管理費の長期滞納区分所有者からの理事解任請求を阻止したい |
マンション管理組合で理事をやっている者です。この度、数名の区分所有者の連名による、現在の理事の解任を求める臨時総会の開催を求める書面を受領しました。
それらの区分所有者はいずれも管理費の長期滞納者であり、現理事解任後に自分らが理事になり、自分らにとり都合がいい組合運営(滞納に対する督促を行わないなど)を画策しているという話が耳に入っています。 また、このような身勝手な考えをもつ人たちが、理事になることは阻止するにはどうしたらよいでしょうか。 |
まず、臨時総会開催請求の却下についてですが、これは臨時総会開催を請求してきた人の数が所定の基準を満たしているか、という点が問題になります。 区分所有法第34条に「区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは、管理者(通常は理事長)に対して会議の目的たる事項を示して、総会の招集を請求できる」と規定されています。そして総会招集の請求を受けたにも関わらず、理事長が期限内に総会の招集をしない場合は、その請求を行った区分所有者は総会を招集することができます。
法律上は、会議の目的たる事項を示すようになっていますが、その目的次第で請求を却下できるという規定もないので、規約に定数に関する特段の定めがない場合は、要求してきた人が上記の定数を満たしている限り、理事長もしくはその区分所有者の招集で総会が開催されることになります。 また理事就任を阻止できるかという部分ですが、区分所有法ではその区分所有者が管理費等を滞納している等の問題を有していたとしてもそのことを理由に、区分所有者の権利行使に差をつけることは認めていませんので、法的には阻止することは難しいと思われます。 従ってこのような請求を受けての理事会の対応としては、総会の開催要求を受け入れ、現理事の解任を諮ることを議案にした総会を開催することになります。総会が開催されれば所定の手続に従って、議事が取り扱われ、採決されるわけですが、もしご質問のように解任を阻止しようとするのなら、総会の席上で解任要求の理由を質し、要求が正当性に欠けることや現行の理事メンバーの継続を求めるなり、意見を述べ、できるだけ参加者の賛意を得るように図ってみてはどうでしょうか。 また当日、総会に参加しない区分所有者には事前に個別に面談し、考えを話し、解任要求を拒否するように働き掛け解任要求の否決意見を取得するなどすると有効でしょう。管理組合の理事は、組合員の財産を管理するという重要な仕事を行う訳ですから、そうした仕事にふさわしくないと思われる区分所有者が理事に就任すれば、それがどういう結果をもたらすかは容易に想像できるでしょう。 そういった部分を説明し区分所有者に理解してもらうことができれば、結果としてよい方向に進むのではないでしょうか。 |