ならば5千人だが行政や教育当局の牽制により未だこの数値に到達できていない。韓国人観光客が資料館を訪れてくれれば運営の力になる。
長崎/文・写真 キム・ヒョスン論説委員 hyoskim＠hani.co.kr
原文: http://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/402491.html 訳J.S