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行方不明の管理費等滞納者からの滞納金の回収方法‐マンションに関するQ&A

マンション管理Q&A

Vol.08 行方不明の管理費等滞納者からの滞納金の回収方法

行方不明の管理費等滞納者からの滞納金の回収方法

先日の総会で、長年管理費等を滞納している高額滞納者に対し、滞納金訴訟を行うことが議決されました。ただし提訴対象者の高額滞納者のうち1名は夜逃げをして現在行方不明となっていることが最近判明しました。このような場合、どのような手段を講じて滞納管理費等を回収したらよいのでしょうか?

ご質問のケースについては、裁判所へは「公示送達」という手続きで、訴訟に持ち込むことが可能です。「公示送達」とは、相手方の住所又は居場所がわからないため、訴状等の送り先が不明なために、裁判所の掲示だけで「相手方に訴状が届いたもの」と同じ効力を持たせるという制度です。

そして、相手方に送付すべき書類を裁判所書記官が保管し、裁判所の掲示板にいつでも相手方に書類を交付する旨を2週間掲示することで、期間経過後書類が送達されたと同じ効力が生じます。この制度を用いることで、訴訟の呼び出しが相手(今回の場合は滞納者)に届かなくとも、相手は訴訟の呼び出しを受けたという扱いになるので、相手が欠席しても判決が出ます。(但し、少額訴訟また支払督促では公示送達を用いることはできません。)

なお、この方法を用いれば訴訟を行うことはできますが、滞納者が行方不明なのであれば、滞納者より直接管理費等を徴収することは物理的に不可能です。そういった場合は、裁判の確定判決をもって強制執行を行い、区分所有権等を競売し現金化することでそれを滞納管理費に充当することができます。この場合、競売申立書を作成し該当滞納者へ送付する必要がありますが、これも「公示送達」を利用して行うことができます。

しかし、このような場合は設定されている抵当権価額が競売対象物件の価値を超えているケースが多く、実際には執行そのものを取り消されてしまうことが多いので、滞納管理費等の支払請求に関わる確定判決を得て強制執行を経て滞納金を回収するというのは難しいので現状です。

管理組合としては例えば、主たる抵当権者にあたり、競売の申請を促したりして、競売を実施してもらい、競落人が現れた時点で支払資力のある人(競落人)から滞納金を回収するように対処することになるでしょう。なお、本物件を競落し新しく区分所有者となった人が特定承継人として滞納分を含めた管理費等の支払い義務を負うため、その人に請求を掛け滞納管理費等を全額回収することが可能になります。

このように、「公示送達」の制度を用いてでも、裁判の判決を得る事ができれば上記のように滞納問題が解決に向けて前進するのですから、制度を十分活用し一刻も早い問題解決を目指した方がよいでしょう。

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