大津中2自殺 「いじめ、止められずごめん」　同級生 悲嘆と後悔

男子生徒の自殺から９カ月。今も生徒たちは、さまざまな思いを抱えている（大津市内）

　大津市で昨年１０月、中学２年の男子生徒が自殺した問題で、１９日までに複数の同級生たちが京都新聞社の取材に応じ、学校でのいじめの様子や男子生徒への思いを語った。突然の死から９カ月。「いじめを止められなかった」という悲しみと後悔を今も胸に抱えつつ、学校側に「あのときのことを本音で話して」と問いかける。

　「変な踊りとかで笑わせてくれるキャラで、むしろ友達をいじる側だった」。男子生徒と小学校が同じだった女子は、明るく周囲に好かれていた人柄を振り返る。

　いじめていたとされる同級生３人のうち２人とは中学２年の春から、一緒のグループになった。１学期は「面白い３人のグループで、上下関係はなかった」「弁当を一緒に食べて仲良くしていた」という。

　グループ内の関係が変わったのは「２学期（９月）から」とみる生徒がほとんど。同じクラスの女子は「最初は軽く小突いたり、ふざけてるようにも見えた。（９月下旬の）体育祭くらいから、ほぼ毎日トイレや廊下で一方的に殴られてた」というように、暴行がエスカレートしていった。

　９月下旬。帰りの会の時間、ある女子は「トイレで殴られる男子生徒を見た」という。８人くらいに囲まれ、一部の男子に強く殴られていた。「○○がやられてる」と、すぐ教室の担任に知らされたが、担任は「ちょっと待って。（預かっていた）貴重品を取りに来て」と取り合わなかった。副担任が「何してんの」ととがめると、男子たちは「何もしてへん」と立ち去った。

　同じころ、男子生徒は同級生に連れ回され、別のクラスで見せ物のように殴られた。殴られながらも笑っていた。現場を見た別の女子は「冗談かなと感じた。でも『いじめられてるかわいそうなやつ』と思われたくなかったのかも」

　昨年１０月１１日、男子生徒は自ら命を絶った。同じクラスだった男子は自殺現場で手を合わせた。蜂を食べさせられそうになったり、廊下で殴られたのも見ていた。「途中で止めたらＫＹ（空気が読めない）みたいになる。でも止めておけば良かった。ごめん」

　今も、学校から生徒たちに向けての詳しい説明はないという。ある女子は「先生たちは『いじめに気づかず申し訳ない』と謝ってばっかり。謝罪じゃなくて、あのとき何を見てどう考えていたのか、隠さずに本音で話してほしい」と強く語った。

【 2012年07月19日 23時50分 】