大阪・水道記念館:市政改革で閉鎖の危機 飼育イタセンパラなど、宙に浮く希少魚
毎日新聞 2012年07月18日 大阪夕刊
大阪市の水道記念館(同市東淀川区柴島)が閉館の危機に陥っている。天然記念物の淡水魚・イタセンパラなど約150種を飼育する水族館で、入場者数は増加傾向にあるが、市水道局は予算削減のため、休館を決めた。再開のめどは立っておらず、飼育する魚介類は市職員が管理するといい、専門家は「ずさんな管理で希少生物に悪影響が出たら、取り返しがつかない」と懸念している。
市水道局の旧ポンプ場の建物(約1900平方メートル)を活用し、95年に開館。赤レンガや御影(みかげ)石で彩られ、国の登録有形文化財にも指定されている。水道の歴史を模型や写真で紹介するほか、琵琶湖・淀川水系の魚介類など約150種、1万匹を飼育、展示している。
大半は職員らが水質調査の過程で採取したもので、絶滅危惧種も多い。イタセンパラの人工繁殖にも取り組み、全国の水族館が所有する個体の9割にあたる約1000匹を飼育している。