歴史の灯火
第47回、全国商船高専漕艇大会のカッター競技が、弓削島で開催されました。
全国5校の商船高専の若人らが弓削島に集結。
瀬戸内海の小さな離島に、全国からたくさんの若者たちがやって来て、磨いた腕を競い合う。110年前に上島の人々がお金を出し合って弓削に商船学校をつくることがなければ、こんな光景を見ることもなかったわけです。先人たちの偉業には、本当に頭の下がるばかりです。
もちろん全国大会がなくったって、弓削商船高専には、全国から集まった若者たちが日々学んでいます。
少子高齢、過疎化の進む島に、600人近くの若い人材、そして英知がそこにあるわけです。
こんな幸運はないと思います。
これを活かさずして何を活かすのでしょうか。
110年前に島民たちの手で築かれた地域の宝は、国立の高専となり、いつのまにか地域と疎遠の存在になってしまいました。
今、その地域も、そして学校もかつての輝きを失って、衰退の一途を辿っているかのように見られています。
しかし、先人達が築いた歴史、世界に活躍する多くの人材を輩出してきた歴史の火を絶やしてはいけません。
「しまの大学」では、弓削商船高専の各学科(商船学科、電子機械工学科、情報工学科)の先生や学生たちと、それぞれの研究分野を活かして住民と協働しながら地域課題の解決に取り組む「しまLABO」という企画を進めてきました。
その先には、人を育て、島に産業を生み出していくという夢を持っています。
弓削商船高専で学ぶ沢山の優秀な頭脳が、都市(マチ)の有名企業に就職することをステータスにするのではなく、この島にシリコンバレーよろしく新しい時代の産業を興していく。行政や住民、地域の事業者、あるいは国内外の協力者が技術や資金面で協力してまた人や産業を育成していく。そしてここにまた家族みんなの島の姿をとりもどすとともに、全国に地方への回帰と地域の自立の潮流を生み出していく。
地域の宝を、先人たちの足跡を、歴史の火を消してはいけません。
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